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治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―  作者: 物部 妖狐
第七章 変わり過ぎた日常

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久しぶりの会話と忘れてしまった事 

ダート視点

 私の腕を掴んで強引に助け出してくれた人物が腕から手を離すと、大きな声を出しながらフードを外すと……


「ダー!あんた何やってんのっ!」

「えっ!、コ、コーちゃん!?」


 そこには会いたいと思っていたコーちゃんがいた。

良かった……私助かったんだ……それに声も出るってあれ?、助かったって何からだろう。

それに声が出るようになったって今まで声が出せなかったの?、何で?、分からない事が分からない。


「えっと……」

「ダー、どうしたん?ってあれ?どうしてうちらここにいるん?」

「分からない、確か冒険者ギルドに向かってた筈なんだけど……」

「うちは冒険者ギルドに泊まり込んで仕事してるジラルドに弁当を届けた帰りに、ダーを見つけたから驚かせよー思うて近付いたらこんな所にダーと二人でいて、あれぇ?」


 やっぱりコーちゃんも何でここにいるのか分かってないみたいで二人して首をかしげる。

でもいくら考えても、どんなに思い出そうとしてもその間にあったであろう事が思い出せないままで……


「まぁいっかぁ、考えても思い出せないって事はそれだけどうでもいいって事なんやない?」


 そうなのかな、でも確かに思い出せないって事はそうなのかも、この空白の時間が気にならないって言ったら嘘になるけど、今は会いたい人に会えたからいいかな……。


「とりあえずこんな所にいてもしょうがいから、うちは雑貨屋に帰ろう思うんやけど、ダートは冒険者ギルドに何しに行こうとしてたん?」

「コーちゃんがもしかしたいるかなぁって思って……」

「なんやダー、もしかしてうちが恋しくなって探しに来たん?」

「うん、悩んでたら話をしたくなっちゃって、最初はマローネさんの所に行こうと思ったんだけど混んでるみたいで……」

「あぁ……」


 取り合えず今いた場所を話していると、マローネさんの名前を聞いたコーちゃんが困ったような顔をする。

もしかしてだけど私がこの都市にいない間に何かあったのかも?


「ダーは知らないんかぁ、んーどう伝えたらいいんかなぁ」

「……もしかして何かあったの?」

「別居中の旦那さんが急死したらしくてな?、暫く実家に帰るとかで服屋を息子さんのお嫁さんとお孫さんに任せて帰ったんよ」

「え?、マローネさんって結婚してたの!?」

「マローネの姉さん、基本的に自分の事話さんからなぁ……、うちが以前気になって聞いた時なんやけど、13で結婚して15で息子を産んだらしいんよ」


 13で結婚って、この世界だと成人が10歳からだとはいえ早い気がする。

それに15で出産って私と同じ年齢だし、何ていうかこの世界って凄いなぁって思う。

だって私のいた世界だと成人はもう少しだけ年齢が上だけど、貴族だと15までには既に婚約者がいたり、人によっては婚姻をしていなくても成人するまでの間に何度か相手の領地に行き未来の旦那様と一緒に過ごすし、私も何れそういう立場になると両親から言われてたなぁ……。


「13で結婚早いなぁ……」

「これ位普通やん?、逆にうちが遅過ぎたくらいなんよ……、15で早く結婚しろって言われて、20過ぎたらもう貰い手が無いって言われて親が孫の顔を見るのを諦める位なんだから」

「えっと……、そうなると私もうすぐ16歳になるんだけど」

「ダーにはレースがいるんだから大丈夫やない?、それとも何?もしかして喧嘩とかして別れそうになってるとか?」

「違うの、そうじゃなくてえっと……」


 さすがに外で昨日の夜にレースに対してしてしまった事を言いたくない。

恥ずかしいし、それにデリケートな内容だから他の人には聞かれたくないな……


「何か言いにくそうやね、取り合えずそこらへんは家に着いてから聞くかなって事で着いたよ」

「あれ?何時の間に……」

「ダー、話す事に集中しすぎて気付いて無かったん?」

「うん……」

「そっかぁ、何か考えてるみたいやもんねぇ……、取り合えず客室で待っててー適当に何か持って来るわー」


 コーちゃんの雑貨屋の裏にある居住スペースに入る為の玄関から家の中に入ると、そう言ってキッチンへ行ってしまう。

取り合えず言われた通りに客室に入るとさっきの事を思い出す。

マローネさんが帰ったタイミングと、この領地を以前まで治めていた前領主が処刑された時期が近い、そうなると納得出来してまう部分も多いというか……


「あの服屋って今思うと、辺境にしては首都と変わらない最先端の服があったり、中には開拓民用の作業に適した安値の服があったりしたし……、辺境の服屋なのに何処から仕入れてるんだろうって思ってたけど、前領主さんの奥さんだったってなると納得出来ちゃうかも」


 領主の奥さんだったら、領主が住んでいる都市を経由して首都から最先端の服とかを仕入れる事も出来るだろうし、服屋以外にも色んな人の相談を受けたり、住む家を探している人に空き家の紹介と色んな事をしていたのも、もしかしたら自分の立場を使って助けてくれていたのかもしれない。


「おまたせー、取り合えず紅茶と適当に食べるの出してきたんよー、どう?お姉さんが来るまで寂しく無かった?」

「ちょっと考えてたから大丈夫だよ?」

「考え事ってどうしたん?」

「んーん何でもない、今度マローネさんに会ったら聞こうかなって」

「それならいいけど……、で?うちに話ってなんなん?聞いてあげるから色々と言うてみ?」


……コーちゃんはそう言いながら座っている私の頭を優しく撫でてくれて、気持ち良さに気持ちが落ち着いて行く。

何ていうかこれだけで悩みが解決してしまいそうで……、『あのねコーちゃん、私ね?――』でも言わないと思いや考えは伝わらないから、コーちゃんに昨日レースにしてしまった事と、朝にあったフィリアさんの事を話すのだった。


 

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