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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第十章 魔導国学園騒動

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初めての授業

 治癒術の授業の為に再び教室へ行くと、先程とは違い騒がしい雰囲気が無く。

どちらかというと、何故か娘であるダリアの周りに生徒が集まっていて……


「なぁ、お前の父ちゃんすげぇな……あそこまで凄いと結構娘としては疲れたりすんじゃねぇか?」

「ん?別に疲れやしねぇよ、どっちかというと母さんの方が怖いな……」

「……まじかよ」

「まじまじ、優しい部類には入ると思うけどさ、怒らせると怖いんだぜ?この前何て──」

「ダリアちゃん、レース先生教室に来てるよ?」


 ダートが怒ると怖い?確かに機嫌が悪くなると、かなり反応が冷たくなるけどそれは怒らせる方に問題があるからしょうがないと思う。

この前だって、ダリアが自室で精霊術を試そうとしたら失敗したとかで、部屋に置いてある家具があっという間に劣化してボロボロになってしまい全て買い直す事になった。

それに関してはどう見ても娘の自業自得だからしょうがないと思いつつ、久しぶりにコルクに会えると喜んで出かけてたから、ある意味良い気分転換にはなったのかもしれない。


「げぇっ!父さん何時からそこにっ!」

「げぇって……ダリアさん、今から治癒術の授業ですわよ?レース先生が来るのは当然じゃなくて?」

「エスペ……来てるなら早く教えてくれよ」

「あら?編入性がクラスの仲間と交流を深めてるのに、邪魔をする必要がありまして?そう思いませんこと?スパルナさん」

「え、えっと、その……」


 少し前まで、スパルナに対して冷たい対応をしていたエスペランサが……何があったのか、笑顔で彼女に話しかけている。

その光景に何とも言えない気持ちになってしまい、教壇へ向かう足が止まってしまうが……


「レース先生、早く教壇に上がり授業を始めてくださいまし……、このエスペランサ・アドリアーナ・ウィリアムが、生徒達とお話して授業を全員で受けるようにと動きましたわよ!」

「えっと……うん」

「あっ!後、ダリア様の言葉やレース先生の話を聞いて私思いましたの、親が誰で何をしたかとかで相手を区別するのは良くないって!だから私、これからはスパルナさんとお友達になりますのよ?」

「わ、私と……おと、おとも、だち?」

「えぇっ!今まで失礼な態度を取っていた事をお詫びいたしますわっ!」


 スパルナが戸惑っているけど、エスペランサが反省をして仲良くなりたいというのならそれでいいのではないだろうか。

そんな事を思いながら教壇に上がり、教卓の前に立つと……


「えっと……これから治癒術の授業を行おうと思うけど、その前に君たちは何処まで人の身体について理解してるか教えて貰ってもいいかな」

「人の身体?そんなん……肉と骨と内臓だろ?」

「……大まかにはそうかもだけど、実際には違うよ」

「はぁ?違うって言われても、全然分かんねぇよ!」


 教室での自己紹介の時に、魔術で攻撃して来た生徒の一人が声を荒げるけど……こればっかりはしょうがないと思う。

人には骨が約200個あるが、何故約なのかというと……人それぞれ骨の数に多少の違いがあったりするからで、もっともな例だと幼児から大人になる過程で300本以上ある骨が減り、成人する頃には200になる。

そして更に歳を取り老化するにつれて、骨の数が減り大体190前後になるが、これに関しても個人差がある為、実際にこの数だという明確な数字を言う事は出来ない。


「例えば、人の身体には血管や神経があるわけだけど、治癒術を使い患者の傷を治す際に……肉体だけを治した場合、軽い怪我程度なら問題無いけど、例えばそうだね」

「あぁ?例えばってなんだよ」

「ちょっとあなたっ!レース先生が折角ありがたい授業をしてくれているのだから、文句を言いたいながら静かにしてくださいまし!私達はレース様の授業内容をしっかりとノートにメモを取ったりするので忙しいのですからね!」

「……エスぺ!レース先生が来てからいきなり態度変わり過ぎじゃねぇか?、今まで通り気に入らない先生を追い出して、俺達で自習するべきじゃねぇか?」

「自習していても学べる事は少ないですわ、大事なのはレース先生が教えようとしてくれている事を黙って聞く事ですのよ」


 今までとエスペランサの態度が変わりに過ぎたせいで、不快感を抱いたであろう男子生徒が席から立ち上がり彼女へと近づこうとするが、まるでタイミングを合わせたかのように教室の扉が開いたかと思うと、治癒術の授業に必要な道具を持ったカエデが中に入って来たかと思うと顔を僅かに赤らめながら……


「私の旦那様、言われた道具を持ってきましたよ」


 恥ずかしいなら無理して言わなくてもいいのにと思うけど、ここで反応してしまったら面倒な事になる気がする。


「ありがとうカエデ、取り合えず持ってきてくれた物を教壇の上に置いて貰っていいかな」

「はい、旦那様」


……ぼくが返事をすると、カエデはてきぱきと要領良く人体模型や、人の血管及び神経を詳しく書いた図面、人の内臓の形をした模型を配置していく。

取り合えずこれで、後は本格的な授業を始めるだけだと思ってると『レース先生の奥様ですの!?私エスペランサ・アドリアーナ・ウィリアム、あなたの旦那様の能力に惹かれた生徒ですわ!』と声高らかに名乗るエスペランサの姿があった。

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