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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
成長期編

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124 一難去ってまた一難

 意外と早くロイの花嫁候補がやってきた。


「レニーラ。久しぶりだな」


 定期的に食料を運ぶためにクレンタラ号がコルベトラにやってきたのだ。


「ああ。本当に久しぶりだな。たまにはミドットリー島にきてくれてもいいんだぞ」


「すまんな。あちらこちらで問題が起こってなかなかいけないんだよ」


「さすが森と獣のパラゲアナ。レオガルド様でも生きるのが厳しいようだ」


 この大陸、森と獣のパラゲアナって呼ばれてんだ。初めて知ったよ。つーか、そこまでして開拓したいとか、この世界の人間も業が深いぜ。


「ああ、厳しくてしょうがないよ。次から次と問題がやってくる」


「それにしては楽しそうだな」


「楽しそう、か。そうだな。暇じゃない日々なのは確かだな」


 なにも考えないで、本能のままに生きていた頃よりは毎日が充実している。今のオレはレニーラが言うように楽しんでいるんだろうよ。


 ……だからって問題は最小限にしてもらいたいがな……。


「実は、レオガルド様に頼みたいことがある。部下を一人預かって欲しい」


「預かる? なにかあったか?」


 レニーラの部下なら女のはず。そして、レニーラの部下なら男を拒否している女らだ。


「先日嵐に襲われて、そのときロープに絡まって片足を失ってしまったのだ」


 海でよくある事故らしいが、手足がなくなれば船には乗れない。そのまま海に捨てられないだけマシらしい。まったく、人権がない時代はクソすぎるぜ。


「なら、この男の嫁にする」


 ロイをレニーラの前に立たせる。


「この男にか?」


「ああ。マップの家名を与え、レオノール国の歴史とオレのこと伝えることを任せた。子々孫々にまで伝えるために嫁を探していたんだ」


「……レオガルド様のことを……?」


「ああ。すべてを教えた。ロイなら教えるに値する男だと判断してな」


 レニーラはロイに目を向け、上から下へと威圧するように見詰めた。


「……まあ、レオガルド様が認めたならそれだけの男なんだろう」


「ああ。だからお前がきたときは天の采配かと思ったよ」


「天の采配か。レオガルド様が言うと否定できんな……」


 それはオレも思う。これほど都合のよいことはないからな。


「その女の説得は任せるし、受けるなら女の暮らしはオレが引き受ける」


 非道とは言うことなかれ。この時代で弱いヤツは死ぬしかない。働けない者は

迫害される。オレの庇護がなければ男たちの慰み物になるだけだろうよ。


「わかった。レオガルド様が約束してくれるならそれが一番の道だろう」


 レニーラもわかっているようで、片足を失った女への説得に当たった。


 オレもオレでロイへの説得──するほどでもなく、あっさりと承諾した。マイアナ国では身分が上がるほど恋愛結婚はなく、上司からの紹介は名誉なことなんだってよ。


 ミドガリア帝国でも身分が上がれば上がるほど恋愛結婚はないとか。それを知っていたらもっとカップルを作りやすかったのによ……。


 女のほうも片足を失くしたことで気落ちしていたが、オレが選んだ男と言うことで、すぐに受け入れたそうだ。


「ロイ。しばらくミドットリー島へいって開発からこれまでのことを記録してこい。ミファリー。ロイを支えてやってくれ」


 ミファリーとは片足を失った嫁の名前だ。


「は、はい。夫を支えます」


「ロイ。嫁は大事にしろよ」


「もちろんです!」


 レニーラにも言いつけ、食料や薪、水を積んでミドットリー島へと戻っていった。


「いろいろ気を使う方ですな」


 なぜロイをミドットリー島にやったか理解したミドアが苦笑混じりに言ってきた。


「人間には配慮が必要だからな」


 種族それぞれの対処があり配慮がある。この場合、配慮したのはレニーラだ。


「レニーラ殿は男嫌いで有名でしたからな。レオガルド様に従っているのが不思議なくらいです」


 だろうな。あの女は気に入らなければオレにでも逆らうだろうよ。だからこそ、オレの秘密を話したのだ。ああ言うタイプは本音で語らないと打ち解けないからな。


「まあ、他の種族よりは柔軟性があるから楽だよ」


 元人間なだけに基本的考えはそう変わらないし、人間が一番環境になれてくれる。飴と鞭を使い分ければ楽なものだ。 


「他の種族は面倒ですか?」


「そうだな。楽なように見えて面倒なことばかりだな」


 まず、意識改革が人間より劣る。今のところそれぞれの特性のツボをついて従わせているが、安定期に入ったらそのツボはきっと重荷になるだろう。そこから内部分裂ってことも考えられる。


 まあ、そこは外からの刺激を利用させてもらうが、そこまで下地を作っておかなくちゃならない。面倒はひとしおだ。


「心中お察しします」


「理解できる者がいてくれて助かるよ」 


 謎触手でミドアの肩を叩いた。頼りになる人材がいてくれてなによりだ。


「レオ様! ブレイブたちがきたよ!」


 どこかに消えていたレブがどこかからか駆けてきた。


 ……レブを教育するためにきたんだがな……。


「一難去ってまた一難か」 


 まあ、ブレイブの場合はオレ自ら呼び寄せたんだがな。


「ミドア。仕事」


「偉くなると仕事が増えますな」


「それが偉くなると言うことだ」


 ああ、無常也。

今の推しは魔女のグルメ旅!

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