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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第八章 戦いの先にある未来

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反省会と強くなる方法

 反省会と言っても一体何をするのだろうか……。

相性が悪かった以外に何があるのか、ぼくではわからない。


「……まぁなんだ?レースも座れよ、ダリアは俺の隣な?」

「なんで俺が隣なんだよ」

「そりゃあ、俺がバカしそうになったら止められんだろ?」

「っち、あぁもうわかったよ!父さん以上に手間がかかる奴だなおめえはっ!」

「そういいながらも隣に来てくれるあたり、口は悪いけど根は良い奴だって分かるな」


 ……反省会のはずなのに何故二人のやり取りを見なければいけないのか。

とはいえここまで相性が良さそうだなぁって思う姿を見せられると複雑な気持ちになる。

とりあえず言われたとおりに座ったけど、いったい何を言われるのだろうか。


「とりあえずレースの実力を試した結果だけどよぉ、治癒術師としてみるなら合格だ……けどっ!戦士としてみるなら間違い無く落第点だな」

「落第点って……、アキラさんから戦い方を教わったり、ケイから大剣の使い方を教えてもらったりしてるんだけど?」

「確かに戦い方はしっかりとしてるけどよぉ、大剣の使い方って雪で出来た狼の核に使ったくらいであんまり使えてねぇじゃん」

「まぁ……それに俺が使ってるの見た時は大剣を相手に叩きつけてる感じで、剣っていうよりも鈍器って感じだったしなぁ」

「ほら娘にも言われてんぞ?」


 確かにハスとの戦いではそんな戦い方しか出来なかったけど、いつもならもっと上手くできる筈だ。

今回はライさんが言ってたように相性が悪かっただけで……


「正直狼の方が戦士としては上等だったぞ?ただ……、レースも褒められるところはあったなあの反射的に動いた俺の銃を弾き飛ばした動き、あれは凄かったぞ?そこで思ったんだけどさ、レースは考えて戦うよりも思い付きや直感で戦った方が伸びるぞ?」

「アキラさんにも同じ事を言われたかも……」

「だろ?どうしたら上手く戦えるのか、どうすれば相手に攻撃をあてられるか、どうなれば立派な戦士になれて武器を巧みに扱えるようになれるのかとか、あんたはそんな事を考えないで良い」

「……それだと、どうやれば強くなれるのかわからないんだけど?」

「とにかく実戦経験を積め、治癒術師としては一流で魔術師としても、俺の攻撃を防ぎ続けたあの雪の魔術……あれはすげぇな、俺の拳や脚、それに炎に対応出来るなんて思わなかったぞ?」


 あれは産みの親であるスノーホワイト・ヴォルフガングの能力だからぼくの実力と言っていいのかわからない。


「……あれは産みの母から受け継いだ心器の能力だから、ぼくの魔術かどうかと言われたら違うと思う」

「いや?受け継いだって言っても、こうやって使いこなしてんだからレースの実力だろうが、心器を二つ顕現させる事が出来る時点で俺達よりも圧倒的なアドバンテージがあるのもでけぇしな」

「……二つって言ってもハスも銃を出したよね?」

「んー、確かにそうだけどよ……、あれは元から銃が二丁あったらかっこいいかもなぁっていう思い込みからできたようなもんだからな、まぁ俺のやり方以外で形を変える方法がないわけではないけど、どう教えたらいいかなぁ」


 ハスが悩んだような顔をして暫く眉間に皺を寄せる。

確か依然トレーディアスで、クロウの心器について話があった気がするけどその時にも似たような話があったけど、心器の形を変えるのは簡単じゃないって言ってたなぁ……


「あ、例えばなんだけどさ、長杖と大剣があんだろ?」

「……うん」

「二つを一つにしちまうってどうだ?ほら俺は剣を使った事ねぇからわかんねぇけど、持つ所を杖にして刃のとこあんだろ?そこを杖のシャフトっていうんだっけ?そこを大剣にしちまえばいいんじゃね?」

「それ凄いバランス悪くない?」

「そっかぁ……、んー良い発想だと思ったんだけどなぁ、んじゃあレースはこうすれば的な思い付きはなんかあったりすっか?」


 思い付きかぁ……、心器に魔力の糸を通すことで手に持っていなくても能力が使えるから狼の核にしても問題ない。

それにぼくが出せるのは基本一体までだけど、大剣の能力【氷雪狼】を使用すると攻撃的な雄の個体と、ぼくの周囲に待機して攻撃から守ってくれる雌の個体の二匹のうちどちらかが召喚される。

この大剣の元々の持ち主であるストラフィリア先代の覇王、ヴォルフガング・ストラフィリアはこの能力を使い雪のある場所で大量の狼を周囲の雪を使い召喚して地上で雪崩を作り出す程だ。

つまり、ぼくがもっとこの能力を使いこなせるようになり二体まで出せるようになって大剣と長杖をそれぞれの核にする事が出来たら……?


「お、なんか思いついたみてぇだな?言ってみろよ」

「ハス……、こういう時の父さんはぶっ飛んだ思考になったりするから気をつけろよ?」

「ぶっ飛んでて結構、戦場ではまともな奴が先に死ぬからな、頭のネジが緩んでる方がいいんだよ」

「……知らねぇからな?」

「おう、思いついた事全部言ってみろっ!全部俺が聞いて受け止めてやるぜ!……ただ俺はそこまで頭が良くねぇからさ、一から十まで全部言えよ?」


……そういうのならちゃんと全部伝えよう、そう思って思いついた事をぼくなりに丁寧に説明すると『……あぁ、確かにそれは良いと思うけどよぉ』とハスが困ったような顔をする。

いったいどうしたのかと思って心配になって来て、どうしたのか聞こうとしたら『確かに出来たらすげぇけど、それをやったら父さんが【自動迎撃】以外は無防備になるぜ?武器はどうすんだよ』と疑問を投げかけられるのだった。

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