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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第九章 戦いの中で

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【死人使い】ルード

 ルードは周囲を確認するような仕草をすると、ぼくの方を見て……


「見つけた……僕の獲物」


 と口元を下弦の三日月のように歪める。

そしてスッ……と表情が抜け落ちたかと思うと、周囲の状況を観察しだして……


「僕の友達が……森を出たら灰になって崩れてる?、なんで?もしかしてこの地面が原因?変なの……じゃあ、これならどうかな」


 森から出ようとしていたアンデッド達の姿が、ベルを残して全員崩れ落ちたかと思うとそのまま森の中へと消えていく。

すると……地響きを起こしながら身体が骨で出来て、所々が人の身体で肉付けされた異形のドラゴンや巨人族が姿を現し、空を飛びながらぼく達へと迫る。


「……精霊騎士たーい!!前へ!、第一陣遠戦特化精霊の展開、精霊術発動準備!5、4、3、2、1……撃てー!」

「「「ってー!!」」」


 後ろで精霊騎士達の声がしたかと思うと、頭上を数えきれない程の術が飛んで行く。

炎や水、土の塊等がそのままドラゴンへと当たったかと思うと、そのまま地面へと撃ち落としその身体を劣化させて灰へと変える。


「第一陣後ろへ下がり精霊への魔力の補給を開始せよ!、第二陣前へ!」


 再び掛け声と共に同じような攻撃が頭上を通過して行き、跳んで劣化の効果範囲を跳び越えようとした巨人族をその場に縫い留める。

しかし身体が頑丈なのか、数体跳び越えてぼく等の方へと向かってくるが……


「跳び越えて来た奴らは俺達が相手する!メイディの冒険者の意地を見せてやれ!」

「傭兵団も続け!冒険者達に送れんじゃねぇぞ!」


 冒険者と傭兵達が巨人族に向かっていく。

そして各々が武器や魔術を使い脚を攻撃してバランスを崩すと……


「まずは脚を使えなくしたら胸か心臓を狙え!アンデッドはそこに魔力の核がある!破壊したら止まる!」

「「「おぅっ!」」」

「そんな悠長な事してる暇なんてないよ!、あたいが止めを刺すからあんたらは脚を止めな!」


 下半身を蜘蛛へと変えた死絶傭兵団のネフィーラが子供の団員達と髪の毛で作られた異形の怪物を背に乗せて現れる。

そして脚が破壊されて倒れたアンデッドの上へと昇ると化け物を降ろして地面へと飛び降りると同時に、巨人族の身体が紫色に染まったかと思うと異臭を放ちながら肉体が溶け始めた。


「おまえら!依頼主のレースの旦那の前でぼさっとすんな!冒険者、傭兵、今は競わずにやるべきことをやれ!」


 人の身体の上半身に、牛の頭部と下半身を持ち全身が炎に包まれ、巨大な戦斧を両手に持った獣化状態のガルシアが、一振りで巨人族の脚を切断して叫び、それに続くように死絶傭兵団の団員である子供の獣人族達が、何処にそんな力があるのか拳の一撃で肉を吹き飛ばし、そこに残りの子達が魔術を使い骨を砕き、ネフィーラが異形の怪物をアンデッドの上にのせて効率的に破壊していく。

これがあのSランク冒険者【死絶】カーティス・ハルサー率いる傭兵団の実力、周りの冒険者や他の傭兵達と比べると余りにも実力が違い過ぎた。

けど……


「……う、うわぁぁ!?」


 巨人族の骨が崩れ落ちたかと思うと、そこから無数のスケルトン型のアンデッドが生み出され不意を突いて襲い掛かる。

骨で出来たのこぎりのような刃が付いた剣で相手に切りつけると、それを前後に振り深い傷を負わせていく。

……急いで治療しないと命に係わるかもしれない、そう思って飛び出そうとするけど


「レース、俺達の相手はルードだ……治療はメイメイに任せろ」

「そうだよ、皆がアンデッドの相手をしてくれているのにあたい達が持ち場を離れてどうすんだい、やるべきことをやるんだよ」

「けど……それじゃ……」


 ルードがぼくの方を見て翼を広げると、そのまま腕をこちら側に向けて伸ばした。

すると……森の奥から首の無い騎士がアンデッドに乗って数体現れ、どういう原理なのか宙を駆けて冒険者と傭兵達の元へと向かう。

他にも人の腕が無数に生えている肉の塊が何体も転がって来たかと思うと劣化の効果範囲に入る前に跳び上がり精霊騎士がいる方向へ向けて高速で移動を始め、ミイラのような顔をした黒い布切れのようなローブを纏った杖を持つ集団や半透明の身体を持つ人型の何かが現れたかと思うと、何やら呪文を唱え始め精霊騎士達の遠距離からの魔術の攻撃を迎撃し始めた。


「……まずいな、デュラハンにフレッシュゴーレム、それにリッチじゃねぇか」

「他にもゴーストもいる……、これは数的にどう見ても不利だね」

「やっぱりあっちに行った方がいいんじゃ……」


 そう思い動こうとした時だった。

地面から木の根が現れたかと思うとフレッシュゴーレムを締め上げて破壊し、周辺が赤い霧に包まれる。


「……国民達を傷つける何て事はさせないのじゃ!ダリアよ!もう我慢がならん、余は戦場に出るのじゃ!」

「あぁもう!何かあったら怒られるのは俺なんだからな!」

「危なくなったらちゃんと撤退するのじゃよ!……レース!ここは余に任せておぬし等はルードを捕らえるのじゃ!」


……メイメイはそう言いながら丸薬を取り出して飲み込むと、身体から魔力の光を噴出させて縦横無尽に戦場を駆けまわり負傷者達を一つの場所へと集めて行く。

それと同時にルードが宙へと浮かび上がると、ぼく達に向かって突っ込んでくるのだった。

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