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リィーネ森の魔女  作者: にのまえ


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45話

「父、落ち着いてぇ! 契約者の母がいないいま、森からは出れないわ。もし出てしまったら……」


 父に、なにが起きるかわからない。


「そうです、キョン様。ここは落ち着いてください!」


 どうにか父の怒りを抑え込み、私と兄は調合室で並んで熱冷ましを作っている。原料のランコフ草の薬草に魔力を加えながら壺で煮込み、火から下ろし魔法で冷まして網でこす。


 その繰り返しだ。


 だからか、調合室の中にはランコフ草特有の青臭い香りが漂っている。私は熱冷ましを作りながら、昨日ルルーカの街で出会った男の言葉を思い出していた。


(あの男は村に魔物が出たと言ったわ)


 でも、それはおかしい。


 元凶の魔王は大昔に勇者によって倒されている。それ以降、この地に小型の魔物はいても、大型の魔物はいないと母から聞かされている。


(だけど、いけにえを必要とする魔物って、大型の魔物よね。うーん。……二日に一度は北の地にある祠の封印は確認している。私の見回りが甘くて、封印が解けかけている……?)


 そうだったらまずい、後で必ず見回りに行かなくては。そんなことを考えながら最後の濾す作業が終わり、壺の中でぐつぐつと煮込まれる、ランコフ草を見つめていた。


「シャーリー、こっちの熱冷ましは出来たぞ」


「ありがとう。私の方も完成よ。あとは分量を測って、薬瓶に移せば終わりね」


「そうだな、計量機を準備するな」


 出来上がった熱冷ましを魔法で冷やして、慎重に計量機で計量し、緑色のガラス瓶へと流し込んでいく。この薬は飲み過ぎてもいけないし、少なすぎれば効果が出ない。だからこそ、分量には細心の注意が必要だった。


 数時間かけて、兄と二人で十本の熱冷ましを完成させた。これは個々の依頼ではなく、王家から直々の依頼だ。この薬は私たちが直接届けるのではなく配達鳥に託して、城門の騎士へと届けてもらう。


 配達鳥を呼び、薬瓶を預けると、私はすぐに厚手の服を身にまとった。これから向かうのは冬の季節を封じ込めた北の地。


 今回は、いつもの森の見回りではなく、封印の祠へ直行する。ホウキを手に外でくつろぐ、父と兄に声をかけた。


「父、兄。少し気になることがあるの。北の森にある、封印の祠まで行ってくるわ」


 ホウキに乗り飛び立とうとした瞬間、兄が私の腕を掴んだ。


「待て、シャーリー。俺も一緒に行く」


「いいけど……ホウキの後ろに乗る? それとも走ってついてくる?」


 兄は迷わずホウキを選んだ。厚着をしたヴォルフ兄を後ろに乗せ、私は空へと舞い上がる。少し前にローサン殿下を乗せたときとは違い、兄との距離はやけに近い。


(……どうしてかしら)


 背後から伝わる兄の体温に、胸の奥がざわつき、落ち着かなくなる。

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