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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
成長期編

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134 ブランボルの代表

 結婚式が終わればまた報告会を再開させた。


 特に人間──コルモアやコルベトラの話は詳しく報告する。ゼルム族には人間と言う生き物を知っておいて欲しいからだ。


「人間がいる前で悪いが、やがて人間が大挙してこの大陸に攻め込んでくるだろう。人間は弱いが群れたら厄介で、非情になれる生き物だ。オレらなど虫けらにも劣る存在にしか思ってない。勝てないとなれば知恵を使い、甘言を用いて入り込んでくるだろう」


 侵略がダメだと悟れば交易したいと笑いなが入り込んでくるはずだ。


「強くなることは当然だが、知恵を身につけることも忘れるな。人間は言葉巧みに入り込む。特に神の教えを広めたいと言う輩は絶対に油断するな」


 獣神ししがみ教を広めているオレがなに言ってんだって話だが、信じれば天国にいけるなど説いてはいない。強く、賢く、気高くあれ。ってことを教えているまでだ。


「まず、ここにいる者らが下地となれ。他種族と交流し、相手のことを知り、上手く付き合える道をみつけろ。それは未来の子のためとなるのだから」


 くどいと思われても事ある毎に口にする。DNAに刻まれるくらいにな。


「ゴゴールにも言うが、あちらは少し手間がかかるだろう。まずゼルム族が見本となれ」


 守護聖獣たるオレからゴゴールを貶めることは言えないが、ゴゴールと対立していたミナレアの者ならオレが言いたいことはわかるはずだ。


「お手数おかけします」


 理解した長老の一人が頭を下げた。


「まだ報告したいことはあるが、ブランボルにも顔を出さんとならん。輸送隊からの情報をよく聞いて情報を共有させろ」


 春になればマイノカから輸送隊が出る。時間差はあるだろうが、人間が攻めてこない限り問題はないだろうよ。


 ブランボルへいく前にレブとチェルシーに会い、オレがいない間のことを頼む。もちろん、騎士ワルキューレたちにもよく言いつけておく。レブを蔑ろにするなとな。


「獣神様の巫女。蔑ろにする者がいたらわたしが排除します」


 団長ワルドたるミゼルが前脚を折って答えた。


 こいつも柔軟な思考ができるようになったものだ。


「ああ、頼むぞ」


 レブとチェルシーの頭を謎触手で撫でてやり、ブランボルへと駆け出した。


 途中で今日の分と明日の分の獲物を狩り、朝に着くよう調整する。


 朝方、狩りをしている猟兵イェーガーたちの臭いがしたのでいってみると、赤熊と戦っていた。


 風下から近づいたにも関わらず赤熊にバレてしまい、視界に入れる前に逃げ出してしまった。勘がいいヤツだ!


「これをブランボルに運べ。赤熊はオレがもらう!」


 大蛇を放り投げ、全力疾走で逃げる赤熊を追った。


「ハハッ! 元気でなによりだ!」


 サイズも大きく、逃げ足も速い。久しぶりに当たりを引いたぜ。


 一キロほどで追いつき、背後から赤熊を吹き飛ばしてやった。


 これも弱肉強食の掟。弱いものは強いものに食われる。次は強者に生まれてこいよ。


「いただきます!」


 頭から丸噛りし、内臓は残して美味しくいただきました。


「やはり赤はいい!」


 冬に食べるのも美味いが、春になって肥えた赤熊もまたいいぜ。


「ハー。赤熊、もっと増えねーかな~」


 いやまあ、増やしたかったら食うなって話だけどな。


 水場で汚れた顔を洗ってからブランボルにいくと、大勢には迎い入れられた。


「ようこそお出でくださいました」


「ああ。いろいろ報告があってやってきた。明日まで主だった者を集めてくれ。オレは神殿にいるから」


 まずは神殿の様子も見ておかないとな。


「レオガルド様!」


 神殿にも報告を入れてくれていたようで、神殿長のシャルタを筆頭に、巫女や守人ガーディたちが全員で迎えてくれた。


「久しいな。元気だったか?」


「はい。皆無事に過ごしていました」


「それはよかった。冬の間のことを教えてくれ」


 寝床につき、シャルタや他の巫女から冬の暮らしや問題事、ブランボルの様子をざっくりと聞かせてもらった。


 劇的なことはなかったが、御神体ヌイグルミを拝みにくる者が増えたり、移住してきた者らと交流したりと、なかなか忙しい冬だったようだ。


「仲良くやれててよかった」


 きっとギギの教えがよかったのだろう。ハァ~。なんかギギに会いたくなってきたぜ……。


 帰りたい気持ちを振り払い、広場へと向かった。


 朝も早くから主だった者らが集まっており、オレが姿を見せると、全員が立って迎えてくれた。


「レオガルド様。ここにどうぞ」


 と、バリュードの毛皮が敷かれていた。


 もしかして、バリュードの毛皮に寝そべるのが好きだと思われているんだろうか? 別にそんなこと言ってないんだがな。


「集まってくれたことに感謝する。楽にしろ」


 立っていた者が座り、見た目、四十歳くらいの男がオレの前に出てきた。


「この度、長老会議によりブランボルの代表を任されたカルオンと申します」


「そうか。なら一度、ゼル王の元へ向かい、挨拶するといい。そのときは猟兵イェーガーの一隊を連れていけ。鍛えられた姿を見せてやるといい」


 ゼルも各町を回ると思うが、その前に挨拶に向かわせたほうがいいだろう。王位を知らしめるためにもな。


「はい。挨拶に向かいます」


「ああ。だが、まずは報告会をしよう。レオノール国のためにな」


 司会をカルオンに任せ、ブランボルでの報告会を開催した。

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