表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リィーネ森の魔女  作者: にのまえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/67

65話

 一面、黄金色に実った小麦畑を眺めながら、私たちは畑道を進み、最初の村アーミ村へと向かっていた。


 先頭を行くのは軍馬に跨るローサン殿下、その後ろに騎士団長ミハエルと副団長リチャード。さらにその後ろで私は兄の背に乗り、初夏の風を感じている。


〈もうすぐ夏かぁ。四つの季節がある森の中にいると、外の季節を忘れちゃうね〉


〈そうだな。少し暑い〉

〈じゃあ、周りが涼しくなる魔法をかける?〉

〈頼んでいいか?〉


 私はこくっと頷き、手に持っている杖を軽く振り「涼しくなぁれ」と呟いた。自分と兄を包む空気の温度が、一、二度ほど下がる。


〈ふぅ、涼しい。ありがとう〉

〈どういたしまして〉


 それに気づいたのか、ホウキで並走していた、魔法使いアルバートが近寄ってきた。


「ねぇシャーリー。いま、何か魔法を使った?」


「うん。少し暑かったから、涼しくなる魔法を使ったわ」


「涼しくなる魔法? そんな魔法があるのか? 初めて聞いたよ」


「この魔法は魔女だけが使える、創作豊かな魔女魔法だからね。……でも、あなただって属性が違う二つの魔法陣を重ねて、魔法式を調整すれば、使えると思うけど?」


 淡々と答える私に、魔法使いアルバートは苦笑する。


「二つの違う属性? 魔法陣を重ねる? はは。二つをいっぺんになんて、僕にそんな器用なことができるかな。魔女の魔法は本当に変わっていて、面白いね」


「そうでしょう? いろんな書物、魔導書から学んで、何度も失敗しながら実験するの。だから魔女の魔法には、他では見ないものが多い」


 ――あなたには、とうてい真似できない。


 もしできたとしても、私はそこからさらに実験を重ね、魔法陣を変え、別の魔法へと変化させる。そうやって、独自の魔法を増やしていく。知らない魔法を知れば知るほど、私の魔法は豊かになる。


「やはり、魔女という存在はなかなか興味深い。今度、王都の喫茶店でお茶でも飲みながら、ゆっくり魔法の話をしたいな」


 アルバートの目の色が、わずかに変わった。


〈おい! シャーリー、そいつに興味を持つな〉


〈あ、ごめん。魔法の話だったから、つい夢中になっちゃって〉

〈はぁ……そんな事をしていると。あいつに、ますます気に入られるぞ〉


〈ううっ。無意識で話してた……私に、魔女に、興味を持たれるのは困る〉


〈だったら、気をつけろ〉

〈うん〉


 ほんとだめだ。魔法の話が好きすぎて、彼が“あの日の魔法使い”だという認識が薄れてしまう。


「忙しいから、お茶はごめんなさい」

「そっか、また時間があったらよろしくね」


 ⭐︎


 しばらく小麦畑の道を進むと、周囲を木の塀に囲まれた村が見えてきた。だが、魔物に襲われたのだろう、家屋は壊れ、地面は抉られている。


 先頭を行くローサン殿下と、その後ろの騎士団長、副団長は村の手前で馬を止めた。先頭の殿下は馬を反転させ、声を張り上げる。


「初めの村に到着した。あの村がアーミ村だ! 支援物資を乗せた荷馬車は村の中へ、魔女は僕についてきてくれ!」


「」了解しました」

「はい!」


 ――ついに、作戦が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ