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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
成長期編

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130 ネーミングセンス

 ミディアが遊んでいる間、ライザーを背に乗せてのんびり植物の探索をしていた。


 年齢的に植物の知識もないかと思ったが、なぜかいろいろ知っていた。


「とうさんは、そう言った知識は母親から受け継がれるって言ってました」


 ベイガー族の特殊能力か? 特性か? あまり側にいて見てないからよくわからんな。


 まあ、受け継がれると言うならそれを利用するまで。ライザーに食べれる植物、食べれな植物、役に立つ植物を教えてもらった。


「レオガルド様は頭がいいってミディーから聞いてましたが、何十もの植物を覚えられるって凄いです」


「頭がいいと言うか、これは獣の習性や特性が大きく働いているからだろうな」


「????」


「獣が鼻がいいのはわかるだろう?」


「はい。ミディーなんて臭いで識別してる感じです」


 ライザーといてまだ三日だが、ライザーはとても賢い。記憶力も高く、いろんな種類の植物に独自の名前をつけていた。


 ……この子のIQ、もしかしてかなり高いんじゃなかろうか……?


「オレは見た目のと臭い、野生の本能で食える食えないを判断している。つまり、その三つの要素で記憶しているわけだ」


 獣の脳に人間の記憶量が詰まっている。これはもう、獣の脳ではなくなってるはずだ。そんな脳に人の何百倍と増した嗅覚と弱肉強食で鍛えられた生存本能が合わさった。頭と体で覚えるのだから賢いとはちょっと違うだろうよ。


 ……これが人の名前まで働いてくれると嬉しいんだがな……。


「このアマツタ、吸うと甘いんですよ」


 ただ、ネーミングセンスは壊滅なのが困ったものだがな……。


 ライザーが黒曜石のナイフで切った蔓を口に入れた。


「ん~。確かに甘味があると言えばあるかな」


 オレの味覚では微かにしか感じられないが、ライザーにとっては喜ぶほど甘いらしいな。


「シロップより甘いのか?」


 ロドの木から取った蜜を煮詰めたものをシロップと呼ばせてます。


「シロップのほうが甘いです。でも、アマツタはクセが少なくて飲みやすいんです」


「そうか。なら、これも煮詰めてみるか」


 甘いものは多いほうがいい。ライザーが言うよにクセがないなら料理にも使えることだろうよ。


 アマツタを引っ張り、謎触手で丸めて持ち帰ることにした。


「モンパの花だ!」


 ゆっくり歩きながらミナレアを目指していると、ライザーがモンパの花なる匂いを嗅ぎ取った。


「食える花なのか?」


「いえ。パプパプが好む花なんです」


 ネーミングセンス独特すぎてなんなのか想像がつかんな。


 モンパの花のほうへ向かうと、紫色の花が一面に咲いていた。


「この花、よく見るな」


 花の蜜を吸うわけでもないから意識から外れていたが、春になるとあちらこちらに咲いていた記憶はあった。


「レオガルド様、あれ! パプパプです!」


 ライザーが指を差す方向にデッカい芋虫がいた。


 サイズは二メートルはあるだろうか? 数十匹のパプパプがモンパの花をムシャムシャ食っていた。


「モンパの花を食べたパプパプ、とても美味しいんですよ」


 これまでゲテモノを食ってきたが、芋虫に食欲はまったく涌いてこなかった。とは言え、ライザーが美味しいと言うなら食える蟲。食わず嫌いはダメだと、がぶりんちょ。スッゴい濃厚な蜜の味がした。


「美味いな!」


 なんて叫んでしまうくらい美味かった。


「ピーナッツみたいだ」


 濃厚ではあるがくどくはなく、すっきりとした後味。これなら五匹は余裕で食えるな。


「美味しいですね、レオガルド様」


 切り分けた芋虫を食べる姿はなんともシュールだが、元の世界でも芋虫を食う文化はあった。この世界では芋虫が二メートルはあるってだけだ。


「ゼルム族は蟲を食ったっけ?」


 記憶を探るが、魚を食ってたことしか思い出されなかった。


「バオは食べてました」


「バオ?」


 ネーミングからしてライザーがつけたものではないな。


「小さくて群れてる黒い虫です」


 ちなみに小さいのが虫。三十センチ以上のは蟲と表現してます。


「あ、これです」


 と、しゃがみ、なにかをつかんでオレに見せてくれた。


「蟻? これを食うのか?」


「はい。酸っぱいそうで、よくお腹が張った女性が食べてます」


 元の世界にも蟻を食う文化(デカい蟻をご飯にかけてたよ)はあったが、ゼルム族が蟻を食うとは思わんかった。


「お腹が張ったって、便秘に効くのか? 蟻って?」


 異世界の生き物は謎が多いな。


「ライザー、ベイガー族も食うのか?」


「はい。肉とバオを混ぜると肉が柔らかくなるので、硬い肉のときによくやります」


 酢豚にパイナップルを入れる理屈か? 見た目的にアウトだな。


「しかし、ベイガー族は知識があるな」


 霊樹に呪われて知能が低下してたのに、どの種族より物知りだよな。呪われてなければベイガー族がこの大陸を仕切っていたのかもな。


「とりあえず、パプパプを一匹持っていくか。チェルシーにも食わせてやろう」


 オレが食えるならチェルシーも食えるはず。土産に持ってってやろう。ミディアはそのうちでいいだろう。バリュードを追うので忙しいだろうしな。


 謎触手で持てるヤツを選び、ミナレアへと再出発した。

魔女のグルメ旅、よろしく。

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