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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第八章 戦いの先にある未来

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ぼくとの連携の仕方

 入ってきたライさんに一連の流れを説明した後再びお腹のあたりをを抑えてしまう。


「……喧嘩に付き合って欲しいとは言ったけど、どうしてハスの嫁候補が決定しているのかこれがわからない」

「いやさ、アキにも日頃言われてたからよぉ、俺が早く結婚しないと安心して嫁になれないって」

「だからってお前……、自分よりも一回り以上年下でレース君の娘を嫁候補って正気か?」

「俺は本気だぜ?ダリアの性格が気に入っちまったんだ」

「……まさかお前が少女趣味だ何て思わなかったよ」


 あぁ、ライさんの胃がストレスで本格的に終わりそうだ。

個人的にもぼくもダリアが取られると思うと同じように内臓を痛めそうだけど……、彼程ではないと思うから少しだけが万する。


「俺は認めたわけじゃねぇけどな……けどまぁ」

「けど?ダリアさんどうしたんだい?いやならしっかりと言った方がいいよ」

「俺をガキみたいに扱うんじゃねぇよ……、取り合えずこいつと居て悪い気はしねぇから、この国にいる間のお試し期間としてなら考えてやる、これが俺の出来る譲歩だな」

「だってよライ!、これで俺が上手くいったら……妹の事頼むぞ?」

「今はその話よりもレース君を交えた連携について考えた方がいい」


 何を見せられてるんだろうという気持ちにまたなるけど、妹を安心させる為にダリアを利用しないで欲しい。

ライさんの言うように今は他にやるべき事がある筈だ。


「ハスの喧嘩に付き合ったんだから次はぼく達の番だよね?」

「……そりゃそうだな、とりあえずレースとの連携について俺から提案が一つあんだけどいいか?」

「提案?さっきの戦いで何か思うところがあったのか?」

「あぁ、レースと一緒に戦うなら好きにやらせて俺達が合わせた方がいい」

「周りが俺に合わせろというスタンスなお前がそんな事を言うようになるなんてな、話を聞いた時にハスと戦い方が似ている感覚派だと思ったがそこまでか……」


 感覚派ってぼくなりに考えてはいるんだけどな……


「厳密には違うな、こいつは実戦の経験と【叡智】カルディアと【黎明】マスカレイドの元で育って来た学んだ治癒術師としての知識と経験、そして二人から継承した魔術の理論から新しい戦術を思いついたりしやがる……、つまり俺達に出来ることはレースに合わせた連携を覚える事なんだよ」

「……なるほど、という事はこれからの対人経験次第では伸びるという事でいいのか?」

「あぁ、栄花騎士団の中で一番の戦いが好きな馬鹿が保証してやるよ、レースは戦士としての才能は無いから俺達みたいな達人にはなれないが、治癒術と魔術を扱う術師としては達人の域だし、訓練次第では戦士としては辛うじて一流にはなれるってな」

「……ハスがそこまで言うのは珍しいな、なら今すぐ出来る俺達がレースに合わせ連携する為に必要な物は何があると思う?」

「そりゃあ、俺よりもライの担当だろ?俺は感覚で相手を見て感じた事を言う、あんたはその優秀な頭で考えた事を試してくれればそれでいい、な?相棒」


 さっきの喧嘩で一方的に負けてしまったぼくの事をそうやって評価してくれているのは嬉しい。

けど……ハスが考えた連携の組み方よりも、ライさんが考えてくれた方が良い気がするのは確かだ。


「わかった、ならレース君悪いのだけれど俺とも手合わせをお願い出来るかな……疲れているのなら少し休憩して貰っても構わない」

「話してる間に大分体力も戻ってきたから大丈夫……、それでライさんが納得できるならやるよ」

「ありがとう、ただ俺は栄花騎士団の中では事務作業をしている事の方が多いから戦いにおいての能力は最高幹部の中でも下から数えた方が早いくらいだからね、お手柔らかに頼むよ」


 そう言ってぼくに近づくと立つように促してくるから、立ち上がり再び心器の大剣と長杖を顕現させるが……、ライさんはその場に構えるだけで心器を出したり武器を持つ様子がない。


「ライさん、武器は持たないの?」

「俺は基本的に武器をあんまり使わないからね、手足を使った戦い方の方が得意なんだ」

「……でも、心器を出した方がいいんじゃ」

「確かにそれもそうだね……やるなら対等の方がいいか、悪いねレース君、心器を使わせて貰うよ」


 ライさんの目の前に黒い篭手が一組現れたかと思うと二つに分かれる。

それをそれぞれの腕に装着すると電流が全身を包み込み青白い輝きを放つ。


「これは【雷纏い】、心器を装着する事で自動で雷の魔術が発動して全身を覆い触れた相手を負傷させる事が出来るんだけど……それ以外にも応用が出来てね、レース君は賢王ミオラームと一度決闘したと聞いているから見たことあると思うけど」

「もしかして、金属の塊を飛ばしたりするあれ?」

「あぁ、それと似たような事が可能になる……、しかも電気を流した物を手足のように扱う事が出来るようになるけど、今回は使わないでおくよ、君の実力を見る為で殺し合いをする訳じゃないからね、じゃあ行くよ」


……ライさんの姿が目の前から消えたかと思うと、予め発動させていた【自動迎撃】が反応する。

周囲が雪の壁に覆われたかと思うと、周囲から連続で打撃音が鳴り響くのだった。

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