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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
発展期編

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152/225

152 災害再び

 最前基地には約四十人が常駐しており、五人一隊として三隊がパトロールに出ている。


 百匹以上いそうなバリュードと対峙するには少なすぎるが、レブとチェルシーが出張っていた。AAクラスになったチェルシーとモンスターと感応できるレブがいるなら各個撃破でバリュードを狩れる。第二次防衛線を突破できるクラスはそういないだろうよ。


「十年後は陸兵アースが欲しいな」


「アース、ですか?」


 オレの一人言をミゼルに聞かれてしまった。まあ、いいか。


「さすがに騎士ワルキューレで防衛線を守るのは不可能だし、人間が大量に攻めてきたときも広範囲に上陸されたらゼルム族の脚でなければ対応できないだろう?」


「確かに、我々だけでは長い防衛線は守れません」


騎士ワルキューレが最終決戦に投入するなら陸兵アースはその前哨戦に投入する戦力だな」


 軍隊と言う概念は人間がきたから知ってはいようが、時と場合と場所を考えて投入できる専門の兵士を創ることの意味まではわからないだろうからそう説明しておいた。


騎士ワルキューレ騎士ワルキューレとして役割を考え、陸兵アース陸兵アースとしの役割を考えるべきだろう。バリュードに勝ったとしてもまた違うモンスターが立つだけ。まだ余裕があるべきときに次を考えておくべきだ」


 レオノール国は広い。いくつかの種族が生息できるくらいに広い。その広大な生息地を守るには数を揃えるしかないだろう。


「ゴゴールでも猟兵イェーガーから電撃兵ライカーに分けた。そのことは聞いているか?」


「詳しくは聞いておりませんが、電撃隊ライカーズを立ち上げたことは聞きました」


「お前たちにも同じことをやれとは言わない。騎士ワルキューレはレオノール国の槍にして盾だからな。減らされては困る。陸兵アースは新たに設立するさ」


 今はまだ無理だ。ゼルム族はまだ二千人いるかどうかだ。そこから騎士ワルキューレを出してるだけでも無理をしている。新たに陸兵アースを出すなど国が滅ばせるだけである。


「お前たちはお前たちのやるべきことをやればいい。レオノール国の者が自ら立ち上がれるまではオレが守るから」


 ギギが幸せに暮らせるためにも国と言う器は必要だ。その器を守るためにもオレは駆け回らないとダメなのだ。


「力及ばず申し訳ありません」


「これはオレが望んでやることだ。お前らといるためにな」


 ギギを守ること、人の中で生きること。それはオレが選んだことだ。その努力を惜しむことはしないさ。


「オレはエサ探しと第二次防衛線の見回りにいってくる。ルゼ公爵が元気になったらいろいろ聞いておけ。レオノール国の槍と盾なら国の情報は頭に入れておけ」


 騎士ワルキューレに求めるものは多い。ただ槍を振るってるだけでは困るのだ。


「わかりました。レオガルド様に恥じぬ働きを致します」


「ああ。期待しているよ」


 謎触手でミゼルの肩を叩いて第二次防衛線へと駆けた。


 あっと言う間に到着し、とりあえず線上に走ってオレの臭いを撒き散らした。


「バリュードの臭い、ないな?」


 微かに残ってはいるが、何日も前の臭いだ。今の臭いではない。どう言うことだ?


 バリュードのテリトリーに入り、臭いを探しながら駆けるが、やはり臭いは微かだ。もう数日はいないってことだ。


 レブからはちょくちょく遭遇していたと聞いてたに、バリュードのほうでなにかあったのか?


 それならそれでこちらとしては助かるが、なにが起こっているかわからないほうが怖い。とんでもないことが起きてたらレオノール国にも被害があるかもしれない。確かめておく必要はあるだろう。


 ちょうどよく遭遇できたいいサイズの親子熊をいただいてからバリュードのテリトリーの奥へと入っていった。


 三時間ほど駆けると、バリュードの臭いが強くなってきた。


「なんか変な臭いもあるな?」


 これまで嗅いだことのない、なんだか土臭いものだ。


「……嫌な予感がする……」


 この臭いを嗅いでいると背筋が寒くなる。これは、ヤバいものだ。


 と、遠くでバリュードがキャンと鳴いた声が聞こえた。それも一匹や二匹じゃない。一つの群れが襲われている鳴き声だ。


 ヤバさがさらに増す。


 SSSのオレにヤバいと感じさせるものが近くにいる。


 不味いとその場から去り、ちょうどよくあった泥水に飛び込んで全身を泥だらけにして自分の臭いを消した。


 たっぷりと泥だらけになり、周囲の音、臭いに気をつけながらゆっくりと立ち去っていく。


 ……なにかくる……。


 オレの野生の勘がそう告げて草むらに身を隠した。


 メキメキ、バリバリと、怪しい音が近づいてくる。


 怯えるなどいつ振りだろうか? 恐怖と言うものがどんなものか思い出したよ。


 なにかはオレの臭いを辿ってきたようだが、泥で臭いを見失ったようで、すぐ横を通りすぎていった。


 それから恐怖で動けず、やっと我を取り戻したのは夜になってからだった。


「……まさか、数十メートルもある動く木がいるとはな……」


 指輪物語でも出てきたが、そんなファンタジーなもんじゃない。あれは捕食者、オレらのようなモンスターを食らう災害だ。


「クソ。フガクみたいなのがまだいるのかよ。なんなんだよ、この大陸は?」


 あんなのがいたらSSSランク、返上しないといかんな。


 まったく、バリュードだけでも大変なのに、あんなのまで相手してられるかよ! 

気にいってもらえたら次も読んでみてください。

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