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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第八章 戦いの先にある未来

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薬姫メイメイ

 メイメイが笑顔でダリアを見て満面の笑みを浮かべると――


「そじゃよ?余はこの国の王女なのじゃ」

「はぁあ!?お前まじかよっ!」


 街の中にダリアの驚いた声が響く。

薬草畑で働いていたエルフや獣人の人達が何事かと作業の手を止めてこっちを見る、これはまずいかもしれない。

この国の人達からしたら王女様に対して大声を上げているように見えている分けで、現に獣人の人達は今にも飛び掛かろうとしているように見える。


「皆の者落ち着くのじゃよ、余は友と話しをしておる、この者達はじゃな……」

「栄花騎士団副団長のカエデです、そしてこちらの方達はストラフィリアの現覇王ミュラッカ・ストラフィリアの兄レース様、そしてその奥方のダート様とお二人の子であるダリア様です」

「カエデも今や父さんの嫁だろ?、今は栄花騎士団の立場で来てるわけねぇんだし嫁と名乗れよ」

「え、あ、あの……」

「くふふ、暫く会わぬうちにカエデが嫁入りしているとはのぅ、これは驚いたのじゃ……という事じゃからおぬし等は仕事に戻るが良いっ!」


 メイメイの言葉を聞いた人達は警戒を解くとそれぞれが畑仕事へと戻っていく。

それにしても個性的な話し方をするというか、年齢の割に口調が大人びているのを見ると実年齢が本当に10歳なのかと疑問に思う程だ。

ミオラームみたいに早く立派な賢王になろうと、必死に大人のふりをして背伸びをしている可能性もあるけど、初対面で感じた印象的にそうではないだろう。

現にぼく達を見る彼女の目は好奇心旺盛な子供ではなく、成熟しきった大人を感じさせる。


「ふふ、これで問題ないのじゃ……、ん?どうしたのじゃ?レース殿凄い難しそうな顔をしておるようじゃけど」

「え、あぁ……メイメイ様って大人びてると思いまして」

「大人びておるとな?それは気のせいであろう余はまだ子供であるからな、それに余に対してそんな丁寧で物言いはいらぬし様付けもせんで良いのじゃ、普段の口調で良いぞ?カエデとダート殿もなっ!」

「ありがとうございます、ですがこの口調が癖になってしまってまして……」

「カエデは副団長就任時に団長殿に連れて来られた時からお堅いのじゃ、余は年相応にした方が良いと思うぞ?」


 気のせいとは言うけどやはり中身が子供ではないと思うし、本人は隠しているつもりでも隠せてない。

とは言え皆は違和感を覚えていないみたいだしぼくの考え過ぎだろうか……


「年相応……、でもこれが私ですからこれでいいんです?」

「ならそれでいいのじゃけどな……、まぁ小言を言い過ぎると嫌われるからこれ位にしておくのじゃ、それにダート殿」

「えっと、な、なに?メイメイちゃん」

「ほぅ、メイメイちゃん!メイメイちゃんとなっ!いいのぅその響き可愛いのぅっ!くふふ、許すっ!おぬし等も私の事をメイメイちゃんと呼ぶが良いぞっ!……こほん、おぬし今のうちにこの薬を食事後に飲んでおくと良いぞ?余が見た限りでは暫くしたら体調を崩すじゃろうからな、なぁに気にする必要はないのじゃ、余が作り上げた比較的副作用を抑えた薬故に服用しても体調を崩す事は無い、特定の食材を接種して身体が反応する事も無さそうじゃしな」

「……え?あ、うんありがとうございます、でもこれって何の薬なの?」


 質問に対してメイメイが笑みを作りダートへと近づくと何故かカエデを呼んでぼく達から離れる。

もしかして体の何処かが悪いのだろうか……。


「定期的にダートの診察を彼女が寝た後にしていた筈だけど、もしかしてぼくが気付けない何かがあったのかな……」

「あぁ、そんな事は無いと思うぜ?なんつーか最近は調子がよさげだしな……、変わりに毎日朝起きる度に少しだけ疲れた顔してるおめぇはどうなんだよ」

「あ、あぁ……、一緒の部屋で寝るようになってから色々と大変でさ、でも最近は慣れて来たから大丈夫だよ」

「……慣れて来たってすげぇな、まぁおめぇは何でも頑張り過ぎる所があるから倒れねえ程度にしとけよ?」

「ダートがいるから大丈夫、ほらぼくは頑張り過ぎるというよりも熱中しすぎると時間を忘れて没頭してしまうからさ、そういう意味ではちゃんと止めてくれる人がいるのはありがたいし、彼女にはいつも感謝してばっかりだよ」


 何故か呆れたような顔をしたダリアが小さな声で『そういう意味じゃねぇんだけどな……』と呟くけど、何が違うのか分からないから聞こうとしたらメイメイ達の話が終わったみたいでこっちに戻って来る。


「まぁ、頃合いを見てレース殿に話すようにするのじゃよ?」

「うん、そうする」

「おめでたい話ですからね、きっと喜んでくれますよお姉様」


 何だか嬉しそうな顔をしているけどいったい何があったのだろうか。

ただダートの事だから必要な事なら落ち着いた時に話してくれるだろうしその時まで待った方がいいだろう。


「お?、あっ!あぁ成程な、父さん良かったじゃん」

「ん……?どういう事?」

「まじか……、そこでその鈍感はまじかよ、まぁ母さんの性格的に任務が終わったら話すだろうし、それまで待ってろよ?別に悪い話じゃねぇからさ」

「んー、まぁそうするよ」


……何だかぼくだけで置いてけぼりにされてしまった気がするけど、まぁこれに関してはしょうがないと割り切るしかないか。

でもダートに渡した薬が気になるから機会があったらメイメイに聞いてみようかと思っていると『あ、そうじゃ余はレース殿達に興味が湧いたからついて行く事にしたのじゃ、それにカエデが栄花騎士団の名を出したという事は何らかの任務に同行しておるのじゃろ?たまには王女らしい事をせねばならぬからな、何をしようとしてるのか見させて貰うのじゃ』と言葉にするのだった。

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