表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第九章 戦いの中で

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

362/576

不穏なお話

 ふと戻ってる最中にライさんに空間魔術を使って貰って直接戻れば、時間を気にしないで良かったのではないかと思って試しに聞いてみたら……


「この短剣に魔力を流す事で任意の空間魔術を使えるけど、適正にない魔術を使うから魔力の消費が激しくてね……、必要な時以外はできれば使いたくないんだ」


 と言う返事が返って来て察してしまう。

ぼくも空間魔術を使う時は集中しなければいけないし、普段よりも疲労感があったりする。

一応治癒術と合わせて使う為に時間さえあれば練習しているおかげで、空間収納なら直ぐに使えるようになったけど……他の術に関しては正直実践レベルではないのが現状だ。


「……ぼくも空間魔術を少しだけ使えるから分かるかも」

「何というかレース君には親近感が湧きそうだよ、同じ希少な属性が仕えて尚且つ空間魔術が使えるんだから」

「遠縁とはいえライさんもマーシェンスの王族の血縁っていうのも、何か縁を感じるよね」

「まぁ……俺の場合は血が薄すぎて王位を継ぐ事なんて不可能だけどね、おかげでこうやって自由に生活出来ているから、今の生活には感謝してるよ」

「……の割にはいつもお腹が痛そうなの、ライは実質的な騎士団のナンバー2なんだから無理をしないで欲しいの」


 ランが心配げにライさんを見るけど、実質的なナンバー2って事は団長であるカエデの父親の次に偉いと言う事になる。

そんな偉い人がこうやってぼくと仲良くしてくれて親近感を抱いてくれているのって、もしかして凄い事なのかもしれない。


「ん?レースくん、不思議そうな顔をしているけどどうしたんだい?」

「いや、騎士団のナンバー2って事は副団長のカエデはどうなのかなって」

「……あの子は副団長という立場にはいるけど、実際の所はまだお飾りにしか過ぎない、ただ何れは団長と言う立場を継ぐべき人物だからね、今のうちに俺達が育ててるんだよ」

「レース、これは内緒にして欲しいの……、いずれ私達は団長を討ち取ってカエデちゃんを団長の座に置くつもりなの」

「それって……下剋上を起こそうとしてるの?」


 ……まさか最高幹部の人達がそんな事を考えている何て思ってなかった。


「下剋上だ何て難しい言葉を知っているね、前に話したように今の栄花は中立的な立場とは到底言えない、現状を変える為に現団長を倒して大きな変化を作らなければいけない」

「でも……この計画に賛同してるのは私達最高幹部の一部だけで他の団員特に幹部クラスの団員は団長派だから敵になる、だからこの事に関しては内緒にして欲しいの」

「……この事はカエデは知ってるの?」

「もちろんカエデ姫は知っているよ、メイディで彼女と合流した時に話した時は否定的だったけど……、先日団長と話した時に何かあったみたいでね、今は俺達の計画に賛同してくれているかな」

「ならいいけど、賛同していない最高幹部って誰なの?」


 という事はこの戦いが終わったら、今度は栄花騎士団内での戦いに巻き込まれる事になるのか……、何ていうか周囲の環境がどんどん目まぐるしく変わるせいで、これからの事を考えると目が回ってしまいそうだ。

とりあえず今は目の前の事に集中しておこう。


「……私のおにぃなの」

「おにぃ……ソラさん?」

「あぁ、彼は団長にランを保護して貰ったという恩があるからね、あぁ見えて義理堅い男だから敵に回ることが出来ないんだよ」

「だから私がちゃんと独り立ち出来ておにぃを安心させる事が出来れば……、そう思ってカエデちゃんの要請に従ってここに来たの」

「なんか色々とあるんだね」


 正直ランとソラの関係についてはカエデから聞いた事があるから少しだけ知っているけど、今のぼくにはあんまり興味が沸く内容ではない。

ただでさえもうすぐケイスニル達が攻めて来るのに、更に他の事もやるとなるとぼくでは不可能だ。


「レース君の言うように色々とあるんだよ……、ただ君はカエデ姫の旦那になる男だからね、君に協力をお願いする可能性がある事だけ頭の隅に入れておいて欲しい」

「……その時はどうすればいいの?」

「今はまだ言えないかな、その時になったら俺から通信端末越しに君に連絡を入れるよ」

「……分かった」

「ありがとうレース君、事情を深く聞かずに受け入れてくれた事に関して礼を言うよ」


 深く聞いたところでぼくに出来る事何てその時にならないと分からないんだから、後で連絡をくれるのならそれを待てばいい。

それにぼくにはダートの事もあるし、出来ればあれこれ聞いた結果顔に出てしまい彼女に心配をかけるような事をしたくないというのもある。


「さて、首都が見えてきたね……予定通り日が暮れる前について良かったよ」

「……ん、私はこのままカエデちゃんの所に行くの」

「あぁ、それなら今の時間ならダートと一緒にいると思うから案内するよ」

「ありがとうなの、じゃあ一緒に行くの」

「それなら俺はこのまま部屋に戻って今日は休ませて貰おうかな」


……首都に戻ったぼく達は入り口で別れの挨拶を交わすと、各々の目的地に向かって歩き出す。

その道中でメイメイとダリアが何やら楽しそうに話してるのを見たけど、確かこの時間はメイメイから精霊術を教えて貰ってるらしいし、彼女なりに頑張っているんだろう。

そう思いながら通り過ぎるとダート達がいる部屋の前に立つのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ