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31 ロイドside 1

 アネットが乗った馬車を見送るとその馬車を追うように走らせている馬車を見てため息をついた。

 やはりアネットには監視がついていたようだ。何故僕との逢瀬の邪魔をしなかったのか気になるところだ。本当に彼女の兄であるヘンリー様は僕との結婚に賛成だというのだろうか。

 とてもアネットのことを可愛がっているという噂は嘘だったのか。いや可愛がりすぎて妹のわがままを何でも聞いているということもあるのか。


(まあ、いいか。もしダメだったとしても駆け落ちという手もある)


 先ほどはアネットに駆け落ちだけは駄目だと言ったけど、僕は三男だし家のことさえ気にしなければ、学院を卒業と同時に決行すれば就職先である先輩の家にも迷惑をかけないですむだろう。

 アネットが僕を選んでくれるというのなら遠慮はしない。

 アネットの幸せを考えて諦めていたけど、僕はやっぱり彼女が好きだ。いつだって、前向きで明るい彼女とならどこでだって暮らしていける。

 アネットの『癒しの魔法』があればお金の心配はないけど、あれを使う気はない。あれを使えばすぐに居場所がばれてしまう。となるとやっぱり冒険者にでもなるか。いや、冒険者は命の危険があるからアネットが危険だ。

 あれこれと悩んでいたら声を掛けられた。


「ロイド君、話をしたいのだが時間は構わないかい?」


 アネットの兄であるヘンリー様が目の前にいた。あれ? もしかしてこの兄も監視している人と一緒にいたのかな。全部見られていたのか? 


「か、構いません」

「そうか、ならこの馬車に乗ってくれ」


 ヘンリー様に促されるままに馬車に乗り込む。


「いつもアネットが世話になっている」

「いえ、世話になんて…」

「いや、アネットから聞いているよ。庶民時代のことは。弟が死にそうなときに助けてくれたのは君だけだったと。そして君のおかげで魔法を学べたし『癒しの魔法』も使えるようになったと」

「それは全部アネットのド努力の結果です。アネットが神殿の門番に必死に頭を下げている場面を見なかったら、僕は動かなかった。貴重なポーションを提供しようと思わせたのはアネットの真摯に弟を想っている姿を見たからです。間所は家族の生活を支えるために魔法を教えてほしいと言いました。自分のことだけしか考えていない周りの友達たちとは違って新鮮でした。僕の方こそアネットに色々なことを教わったと思っています」

「そうか。そう思ってくれているのなら良かった。それなら君はアネットのためになら身を引いてくれるね」


 えっ? 兄のヘンリー様は賛成してくれるとアネットは言っていたのに。これはどういうことなんだ。

 僕の目の前で微笑んでいる、アネットに似ているのに、感情が全部顔に出るアネットとは全く違うヘンリー様の顔を呆然と見つめていた。



 

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