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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第八章 戦いの先にある未来

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試練の結果

 あの後の事は良く覚えていない……。

気が付いたら元の状態に戻った床の上に倒れていて、近くに謁見室の玉座に座っているショウソクが不機嫌な顔をしてぼくの事を睨みつけている。

そしてそんな彼と対峙するように元の状態に戻ったアキラさんが立っているけど……


「……おまえらは何だ?いくら俺が見ているからと言って好き勝手に暴れた挙句、謁見室の壁に穴を空けていいと思っているのか?」

「不可抗力だ、許せ」

「許せと言われて許す善人がいる訳が無いだろう、もしあのSランクにすら致命傷を与える程の威力を持った一撃が娘の所に行っていたらどうするつもりだったんだ?、あの一撃はお前が受けるべきだろう」

「……あれは無理だろう、幾ら一時的とは言え本来の能力を取り戻したとはいえ、あの威力と追撃の一撃は確実に死ぬ、ショウソク……貴様が私と同じ立場だったらどうなっていた?」

「間違いなく死んでいただろうな、さすがに幼い娘を置いて先に逝くのは勘弁したいものだ」


 ぼくの最後の攻撃がSランクに致命傷を与えるものだった……?、という事は当てる事さえ出来ればケイスニルを倒す事が出来るという事で、でも正直最後に何が起きたのか覚えてないせいでどうやったのか分からないのが残念だ。


「……という事は貴様からしたらどうだ?信用しうる戦力に見えるか?」

「どうだろうな、だが少なからず名前を覚えてやってもいいとは思う程度には興味を持ったな」

「貴様がその評価をするという事は問題無く試験は合格でいいだろう……、態々私が人肌脱いだ苦労は報われたな、貴様がレースに興味を持ったように周囲にもっと目を向けるべきだ、一国の王がいつまでも無関心でいるわけにはいかないだろう?、二代目の薬王ショウソク・メイディ」

「忠告は聞くが、それを守るとは約束出来ないな、そもそもお前は俺が小さい頃の姿しか知らない癖に何を偉そうに……」

「その頃から貴様は周囲が見れていないだろう?自分が好いた相手以外には一切興味を持たず、今は娘以外の事はどうでもいいという始末、実に貴様らしいが愚かが過ぎる……だが、今回の事で他の存在にも興味を抱けたという事は、貴様が思うよりも外には面白い物が多いだろ」


 床に横になりながら聞いていると思うけど、何だか二人は喋り方が似てるって言うのもあって兄弟みたいだ。

でも二代目という事は、エルフ族は魔力が豊富な地であれば不老不死に近いと言っていたけど本当に長生きだと思う。

そんな昔から生きて来たというのに、メイメイ以外に子供がいなかったという事に驚きが隠せない。


「外の事などどうでもいい、私がレースの事を覚えようと思ったのは先程の攻撃の威力もそうだが、あくまで娘の友人の親だからという事だからな……、まぁ首都の書庫に篭っては様々な歴史を学びそこから叶いもしない夢を追い求めた愚か者に育てられたと言うのも理由と言えば理由になるが、それとこれとは別だろう」

「……愚か者ってマスカレイドの事だよね?、叶いもしない夢ってどういう事?」

「ん?あぁ、目を覚ましたのか」


 とりあえず何時までも床に横になって話を聞いているのはどうかと思うから、起き上がりながら気になった事を聞いてみる。


「あぁ、……特別に教えてやるが、古い時代の事をまとめた本がある……その中にはこの世界の事について書いてあるのだが、俺達エルフ族が元いた世界について書いてあるのだが、愚か者や私はこの世界の産まれなのに何故か奴は『俺達は元の世界に戻るべきだ』と言い出した」

「……戻るべきってどういう事?」


 マスカレイドの目的に関して知りたかったって言うのもあるけど、ぼくは彼の事に関して知らない事が多い気がして……このまま相手の事を知らずに戦っていいんだろうかという気持ちがあった。

でも何て言うか、元の世界に戻るべきだって言う発言の意味が分からない、その本の中にいったいどんな内容があったのか知らない以上、目的が分かってもどうしてそうなったのかが理解出来なければ、相手の事が分からないままでしかない。

その為にぼくが出来る事と言ったら何があるのかと考えてはみるが……


「さあな……俺にはどうでもいい事だ、愚か者の考えなど理解する必要などないだろう……」

「えっと、それなら書庫に入って色々と調べてもいいかな、マスカレイドの事で知らない事ばかりだから、彼が今何をしようとしているのかを知りたいんだけど……」

「……好きにしろ、書庫は首都の最上階にある、鍵を開けるように指示を出しておこう」

「ありがとう」

「……後はもういいな?」


……ショウソクはそう言うと姿が薄くなって行き、先程まで目の前にいたのに姿が消えてしまう。

ただ、意識を集中すると玉座に座っているみたいだから、きっと何らかの能力で姿を消しているのかもしれない。

そんな事を考えていたら『レース、話が済んだならダート達の元へ戻るぞ?、何時までも待たせる訳にはいかないからな』とアキラさんに声を掛けられ二人で謁見の間を出ると皆が待つメイメイの部屋へと向かうのだった。

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