表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
発展期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

191/225

191 サエギリの樹

 思いの外、深く眠っていたようで、限界以上食ったのに空腹になっていた。


「……やけに喉が乾くな……?」


 洞窟から出て水場を探した。


「おー! 綺麗な湖だ」


 そう大きくはない湖だが、湖の色と空の色が一緒だ。モンスターがいなければ世界的有名な名所になることだろうよ。


 喉を潤し、なんかいないかな~? と湖の周りを散歩してたらなにかを咥えた小型の竜獣が現れた。


 オレの気配がわからなかったんだろう。オレを見るなり咥えたものを落として逃げていってしまった。


 エサとしては不充分なので見送り、落としたものに目を向けたら翼を生やした……ハーピー? いや、翼は背中から生えて腕がある。まあ、人の手ではなく三本の鉤爪だけど。下半身も鳥の脚をしており、やはり鋭い鉤爪を持っていた。


「……こんな種族までいるのか……」


 この星の進化、確実に間違ってるよな? 誰かが意図的にたくさんの生命を生み出した感じだわ。


 サイズから人間より小さい。おそらく一・五メートルあるかないかくらいだろう。小さい種族なのか?


 気絶しているハーピー(仮)を謎触手で絡め、湖の中に放り込んでやる──と、目覚めたようであっぷあっぷと騒いでいた。


「なに!? なんなのっ?!」


 お。しゃべった。そして、言語が理解できた。この世界、言語共通なんだろうか?


「落ち着け」


 謎触手で湖から出してやる。


「しゃ、しゃべった!?」


「オレはレオガルド。別の地からやってきた。ここではしゃべる獣はいないのか?」


 地面に置いたら速攻逃げ出すハーピー(仮)。わからないではないが、訊きたいことがあるので逃がしませんで。


「お前を食ったりはしないから安心しろ。オレは大きいのしか食わんから」


 謎触手に絡まれながら暴れるハーピーが落ち着くまで待ってやる。ってまあ、ただ待つのもなんなので散歩を続けた。


「落ち着いたか?」


 湖を一周したらハーピーも落ち着いたようで、暴れるのを止め、オレを見詰めていた。


「……な、なんなの、あんた……?」


「別の土地からきた。なんでもここに住む竜が知り合いを襲うと言うから狩りにきた。お前、名前はあるか?」


「ビズ。サエギリの樹のビズよ」


 サエギリの樹? 名字か? 一族名か? 棲み家か?


「そうか。ビズか。ここには仲間がたくさんいるのか?」


「……昔はたくさんいたようだけど、もうサエギリの樹だけよ……」


 滅ぶまであと五秒、って感じか。ここも生きるには過酷なようだ。


「なら、オレの国にくるか? たくさんの種族が暮らすところだ。ビズのような空を飛べる種族がきてくれるとありがたいんだがな」


 いずれ人間たちが攻めてきたとき、空を飛べる種族がいるってのは心強い。伝令としても役に立ちそうだからな。


「まあ、無理にとは言わない。住み慣れた地を離れるのは勇気がいるからな」


 きてくれるならありがたいが、住み慣れた地を簡単に離れ──。


「──いく! そこなら安全なんでしょう?」


 そ、そうでもなかったみたいです……。


「さすがな安全とは言えんが、ここよりは住みやすいとは思うぞ。オレの家族があのくらいの大きいのは狩るからな」


 タイミングよくティラノ型の竜が現れ、風の刃で首ちょんぱ。朝食とした。


「ここはいいな。エサが豊富で。最近ではエサを探すのも一苦労になっている」


 保護区に草食モンスターはいるが、草ばかり食ってるから味が薄いんだよな。肉食モンスターの血生臭い肉、あれが食欲をそそるのだ。


「じゃあ、ここに暮らしたら?」


「それはできない。オレが守るべき地は他にあるからな」


 オレの居場所はギギのいるところ。エサが豊富なくらいで移り住んだりはしない。


 ビズを解放し、仲間のところへ案内してもらう。


 一時間くらい歩くと、森が集まったような樹があり、その下には竜獣が群れていた。


「また増えてる!」


「任せろ」


 風の刃を乱舞して竜獣を一掃。十時のオヤツとした。まずまずだな。


「皆、無事!?」


 ビズがサエギリの樹に飛んでいき、隠れていた仲間たちが出てきた。


 仲間も同じサイズなところを見ると、小柄な種族のようだ。よく竜ばかりの地で生きてきたものだ。


 ハーピーたちを驚かせないよう伏せのままで待っていると、ビズが老いた感じの男ハーピーを連れてきた。


「レオガルド。サエギリの樹の長老よ」


「ファオと申します。別の地からきたそうで」


「ああ。海の知り合いから頼まれてな。もし、特異な竜を知っていたら教えてくれるか? そいつを倒さないと帰れないんでな。もちろん、そのときお前らを連れて帰るぞ」


「もしかすると、キケーラのことだと思います。そいつが現れてからここは竜が狂暴になりましたから」


 特異なモンスターによくある現象か。配下なり仲間なりが変に進化するの。


「そのキケーラを倒す。場所を教えてくれ」


 さっさと終わらせてギギのところに帰るぞ。


「ビズ。モレーテゲの岩があるところは知っているな? レオガルド様を案内してやりなさい」


 わたし!? って顔になるが、長老からの命令に逆らえないようで、案内役に決定した。


 逃げられる前に謎触手で確保。長老が指差す方向へ駆け出した。


「イャアァァァァッ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ハーピー良いよね… [一言] 男ハーピーとはこれまた珍しい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ