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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第八章 戦いの先にある未来

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現状の話し合い

 ダートの中に子供がいる。

そのことを知ったからと言って何かぼくの中で変わる事は無いけど、個人的にはマスカレイドやシャルネの事が終わってからの方が良かったなと思いつつ、子供が出来る事をしていたのはお互いに納得していた事だから、何れ増える家族が思いの外早く出来ただけだ。

とはいえ……もしこの事が彼等に知られてしまったらどうなるだろうか、ぼくはダートとお腹の子を人質にされてしまった場合冷静は判断が出来るのか、考えれば考える程どうすればいいのかわからなくなり不安と恐怖に襲われそうだけど……その時はこの命を捨てでも守り切れるようになりたい。


「……レース?怖い顔してるけどもしかして隠してた事怒ってる?」

「いや、そうじゃないよ、むしろその逆で家族が増えるんだなって思うと嬉しいから安心して欲しけど……ただマスカレイドとシャルネがこの事を知ったらどうなるのか心配になっただけで……、もしかしたらそこから何かをしてくるかもしれないって思ったら不安なんだ」

「確かに父さんの言う通りかもな、けどよぉ……俺が時空間魔術を使うのもバレたらやべぇんだろ?そうなるとケイスニルの前で使ったら間違いなく、そこからシャルネの耳に入るからやべぇんじゃねぇか?」

「それならダリアさんは戦わずに後方支援に徹するというのはどうですか?そうすれば知られる事は無いでしょうし」

「いや、それは無理じゃねぇか??父さんの話の通りならここが戦場になるんだろ?、そんな状態で俺が戦わずに後ろにいるとかって言うのが考えられねぇって言うののもあるんだけどさ、貴重な戦力を後ろに下げて勝てるような相手じゃねぇだろうが」


 ダリアの言うように戦力を後ろに下げるのは良くないだろう。

とは言え時空間魔術の事が相手に知られてしまったらまずいのも事実……、現状シャルネに知られているのは、ぼくの心器の能力【空間移動】とダートの【次元断】だけだ。

ただ……末妹のルミィの魔力特性【次元断】やダリアの【時空間魔術】が知られてしまった場合、手段を選ぶ事無く力尽くで確保しようとしてくる可能性がある。

そうなってしまった場合、少なくとも現状では勝ち目が無い集団と戦闘をする事になる以上……どう見ても詰みとしか言えない。


「んー、ならそうじゃなぁ、ダリアちゃんは余と共に前線に出てくれぬか?時空間魔術を使えるという事は余に何かあった時にも助けやすいと思うんじゃよ、それに多少不思議な動きをした所で、余の薬の効果と言う事にしておけば問題は無いじゃろ?」

「そんな都合良い薬があんのかよ……」

「無いなら作れば良いだけじゃっ!話し合いの途中で悪いがレース殿とダート殿、ダリアちゃんを少しの間借りて行っていいかのぅ?……時空間魔術を見て色々と作りたいものがあるのじゃよ」

「別にいいけど……ぼくの時みたいに腕が爆ぜるような事がないようにね」

「そ、それは冗談になってないから止めるのじゃよ……とりあえず行くのじゃよダリアちゃんっ!余の工房へと招待するのじゃ、様々な薬があるから楽しいのじゃよぉ」


 メイメイがダリアの手を掴むとぐいぐいと部屋の奥へと引っ張って行くと扉を開けて中に入って行く。

もしかしてだけどこの部屋の奥にその工房があるのだろうか……、個人的に凄い気になるから戦いが終わったら一度見学させて貰うのもありかもしれない。


「……行っちゃいましたけどレースさん、本当にダリアさんを前線に出してしまっていいんですか?」

「んー、不安だけどこれに関してはメイメイを信じるしかないよ……でもダートはどう思う?」

「私はあの子なら大丈夫だと思う……元は同じ私だったのもあるけど、戦いにおいては私よりも実戦経験はあるから上手くやるんじゃないかな、ほらあの子が私の中に居た時に荒事を担当していて貰ってたから、そういう意味でも信頼出来ると思う」

「うん、と言う事だから大丈夫だよ、後はそうだね……ずっと気になってたんだけどミオラームは何処に行ったの?」


 メイディの首都に来ていたミオラームはどうしたのか。

確か【薬王】ショウソク・メイディに挨拶をするとか言ってた気がするけど……、無事なのか心配になる。


「え?あぁ……そうですね、ミオラーム様ならメイメイ様に首都が戦場になる可能性があるので国へ帰って欲しいとお願いされて帰りましたよ?」

「……良かった、でもそれだと一人で帰った事になりそうだけど大丈夫なのかな」

「んー、ミオちゃんが言うには護衛としてフィリアさんが姿を隠しながら守ってくれてたらしいから大丈夫だと思うよ?」

「あぁ……、フィリアがいるなら大丈夫だね」


……とりあえず無事にこの国を離れたのは良いけど、国へ帰る場合どっちに戻ったのだろうか。

自国である南東の大国マーシェンスか、それともメセリーの辺境都市クイストの方か……まぁ後者の方だと思いたい。

ミオラームがあそこにいてくれるという事は、ルミィに何かあった時に守ってくれるだろうし……、それにもし前者だった場合戦闘経験の無いサリッサと幼いルミィだけでは不安が残る。

一応母さんと魔王ソフィアがいるから問題無いと思うけど、もしもの時を考えて戦える人が多くいた方が良いだろう。

そんな事を考えながらこれからの事を話し合うのだった。

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