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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
発展期編

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 なにか体を這う感覚で目を覚ました。


「あ、レオガルド様、おはようございます」


 どうやら巫女たちがレーキで毛繕いしていてくれたようだ。


「もう朝か」


「疲れているのでしたらもう少しお休みになったら如何ですか?」


 太陽はすっかり空に上がっており、完全に寝過ごしてしまったよ。


「いや、充分に眠った。すまないが水を持ってきてくれ」


 レーキの感触が気持ちよくて動きたくありません。あ~いい~。


 皿に水を汲んできてくれペロペロ飲んでいると、大荷物を背負ったヤトアとルゼたちがやってきた。


「師匠、起きたか」


「お疲れのようですね」


 口振りからして一度きたようだ。


「すまんな。寝過ごした」


「疲れているのならもう一日休んではどうですか? 毛繕いする暇もなかったのでしょう」


「そうしたいが、ミクニール氏族を守ると約束した。レオノール国の守護聖獣として約束を違えることはできない」


 それはレオノール国の信用問題。無理をしてでも守らねばならないものだ。


「あ、あの、レオガルド様! わたしも連れてってください!」


 と、ゼルム族の巫女が割り込んできた。こんな巫女いたっけ?


 巫女の名前までは覚えてないが、顔だけは必死で覚えた。その覚えた中にこの娘は入ってないぞ。


「ミクニール氏族の娘です。去年の秋に迎えました」


 巫女になりたいのは本人の自由意思に任せてある。神殿に入りたいなら迎え入れるが、なんか中途半端な時期に入ってきてないか?


「ロゼルの唯一の肉親たる母親が死にまして、ルゼ様たちと相談して神殿に入れました」


「ロゼルは何歳なんだ?」


 見た目は十六歳くらいだが、ゼルム族は見た目じゃわからんからな~。


「八歳です」


「まだ子供じゃないか。連れていくことはできないぞ」


 ゼルム族は十歳から大人の仲間入りする。まあ、大人とまったく同じ、ってわけにもいかんがな。


「ミクニールを受け入れるためにも巫女は連れていったほうがよろしいかと思います」


 とはミナレアの神殿を任せている巫女長のレダだ。なぜよ?


「まだミクニール氏族とミナレアには隔たりがあります。それをなくすためにもミクニール氏族から巫女を受け入れたと知らしめる必要があると思うのです」


 レダ、そんな政治的な考えができる娘だったんだ。巫女じゃなくルゼにつけたほうがよかったかも。


「それに、ミクニール氏族も同胞に巫女がいることでレオノール国への帰属もしやすいはずです」


 本当にゼルム族か、この娘は? 資質が政治的考えができるようになったのか?


「そうか。レダがそう言うなら連れていこう。だが、厳しい移動になる。泣き言は聞かないぞ」


「はい! ありがとうございます!」


「至急、人を集めて橇を作れ。明日までにだ。荷物も用意しろ」


 さすがに背に乗せては無理だろう。揺れがハンパないからな。


 職人たちが急いで集められ、ロゼルとヤトア、荷物を積める橇を作り始めた。


 動員したことで夜までに橇が完成し、試運転としてそこら辺を走って橇の強度を確かめた。


「まあ、ミクニール氏族のところまでは持つだろう」


 オレの牽引に耐えられる橇は特別な樹を使っているようだが、これは急遽集めたもので作られたので強度はそんなにない。加減しないと途中で壊れるだろうよ。


 二人や荷物を乗せてもう一度試運転して大丈夫と判断する。


 次の朝、ミナレアの者たちに見送られて出発。ブランボルへと目指した。


「ヤトア! ロゼルの面倒を頼むぞ!」


 そう言って六十パーセントの力で走り、夜にはブランボルに到着。神殿で橇を解いた。


「二人は休め。オレは狩りをしてくる」


 昨日からなにも食べてない。今日は贅沢に熊をいただくとしよう。途中で臭いがあったのでな。


 いい感じに冬眠していた赤熊を三匹掘り出していただき、久しぶりに美味いと感じることができた。やっぱりオレ、熊が一番だ。


 満足して帰るとカルオンたちが集まっていた。


「集まってくれてすまないが、すぐに休ませてもらうよ」


「はい。ゆっくりお休みください」


 寝床に入り、すぐに眠りについた。


 次の朝、また撫でるような感覚に目が覚めると、巫女たちがレーキで梳いていた。


 ……もしかして、マッサージのつもりなのか……?


「ありがとな。とても気持ちいいよ」


 巫女たちに礼を言い、起きてきたロゼルとヤトアの体調を尋ねる。


「おれは大丈夫だ」


「わ、わたしも大丈夫です」


 ヤトアはともかくロゼルが強がりを言っているのはわかる。が、自分でついてくると決めて大丈夫と言うなら受け入れるだけだ。


「カルオン。頼むぞ」


 そう告げて出発。次は第五要塞を目指す。


 凹凸の少ない草原なので走りやすく橇の揺れもない。昼前には到着できた。


 二人に食事をするよう言いつけ、近くにいる白いワニ──ミドを何匹か狩ってきた。


 味は淡白だが、歯応えがあって食った気にさせてくれる。てか、冬でも生き残れるとか寒冷地仕様か、ミドって白いワニは?


「ここからは厳しいぞ。心しろ」


 もうレオノール国から外れ、山の中を通る。休む場所もないから橇での睡眠となるだろう。


「ロゼルは魚は食えるか?」


「はい。食べれます」


 では、途中の川でピラニアモドキを掬って食料とするか。


 その日は第五要塞に泊まり、次の日は朝早く出発した。

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