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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第七章 変わり過ぎた日常

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久しぶりの三人

 訪ねに来てくれたジラルドとアキラさんはどうやら死後と帰りだったらしく、良かったら夕飯をこれから食べに行かないか?と誘われたけど、ダートに何も言わないで行くのも違うと思うから帰って来るまで待ちたいと伝えると……


「ダートなら俺達の家で、ミントと楽しそうに話してたぞ?それにあいつから『今日はうちとダーは一緒に寝るから、あなたは外でレース達と明日までハメを外して遊んできー?、あ、でも変なお店行ったら許さないかんね?』って言われて追い出されたしなぁ」


 という事があったらしくて、ジラルドは明日の朝まで帰れないらしい。

それなら何故アキラさんも?って思って聞いてみると……


「冒険者ギルドでの仕事が終わって、報告の為に騎士団にと戻ろうとしていたらこのアホが走って戻って来てな……、何事かと思いその場にいた全員で話を聞いた結果、アンから『……あなた友達少ないんだから、たまには遊んで来なさい』と言って送り出された」

「当然だろぉ?、アキラは友達が困ってたらほっとかないもんなっ!」

「……そうだな、お前が友達だったらそうしたろうな

「はぁ!?、ひっでっ!聞いたかよレースっ!こいつさぁ俺がこの都市に帰って来てからずっとこんな態度何だぜ?、酷いと思わねぇか?」

「当然だ、私がどれほど心配したと思っている?、少しは反省しろ」

「それに関しては悪かったってぇ!ってこのままだと玄関でいつまでも立ち話になっちまうし、そろそろ行こうぜ?」


 という流れで外に出て、3人で久しぶりにいつもの飲食店に入ると……


「いらっしゃいませーって!レースさんは昨日ぶりですけど、お二人はお久しぶりですね」

「おぅ、最近色々と忙しくて来れなかったんだ、ごめんな?」

「そんな、こうやって来てくれただけでも嬉しいです、最近はお客さんが本当に減ってしまったので……」

「それなら毎日は無理だが、行ける時で良ければお昼時にこれからは通わせて貰おう 、ここのコーヒーと紅茶は私の好みに合うからな」

「ほんとですか!?、ありがとうございます!って席への案内がまだでしたねって言っても何処も空いてるのでお好きなとこに座っててください、暫くしたら注文を取りに来るのでっ!」


 と店員さんと楽しげに話した後に、今はこうやって3人で注文した料理が届くのを待ちながらゆっくりとしている。


「そういえばアキラさん、アンさんやヒジリさん達はどうしたんですか?」

「あの二人なら、女子会をしたいという事らしくてな、私の変わりに団長に報告をしたら、そのままダートのところに行くという言っていたな……、それがどうかしたのか?」

「えっと、昨日冒険者登録する為に冒険者ギルドに行ったら夜間も働いてたみたいなので大丈夫なのかなって」

「あぁ、そういえばアンがレース達が来たって言っていたがそういう事だったのか、ジラルド、その事について報告を受けていないのだが?」

「それに関しては色々とややこしい事があって報告を後回しにしてたんだよ、詳しくは後でカエデちゃんから説明して貰えると思うぞ?」


 確かに冒険者登録の時に問題が起きたけど、そういえば

あの後ってどうなったのだろうか。

カエデはもう娘の都市に帰ってきてるし、栄花騎士団団長との間でどのようなやり取りがあったのか、後で聞いてみると良いかもしれない。

彼女の部屋にあったぼくの私物の事もそうだけど何か聞かなきゃ行けない事が多いな……


「そうか、ならそれでいい」

「おぅ、あ、そういやレースに聞きたい事があるんだけど良いか?」

「聞きたい事?」

「おぅ、その左手の薬指に付いてるのって結婚指輪だろ?って事はダートと結婚したのか?」

「いや、結婚はまだだよ、これは師匠からぼく達にって渡してくれたんだ」


 そう言えば渡されてから着けたままにしていたけど、他の人達からしたら既にぼく達は結婚している用に見えるのか……。


「おまえなぁ、そろそろ結婚しても良い年齢だろ?早くしないとダートが焦るぞ?なぁアキラ、お前もそう思うだろ?」

「……そういうのは二人の問題だ、私達がとやかく言う事ではないだろう?、特にお前の場合30手前になってまで結婚してなかったのだから人の事言えないだろ」

「だからこそ分かる事があんだよ……」

「お前の場合とレース達の場合は違うだろう?貴様の考えを押し付けるな」

「確かにそうだよな、……俺が悪かったわ、悪いレースさっきのは気にしないでくれ」

「あぁ、まぁうん」


 考えを押し付けるも何もぼくには、結婚という事自体分からない事だらけだからどう反応すればいいのか分からない。


「あのさ……、結婚ってどうしたら出来るのかな」

「どうしたらってそりゃおまえって……、どうなんだっけ?」

「……国民は登録された魔力で管理されているからな、指輪をする事で第三者から見て夫婦であると知らせる事は出来るが、国的には男女の間に子供が出来て魔力の登録をした時点で婚姻が認められる、血の繋がりが出来たという事になるからな……、まぁ中には同性同士で親密な関係になる者達もいるが、彼等や彼女等を特別扱いする事が出来ないのが現状だな」

「……なら王族や貴族の場合はどうなるの?」

「その場合はそれぞれの国の王の許可が無ければ出来なくなっているな、とはいえ婚姻を結び家族になるという契約書を提出するだけだがな……」


 つまりぼくとダートが結婚する場合はメセリーでは子供が出来る事、ストラフィリアではミュラッカに契約書を提出する事になるのか……。

それなら今度時間を見つけて一度あっちに戻って提出してしまった方がいい気がする。


「……じゃあ他に気になる事があるんだけど、もし親が分からない子がいたらどうなるの?」

「その場合は成人するタイミングで国に魔力を登録する事になるが、本人の任意でその時に実の親を知る権利が得られるが大抵の者は選ばないな……」

「選ばないってなんで?」

「既に自分を人生を生きている者が、自身を捨てた親の事を知ってどうする?、大抵は知っても碌な事にならないからな……」

「俺ももしその立場になったら知りたくないな……、分かったら会いたくなるだろうし、それで会ったらお互いに気まずい気がするしな」

「……なるほど、色々と参考になったよありがとう」


……ぼくが二人にお礼を言うと同時に『ご注文の料理が出来たので持って来ましたよー』と言う元気な声と共に、人数分の食事を両手と腕に器用に乗せて持ってくるとバランスを崩す事無くテーブルに並べてくれる。

その光景に思わず見入ってしまっているといつもの店員さんが『新しいお客さんが来たら気に入って貰えるように、頑張って曲芸を覚えたんですよー』と笑顔で説明してくれた。

何ていうか凄いなぁって思いながら届いた料理を三人で食べ始めるのだった。

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