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リィーネ森の魔女  作者: にのまえ


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52話

 森の木々が鳴いている。けれど、瘴気に侵された木々をどうすればいいのか、それを初めて目にした私には、判断がつかなかった。


 魔王達もそうなのか、ばつが悪い表情を浮かべている。後で王都の書庫で書き写した、魔女達の禁魔導書を読んでみよう。


「ほんとうは、再生魔法を試してみたいけど……午後には王都へ転移する予定だし、魔力はできるだけ温存したいな」


 少し考えて、私は頷く。


「そうだ。保存魔法をかけておこう」


 これ以上、状態が悪化しないようにと願いを込め、黒く変色してしまった森一帯に保存魔法を施す。これで、少なくとも変色の進行は止められるはずだ。


「よし。午後は王都に行くから、先にお昼にしよう。父、兄、何食べる?」


「肉カツのサンドがいい!」


「それはいいですね、キョン様。シャーリー、作るの手伝いますよ」


 肉カツ、揚げたてのお肉のサンドか。

 ちょうど魔冷庫に、ノノ豚の肉があったはずだ。黒もこ魔王やドラゴンも食べるだろうし、今日は全部使ってしまおう。


 そう決めて、兄と一緒にお昼を作るためキッチンへ向かった。


 ⭐︎


 キッチンで、兄にノノ豚を魔冷庫から出してもらい、私はカツを揚げる準備に取りかかった。


 溶き卵、小麦粉、それから食パンを削って作ったパン粉をトレーに並べ、コンロに火を入れる。揚げ油を注いだ鍋をかけると、じわりと油が温まり始めた。


 常温に戻した肉を切り分け、一本一本、丁寧に筋切りをしていく。次に塩コショウを振り、肉に小麦粉をまぶし溶き卵にくぐらせ、最後にパン粉をまとわせる。そのまま、熱した油へじゅっと小気味よい音を立て、衣をつけた肉を落とした。


 しばらく待ち、衣がこんがりと色づいたところで引き上げる。兄には隣で、フライパンにバターを溶かし、食パンを香ばしく焼いてもらっていた。


 その作業を繰り返し、すべてのカツを揚げ終える。仕上げに母と一緒に作った、玉ねぎ、にんじん、果物、数種類のハーブと調味料を合わせた特製ソースに、揚げたての肉をたっぷり浸した。


「うまそうだな」


「絶対おいしいよね。キャベツの千切りと、きゅうりも挟もう」


「いいなぁ。トマトは?」


 いいね、と頷きながら野菜を切り。

 兄が焼いたパンに野菜と、ソースを含んだカツを挟んでいく。残った野菜はサラダにした。


 カツを挟んだサンドイッチを食べやすい一口サイズのものと、父用の一枚丸ごとサンドを作り、大皿二つに盛り付けた。飲み物には紅茶を用意する。


「このボウルに、今から氷魔法で小さな氷を入れて出すね。グラスに氷と紅茶を注げばアイスティーも飲めるよ。あと、砂糖とミルクも用意しよう」


 お昼が完成し、庭のテーブルをいつもより魔法で広げて、どーんとカツサンドふた皿と、隣にサラダを盛った皿を置いた。


「一枚パンが父用で、あとは私たち用です。飲み物は紅茶です、自由に注いで飲んでください」


 人数分の紅茶入りポットとカップ、グラスをテーブルに並べた。

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