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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第九章 戦いの中で

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秘密のお話

 ぼくの話を聞いた後、そのまま黙ってしまったライさんを見て何か間違えた事をしてしまったのではないかと不安になる。


「……アナイス・アナイアレイトは協力すると言って周囲をこんな状況にしたんだね?」

「そうだけど、何か引っかかるところが?」

「考えすぎなら良いんだけどね、このメンバーの中で司令等の役割が出来るのは俺だけだと判断して消そうとした可能性があるんだよ」

「もしかして手を貸すついでに、厄介な相手を消そうとしたって事?」

「戦闘訓練で連携の為に外でモンスター狩っていたけど、それ以外にも理由があるんだ……何だと思う?」


 何だと思う?って言われてもぼくの頭では、これと言って思い浮かぶような物は無い。

そんな余裕が無かったっていうのもあるけど……単純に連携力を高める訓練だと思い込んでたのも理由だろうか。

いや、あの状況でそれ以上の事を考えろって言っても無理な話だ。


「んー……考えても分からないかな」

「という事は俺の考えた流れ通りになってるみたいだね」

「……流れ通り?」

「この国はアナイス・アナイアレイトにとって自分の縄張りのようなものだからね、そんな彼女が外部の人間が戦闘訓練と称して外に出て、モンスターを狩ってるのを見たら……確実に何処かで監視をする筈だよ」


 つまり予め監視されてる事を、視野に入れて行動していたという事だろうか。

ただそれなら先に教えておいて欲しかったと思うけど、その場合顔に出ていたかもしれないから、やっぱり知らない方が良かったのかもしれない。


「何せ自分が把握している国の戦力外の人物だからね、その中で前衛を担当するレース君、状況に合わせて後衛と前衛を使い分けるハス、そして中衛にて全体に指揮を出しながらサポートに当たる俺と来たら……この三人の中で最初に始末するべきは司令を出す人だろうね」

「……そうする事で冷静な判断が出来なくなるから?」

「その通り、司令等がいなくなりルードとまともに戦えなくなり、敗北した場合……反乱軍を抑えているメイディの騎士達の所に向かうだろうね」


 雪の狼二匹とハスとぼくを合わせたパーティで戦った場合、今まで二匹と三人のパーティーで動く事を想定した連携を組んでいたから……、上手く動けなくなり敗北する事は確かにあるかもしれない。

それ以前にメンバーが揃っていたとしても騎士の人達が戦うのはアンデットの集団な気がする。


「でも……反乱軍はアンデッドになってるんじゃ?」

「そうだね、つまり彼らが戦うのは不死の集団になるだろうけど……もし俺達が負けた場合、騎士達も同じようにルードの手でアンデッドにさせられ最悪の結果になるだろうね」


 でも騎士の人達がアンデッドになっても正直、そこまで強い人達ではないから問題ない気がする。

むしろ反乱軍に参加している人達の方が強いのではないだろうか、あっちには冒険者の人達もいるだろうし、どう見ても実戦経験的にもあちらの方が上だろう。


「……どうしてアナイスはそんな事を?」

「そこまでは分からないかな……ただ、そうなったら最悪な結果になるのは確かだよ」

「でもさ、騎士の人達ってそこまで強くない人が多いからアンデットになっても怖くないんじゃ?」

「そう思うのはレース君が見習いの騎士しか見た事無いからだよ、彼らはある程度の実力が付いたら精霊と契約して精霊騎士という立場になる、そうなったらCランク冒険者に匹敵する実力になるから決して弱くは無いかな、まぁ俺達と比べたら弱いのは確かだろうけど、国内を守ったり……人同士の争い例えるなら戦争をする程度なら充分だよ」


 ストラフィリアがメイディに戦争をしかけた時にSランク冒険者【福音】ゴスペルが出てきたり、その時に【滅尽】アナイス・アナイアレイトが乱入したという過去があるけど……、あれは例外なのだろう。


「まぁ、たまに例外が起きたりはするけどね」

「ストラフィリアとメイディの間に起きた事だよね?」

「……良く覚えてるね、とりあえずこの話はこれ位にしておこうか他にもアンデッドを調べて気付いたた事があるけど、今は少しでも早く俺はここを離れたいからね」

「離れたいってどうして……?」

「アナイスの頭の中では俺が死んだ事になっている筈だからね、出来ればルードが攻めて来るまでの間……隠れておきたいんだ」


 そう言うと魔導具の袋を再び広げる。

……もしかして空間収納の中に入るって事なのだろうか。


「この中に入っておけば、外からは俺の存在を感知する事は出来なくなるからね……、だからハスには俺をここで見たことを内緒にして欲しい」

「ハスには本当に伝えないでいいの?」

「あぁ、俺の生存が分かったら安心して行動に余裕が出てしまうかもしれないだろう?、そうなった場合アナイスに勘づかれる可能性があるからね」

「事情は分かったけど……、ぼくはどうやってライさんと連絡を取ったらいいかな、何かあった時に指示を受けた方がいいと思うんだけど」


……ぼくがそういうと『ならレース君にはこれを渡しておくよ、これを片方の好きな方の耳に付けると遠隔からでも俺の声が届くようになっているからね』と言って、イヤーカフスの形をした魔導具を取り出す。

指示に従い耳に付けると、頷いてライさんが袋の中に入り何処にもいなくなるのだった。

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