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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第八章 戦いの先にある未来

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個性的な少女

 取り合えず街を出てアキラさん達が現在いる場所に向かっているけど……、本当にメイメイが着いて来てしまい反応に困ってしまう。

栄花騎士団の任務に王女が同行していいのだろうかと思うけど、以前ミュラッカが着いて行った事があるから問題ないのかもしれない。


「メイメイ様、いきなり同行すると言われても……」

「なんじゃカエデ、冷たい事を言う出ないっ!余は友達のダリアとその両親に着いて行きたいだけなのじゃ!、ダリアも余と一緒に行きたいじゃろ?」

「んー?俺はどっちでもいいけどさ、でも母さんの薬の事があるから念の為着いて来て貰った方が良いんじゃね?ほら万が一体に合わなかったりしたらまずいだろ?」

「そうじゃそうじゃ!いくら余でも相手の事を見間違えている可能性があるからな、万が一を考えるべきだと思わんか?、見た所治癒術師はレース殿しかいないみたいだし、他にも治癒術を高水準に使える人が必要じゃろ?それにこんなか弱い幼子をまさか街の外に一人で置いて行くと言うのかの?」

「か弱い幼子ってメイメイ様……、あなた私達よりも遥かに強いじゃないですか、薬と治癒術を使った身体能力の強化の恐ろしさはお父さ……、団長から聞いてますよ?」


 薬と治癒術を使った身体能力の強化?……聞いた事無いけど、そんな事が果たして可能なのだろうか。


「ひ、ひどいのじゃ!、人から聞いた印象だけで子供を判断して冷たい態度を取る何て酷いのじゃよぉ!……ダリアの両親であるおぬし等からもカエデを説得して欲しいのじゃ!」

「カエデ、ぼくもダリアが言うように薬の事で気になるし……それに何よりも彼女に聞きたい事があるから一緒に同行して貰ってもいいかな」

「わ、私もメイメイちゃんには薬と身体の事でお世話になっちゃったから……、何かあった時の為に着いて来て欲しいなって」

「……もう、皆さんからそう言われたら同行を許可しないと私が悪者になってしまうじゃないですか、いいですよメイメイ様、着いてくる事を許可します」

「くふふ、感謝するのじゃっ!余が満足するまで同行するからのっ!宜しく頼むじゃっ!……確か仲間になった時はこう言うのじゃったかな、メイメイちゃんが仲間に加わった!はいっ!決めポーズなのじゃ!」


 ……何か頭の上に両手を置いて獣の耳みたいにしてかわいらしいポーズをしているけど、いったい何をしたいのだろうか。

それに仲間に加わったって自分で宣言する意味があるのかと疑問に思う所があるけど、これは突っ込んだら行けない気がする。


「カエデちゃん、何か凄い子だね……」

「メイメイ様はこのようにたまに変な事を言いますが、気にしないで上げてください、私も初対面の頃同じ印象を持ちましたが悪い子ではないので……」

「ひどいのじゃ!メイディの首都にある大図書館でこういう時はそうしろって書いてあったのじゃよっ!……題名は【仲間になった時にやるかっこかわいいポーズ】著者は分からないけど面白い本なのじゃ!」

「へぇ、面白そうじゃん、首都に行ったら読ませてくれよ」

「おぉ、やはりダリアとは気が合うのぅっ!例えばこういうポーズがあったりして面白いのじゃよ」


 器用に歩きながら様々なポーズをするメイメイを見て、テンションが高くなるダリアを見て微笑ましく感じるけど……、逆立ちをした時に服が捲れあがって上半身の肌が露わになるけど正直目のやり場に困るから止めて欲しい。

そしてそのまま器用に腕の力だけで飛び上がり空中で回転して綺麗に着地をすると、何故か妙に決まって見えるようなポーズをし始める。


「何でもここで魔法……、今で言う所の魔術を使い後ろに自分の属性で作った大きなオブジェクトを作り上げるともっとかっこいいそうなのじゃ!」

「おぉいいなぁっ!俺もやってみてぇっ!」

「メイメイ様っ!服装が乱れて恥ずかしい事になってるから早く直してくださいっ!男性の前ではしたないっ!」

「お、おぉすまないのじゃ、でもこんな未成熟な体を見て喜ぶような男では無かろう?なぁレース殿」

「喜びはしないけど目のやり場には困るから止めて欲しい」


 その瞬間何故かメイメイが嬉しそうな顔をしてぼく達の前に来ると、何故か手を握って来る。

そのまま手を両手で包むようにすると……


「ほぅ、眼のやり場に困るという事は余の身体は魅力的という事じゃな?じゃあどうじゃ?こうやってかわいい幼子に手を握られるとドキドキするのか?周囲の男は余に何故か近づこうとせんから気になるのじゃ、どうじゃ?どうなのじゃ!?」

「えーっと、メイメイちゃん?レースが困ってるから止めてあげて?」

「困ってるかどうかなぞ、そんなの本人にしか分からないであろう?ほらどうなのじゃ?レース殿」

「や、め、て、あ、げ、て?」

「なっ!お、おぬし怖いのぅっ!分かったのじゃ、止めるからその顔をするのは止めるのじゃっ!」


 慌ててぼくから手を離すと急いでダリアの隣へと逃げて行く。

そして……『おぬしの母親は怖いのじゃあ……』と小さな声で呟いているけど、これに関してはメイメイが悪いと思うから自業自得だろう。

とはいえ個人的に彼女と話したい事があるから出来れば何とか二人になりたい、そういう意味ではこのままダリアと一緒にいられると何時までも聞けそうにないからぼくから近づいた方がいいかもしれない。


「……レース大丈夫だった?」

「うん、ありがとう、でもちょっとメイメイと話したい事があるからあっちに行っていいかな」

「いいけど、無理はしちゃダメだからね?」

「無理だけはしないよ、したら嫌がるでしょ?ダートが嫌がる事はしないから大丈夫だよ」

「もう、そういう言い方するの卑怯だよ?……、じゃあダリアに私が呼んでるって言って来て?そうすれば二人で話せるでしょ?」


……確かにダリアの場合何か話をしていると、興味本位で聞こうとしてくるだろうからその方が良いだろう。

歩く速さを落として二人に並び『ダートが呼んでるから、ダリアは母さんの所に行って欲しい』と声を掛けると『ん?お、おぅわりぃメイメイ、ちょっと行ってくるわ』と走って前に行ってくれる。

取り合えずこれで二人でゆっくり話せそうだと思い、ぼくは彼女に向かって声を掛けるのだった。

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