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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
発展期編

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171 至福

 暗くなる前になんとかSランクのバリュードを倒すことができた。


「よくやった。人間ではお前が最強だ」


 持てる力のすべてを費やし、倒すと同時くらいに気を失ったヤトアを背に乗せてやり、偉業を成し遂げたことを称賛してやった。


「ヤトア様は本当に人間なのですか?」


「人間だよ。ただの人間がSランクを倒したんだ」


 才能があり、呪霊の力を宿した人間ではあるが、人間では倒せない域にいるモンスターを倒してしまった。まったく、呆れるほどの向上心だよ。


「ロズ。あまり落ち込むなよ。人間には人間のよいところがありゼルム族にはゼルム族のよいところがある。悪いところばかり見てよいところ見落とすな。己を知れ。敵を知れ。さすれば勝利は必ず見えてくるものだ」


 ヤトアの戦いに落ち込むロズを励まし、洞窟へと帰った。


「レオガルド様、お帰りなさい。ヤトア様は?」


「無事だ。力尽きて眠ってるだけだ。悪いが体を拭いてやってくれ」


 ヤトアを下ろし、あとはロゼルたちに任せた。


「長。問題ないか? 体調の悪い者がいるなら遠慮なく言えよ」


「はい。ありがとうございます」


 オレも早く寝て、太陽が昇ると同時に目覚め、軽く狩りをしてからレオノール国に向けて出発した。


 ヤトアは目覚めたものの全身筋肉痛な上に霊力を使い果たしたようで、歩くことも困難になっている。しょうがないのでオレが背負って運ぶことにした。


 フジョーもバリュードもいないので一日の移動はスムーズで、迂回することもないので三日くらいで第二次防衛線まで到達できた。


 一旦ここで一日の休憩をする。


「バリュードがついてきてるな」


 まったく、この大陸で生きるモンスターは厄介だぜ。絶滅するような狩りをしてもどこからともなく集まってきて元の数に戻ってるんだからよ。


「少し蹴散らしてくる。お前たちは休んでいろ」


 ミクニールの連中を残し、ついてきているバリュードに向かうと、Aランクばかりの群れだった。


「随分と高ランクが集まった群れだな?」


 ただ、飛び抜けたヤツがおらず、リーダーもいない烏合の衆だった。


 連携の取れない群れなどカモでしかなく、あっさりと全滅させてやった。ゲフ。


 腹パンパンにして戻ると、偵察に出ている騎士ワルキューレの一隊がやってきていた。


「レオガルド様!」


「ご苦労。すまないが、ミクニールをミナレアに連れてってくれ。バリュードの群れがちらほらと現れている。少し蹴散らしてから向かう」


「長。あとのことはルゼ公爵の指示に従え。悪いようにはしないから」


「はい。ありがとうございました」


 あとは騎士ワルキューレに任かせた。あ、ヤトアはオレが背負ってるよ。人間を運ぶ手段がないんでな。


「まだ動けそうにないか?」


「なんとか腕は動かせるようにはなった」


「まあ、ゆっくりしてろ。ついてきてるのは準クラス。脅威にもならん存在だしな」


 ヤトアを乗せたまま蹴散らしてやり、四日ほどしてからマイノカへと帰った。


 久しぶりのマイノカはなにか微妙に変わったような気がする。なんだか浦島太郎になった気分だぜ。


「レオガルド様!」


 懐かしさを感じながらマイノカに姿を現すと、開墾しているヤツらがすぐにオレに気がついた。


「ただいま。元気にしていたか?」


 次々と集まってくるゼルム族のヤツらに答えてやり、神殿へと向かった。


 誰かが走って連絡したのか、神殿の前にはギギたち巫女が総出でオレを迎えてくれた。


「ただいま、ギギ」


「お帰りなさい、レオガルド様」


 ギギに鼻先をなすりつけ、ギギ成分を補給しながらヤトアを下ろしてやる。嫁たちも集まっていたからな。


「寂しかったよ」


「わたしもです」


 謎触手でギギを抱き締める。あぁ、ギギの匂いだ。ギギの温もりだ。


「しばらくマイノカから動かない」


 半年近くギギと離れていたんだ、半年近く一緒にいたって罰は当たらないはずだ。いや、当たってもオレはギギの側にいるけどな!


「レオガルド様。毛繕いしましょうね」


「ああ、頼むよ」


 巫女たちがレーキを持ち出すが、今日はギギにやってもらいたいので巫女たちら下がらせた。


 やはりギギの毛繕いは一味も二味も違う。まさに至福。このまま死んでも悔いはない。


「ふふ。レオガルド様ったら喉が鳴ってますよ」


「幸せだと鳴るんだよ」


 普段は鳴らせないが、ギギといるとつい鳴らしてしまうのだ。


「ギギ。背中も頼む」


「はい。ここですか?」


「あーそこそこ。気持ちいいよ」


 孫に背中を叩いてもらってるみたいだが、至福なのだならなんでも構わない。オレはこの至福のために生きてるんたからな。

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