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どうもオレです 白虎っぽい獣に転生して守護聖獣となりました  作者: タカハシあん
成長期編

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112 猟兵試験

 ブランボルも秋の収穫に大忙しだった。


 オレたちを迎えたのは長老格と年寄りや幼い子供ばかりだ。


「よくお越しくださいました」


「ああ。若いのがいないってことは今年は豊作のようだな」


 出稼ぎもなんだか少なかった感じだ。


「はい。ミディア様がいてくだったのでモンスターに恐れることもありませんでした」


 長老格たちはわかっているようだな。他の者らがミディアをどう扱っていたかを。そして、オレがきた理由もな。


「忙しいだろうから歓迎など不要だ。冬を越えるようがんばってくれ」


 年寄りも子供も貴重な労働力。狩った獣を捌いたり加工したりとやることはたくさんある。オレらに構っている暇はないだろうよ。


 オレらは神殿へと向かい、神殿長のシャルタや巫女たちに迎えられた。


「シャルタ。元気にやれてるか?」


 巡回巫女により報告は受けているが、やはり直接顔を合わせ、直接声を交わさないとわからないこともある。オレらがくることで安心することだってあるからな。


「はい。皆様のお陰で元気にやれております。ただ、ミディア様のことは力になれませんでした……」


「それはお前のせいじゃないから気にするな」


 十年二十年で意識や価値観が変わるわけかない。シャルタががんばろうが覆させるのは無理だろうよ。


「ヤトア。守人ガーディたちと荷物を降ろせ」


 神殿用の食料や布、道具などを神殿の倉庫へと運ばせる。


「ギギはシャルタたちの話を聞いてくれ。オレは一回りしてくる」


 肉食系のモンスターはいないみたいだが、他の肉食獣にオレがきたことを示すために臭いを残しておこう。


「レオガルド様、お久しぶりです」


 出かけようとしたらドーガと幾人かの猟兵イェーガーが現れた。


「ああ、久しぶりだな。ちゃんと言いつけは守っているようだな」


 以前は槍だけだったが、今は弓矢を背負ったヤツや黒曜石のナイフをいくつも差したヤツがいた。


「はい。ミーノを狩れるようになりました」


 ミーノ──金毛の猿か。サイズ的にはまだ獣の域だが、俊敏なゴリラを狩るようなもの。ゴゴール族でも数人で当たらないと狩れない相手だろうな。


「ミーノをか。それは成長したな」


 こいつらの身になって考えれば成長だろう。なら、褒めるべきは褒めておこう。認めることは大切だからな。


 ドーガたちも満更でもない顔をしているよ。


「そう言えば、猟兵イェーガーは今何人だ?」


「八十人くらいにはなっております」


「八十人くらいか。それは多いと思うか? 少ないと思うか?」


 オレの問いの意味がわからず首を傾げている。


「誰でもなれる猟兵イェーガーと選ばれた者しかなれない猟兵イェーガー。どちらに価値がある? どちらに名誉がある? どちらに誇りを持てる?」


 これなら理解できなければお手上げだぞ。


「……選ばれた者しかなれない猟兵イェーガーです……」


「では、八十人は多いか? 少ないか?」


「……多いです……」


 多いのか。希少性を守るためにも八十人で打ち止めにして、一年に二、三人を補充する形でやっていくべきか?


「今後のためにも猟兵イェーガーになれる決まりを作っておけ。いや、今の猟兵イェーガー猟兵イェーガーとして相応しいかオレが試験する。今は収穫時期だから冬からする」


 いきなり減るのも困るから六十人としておくか。


「今、ミナレアでも騎士ワルキューレの試験を行っている。どんなことしているか何人かいってみるといい」


 なんの事前情報なしでも不安だろうし、この機会に事前情報を探ると言うことも学ばせておくとしよう。


「まあ、どうするかはお前らで話し合ってみろ」


 そう言い残して一回りへと出かけた。


 ブランボルを中心とし、螺旋状に外に向けて走っていってると、ミーノの群れを発見した。


「群れでいるのは初めて見たな」


 単独で動くもののはずと思ってたんだがな。ドーガたちを警戒して群れるようにでもなったかな?


 オレにとっては雑魚中の雑魚。群れようが狩るのに支障はなし。樹を伝わって逃げるミーノを追いかけ、壁キックの要領で樹を登っていき爪で背中を斬り裂いてやった。


 一匹二匹と狩っていき、群れを根絶やしにしてやった。


「猿系はなんか雑味があるよな」


 雑食からか肉に纏まりがなく、一匹一匹味が違っていた。


 三匹はいただき、残りはモズの早贄ばりに樹の枝に刺しておいた。帰りに持ち帰るとしよう。


 他にも肉食系の獣がいたが、オレの存在を知らしめるために軽く小突いてやり、威嚇して解放してやった。


「お、チェルシーと同じ種じゃん」


 ビノード──デカい虎と遭遇した。


 チェルシーが希じゃなくて、元からビノードの生息地だったのかな?


 雷を放つと、やはり毛を滑るように流れて、周りへと弾かれた。


「種としての特性なんだな」


 まあ、だからと言ってAランクモンスターなら爪と牙で充分事足りる──が、今は腹が満ちているので軽く痛めつけるだけにして逃がしてやった。


「繁殖して種を残せよ」


 オレが美味しくいただいてやるからよ。


 いくつかの村を回り、見つけた肉食獣は軽く小突き、平原へと向かってみた。


 平原を耕すことを始めたようで、かなり広い畑ができていた。


「レオガルド様!」


 畑仕事をしていた者らがオレに気がつき、仕事を中断して近寄ってきた。


「いい畑だな」


「はい! 人間たちからもらった芋も順調に増えております」


「そうか。それはなにより。モンスターは出ているか?」


「たまに出ておりますが、レオガルド様の毛の臭いに気がついて逃げています」


 オレの抜け毛、ここまで広まってんだ。


「バルバはどうだ?」


「少数は出ておりますが、我らの姿を見ると逃げていきます」


 冬になる前にバルバも狩っておくとするか。


「しばらくいるが、気をつけろよ」


「はい。ありがとうございます」


 しばらくゴゴールの畑仕事を眺めてからブランボルへと戻った。

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