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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
成長期編

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136 特殊個体

 猟兵イェーガーたちの走りに合わせると、平原までは一日近くかかるようだ。


 もちろん、ゴゴールとは言え休まず走れるなんてことはできないのでちょくちょく休んではいるし、暗くなれば野営もしたりする。体力は人間の数倍でもオレからしたら誤差でしかない。


 これでモンスターと戦わなければならないのだからこの鬼畜仕様だよな、この大陸は。まあ、SSSランクのオレですら勝てない存在がいるし、環境が変わればあっさり死ぬんだから生き残るためにがんばるしかない。


「想像以上に耕したな」


 前にきたときは野球場くらいの畑だったのに、たった一年くらいで視界の遥か先まで耕しており、横を向いたらしっかりとした小屋がいくつも建っていた。


 ……もう村になってんじゃん……。


「モンスターは近づいてこないのか?」


「はい。レブ様とチェルシー様が狩り尽くしてくださいましたので。たまに獣がやってくるくらいです」


「被害は?」


猟兵イェーガーの何人か怪我をするくらいで死人は出ておりません」


 獣はモンスターより敏感だからモンスターが現れたらすぐ逃げてしまい、いなくなれば戻ってくる。オレらにしてもゴゴールにしても厄介な存在なのだ。


「腹も減ったし、狩りをしてくる。食料は足りているか?」


「今のところは足りてますが、やはり人が増えたので肉を食う機会は少なくなりました」


 人が増えれば食う量も増える、か。まったく、苦労が絶えないぜ。


「わかった。手頃なのがいたら狩ってこよう」


「お願いします」


 まずは森側を攻めてみるか。


 獣の臭いはあちらこちらからするが、どれもこれも小物ばかり。臭いからして猟兵イェーガーでも狩れるていどのものだろう。


 まず、そんなものは無視。狩るのも億劫である。


 しばらく駆けると、強い獣の臭いを嗅ぎ取った。


 ……これは、竜獣か……?


 冬以来遭遇しなかったから冬に現れる獣かと思ったが、どうやらそうでもないようだ。


 臭いからして複数体いるな。やはり、群れで行動する獣のようだ。


 風下から向かったのにオレの気配に勘づいたのか、竜獣の群れが逃げ出してしまった。


 が、オレの脚からは逃れられん。すぐに追いつき、鞘からナイフを抜き、謎触手を操って竜獣の首を斬っていく。


「バラバラには逃げないんだな」


 狼ならバラバラに逃げるのに、竜獣は同じ方向にしか向かわない。もしかして、先頭にボスでもいるのか?


 まあ、それを確かめるのは次回にして、狩ったのを運ぶとしようか。


 三匹はいただき、五匹は串刺しにして平原の村へと運んだ。


「これ、食えるか?」


「はい。前に狩って食べました」


 猟兵イェーガーでも狩れる相手か。まあ、狼レベルだ。問題なく狩れるのだろう。


「旨いか、これは?」


「不味くはありませんが、猪を食い慣れておるので無理をしてまで狩る相手ではありませんな」


 そのレベルか。竜獣、人気ねーな。


「ただ、皮は重宝しております。人間に頼むと丈夫な皮の鎧を作ってくれるので」


 言われてみれば確かに猟兵イェーガーが纏っている鎧が立派なものになっていた。いや、気づけよオレ。


「そうか。それなら竜獣を狩るか。まだたくさんいそうな臭いがしたからな」


「でしたら、あちらの方向に巣を作っておりました。我らも狩ろうとしたのですが、特殊個体がボスになっていて黒曜石の刃では通じないのです」


「獣にも特殊なのがいるんだな」


 モンスターなら特殊能力を持ったヤツは珍しくもないが、獣で、となると初めて聞いた。獣でも特殊能力を持つこともあるんだな~。


「で、どう特殊なんだ?」


「見えない力で吹き飛ばされるんです」


「オレのような風でか?」


 訓練のとき風で吹き飛ばしたりもしたし、その見分け方、防ぎ方も教えたものだ。


「いえ、風ではありませんでした。ボスに睨まれた瞬間に吹き飛ばされました」


「念動力か?」


 風でないのなら念動力しか思いつかんわ。


「ねんどうりょくとはなんですか?」


「手を使わず離れたところにあるものを動かせる力だな。吹き飛ばすだけしかできないのなら全然使いこなせてない感じか」


 おそらく、睨んだときに力が発動して吹き飛んだからそうしているんだろうよ。


「意識が飛ぶくらいの威力か?」


「はい。岩に激突したのかと思いました。援護がなければ死んでいたでしょう」


 どうやらこいつが食らったようだ。生き残れてなによりだ。


「よし。近くにいる猟兵イェーガー隊を集めろ。竜獣を狩るぞ」


 どんな特殊能力が知っておく必要があり、今後のために猟兵イェーガーに特殊能力を持つ者の戦い方を学ばせるとしよう。


「わかりました。すぐに集めます」


 それから二日して三十くらいが集まった。


「ドーガはどうした?」


「平原の先にいます。バルバがまた活発になったので」


 いないと思ったらそっちにいってたのか。


「なら、ドーガの代わりに誰が仕切っているんだ?」


「隊ごとで行動してますので、誰とは決めておりません」


 うーん。それはオレの失態だな。こうなることを予想してなかったぜ。


「隊長は何人だ?」


「三人です」


 その三人を前に出させる。


「これからを考えて、一人ずつ指揮をやってもらうか」


 団長の他に副団長も創り、序列を決めていたほうがいいだろう。ゴゴールは序列重視なところがあるからな。


「巣まで何日かかる?」


「片道で二日です」


「なら、十日分の食料を用意しろ。出発は明日だ」


 今からならドーガまでのところに駆けてバルバ一匹なら狩れるだろうよ。


「では、明日の朝までには戻る」


 そう言って全力で駆け出した。

魔女のグルメ旅もよろしくです。

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