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「アネット……」


 ロイドは座っていたベンチからすぐに立ち上がった。

 私は感極まって涙が浮かんできた。久しぶりのロイドだった。声も顔も変わってはいない。

 でも…、と思う。でも表情だけが違っていた。

 私を見る目が変わっている。いつだって笑顔で私を見てくれていたのに、なんだか悲しい顔になっている。


「ロイド、私、貴族になったのよ」

「うん、知っているよ。初めに聞いたときはびっくりしたけど、『癒しの魔法』に似た魔法を使っている時点でおかしいと思うべきだったんだよね。セネット家の遠い血が流れているのかと思っていたけどとても近い血だった」

「妖精のイタズラで庶民として暮らしてたけど、これからは貴族として暮らすことになったの。あなたと同じ貴族になったのよ」

「い、一緒って、何を言ってるの? あ、もうこういう風に話してはダメだった。ついいつもの口調で話していました。アネット様、これからはそう呼ばさせていただきますね」


 突然大きな声をを出したかと思うと急に言葉を変えて話し出すロイドにどうしたらいいのかわからなくなる。


「どうしてしまったの? 私、アネットよ。いつものようにアネットって呼んで」

「そういうわけにはいきません。こうして話すこともやめておいたほうがいいでしょう。もうここへは来ないほうが良いですよ。ここはあなたのような方が来るところではありません」


 暗い顔をしたロイドからはもう二度と会わないと言われたも同然の言葉だった。


「ロイドと同じ貴族になったのにどうしてそんなことを言うの? 私はロイドと一緒に歩きたいから貴族になったのよ」


 ロイドは私の言葉を聞いてあきれたような顔になった。私にはそれが何故なのか全く分からない。


「アネット様は身分のことが分かっていないようですね。子爵家の三男である僕と侯爵家の令嬢となられたアネット様とは身分が違いすぎるのですよ。一緒に行動するなんて許されるわけないでしょう」


 身分? 庶民でもダメで侯爵家でもダメって、貴族ならいじゃないの。


「子爵家だろうと公爵家だろうと同じ貴族なんだからいいじゃない。私たちが気にしなければどうとでもなるでしょう?」

「アネット様は貴族になられて時間が経っておられないから理解できないのかもしれませんが、これは僕からの忠告です。もう二度と僕に話かけないでください。それが二人のためにも一番良いことなんです」

「そ、そんな……」


 立ち尽くす私を置いたまま、ロイドは去っていった。残された私を振り返ることなく。


『あ~、やっぱりこうなったわね』

「どういうことよ」

『彼も言ってたでしょ? 身分違いってこと。あなたも知っていたじゃない。私が言ったとおりになったでしょ。でももう少し粘ってほしかったわね。意外とロイドって子はあなたのこと好きじゃなかったってことかしらね」

「う、そ、そうなの?」

『身分違いって燃えるものなのよ。理性が働くなるものなの。でも彼は冷静だったでしょ。冷静に自分のことやあなたのことを考えていた。そのほうがいいって。そんな風に冷静に考えれるってことは、それほど好きではなかったことね』


 アオの言葉が正しいのかはわからない。でも私が告白する前に振られてしまったことだけはわかった。

 何のために庶民である家族を捨ててまで貴族になったのだろうか。

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