第45話 チャーハン屋台
「おおっ、こいつはうめえ! ブラックコンドルの肉がこれでもかってほど入っていやがる!」
「こっちのお米もおいしいわ。たっぷりとコショウが使われているし、他にもおいしい味が付いているわね。これなら銀貨3枚でも安いくらい!」
「ありがとうございます。3日間限定なので、ぜひまた来てください」
そして翌日。朝から屋台で販売する用の食材を市場で購入し、マーテルと一緒に準備をして屋台を開いた。
相変わらず目立つノアのキッチンカーに加えて、今回はチャーハンを炒めている時のおいしそうな香りが周囲に漂っているため、ハンバーガーよりも早くお客さんたちが行列を作ってくれた。
あとはブラックコンドルの肉を使用していることを看板に書いたことと、珍しい種族のエルフであるマーテルがお店を手伝ってくれていることも人気の要因にもなっているのだろう。
『マスター、追加のご飯がもう少しで炊きあがります。マーテルがお客さんへの対応をしてくれているので、マスターは追加分をお願いします』
「ああ、了解だ」
マーテルが手伝ってくれるぶん人手は増えてくれたが、やることも増えて分担が難しいところだが、ノアがうまく指示を出してくれて助かっている。ハンバーガーの屋台の時よりもお客さんを待たせずにすんだ。
ちなみに焼き飯だと昨日の屋台のお店とかぶってしまうので、ブラックコンドル入りチャーハンとして販売しているぞ。
「へえ~米もこうやって食えばうまいもんだな。今までは非常食くらいにしか思っていなかったぜ」
「ご飯自体には味がそれほどないので、味の濃いものと一緒に食べるとおいしいですよ」
「そういや煮込みとかと一緒に食うとうまいよな」
「このチャーハンも肉と野菜を炒めて味を付けるシンプルな料理ですから、ぜひ試してみてくださいね」
煮込みとか餡かけをぶっかけてもおいしいんだよなあ。米がとれる地域らしいけれど、市場にはまだパンを売っているお店の方が多かった。日本人の俺としてはぜひお米を普及させたいところである。
マーテルが手伝ってくれているのと、屋台を開くのは2回目ということもあって、初日にもかかわらず大きなトラブルもなく営業を無事に終えた。
「さすがに疲れたのじゃ……。屋台を開いている者は毎日あれほど働いておるのじゃな」
「さすがにうちほど忙しいわけじゃないとは思うけれど、それでも朝から晩まで働いて大変だと思うよ」
『実際に料理を販売しているだけでなく、食材の仕入れや下ごしらえに後片付けまで含めると結構な労力になってしまいますよね』
営業が終わったあとは食材を市場で購入してきて、明日の仕込みをしてから宿へと戻ってきた。ニフランの街とは異なってマーテルもいるし、多少お金にも余裕のあることだし、宿をとっている。
キッチンカーよりもキャンピングカーの方が大きいから、変形すると屋台の場所をはみ出してしまう。それに形を変えるあのサイズの魔道具というものはかなり珍しいらしい。まあ、キッチンカーレベルの大きさの物を収納して持ち運べる魔道具も珍しいから、どちらにせよ目立ってしまうのは間違いない。
今日1日だけでもだいぶブラックコンドルの肉を消費できたから、屋台を借りている明後日かうまくいけば明日中に店をたたむことができそうだ。
「それにしても、銀貨3枚は結構強気な値段設定だったけれど、結構購入してくれる人は多いんだね」
「ブラックコンドルが結構な高級素材じゃからな。それにあれだけ香辛料や調味料をふんだんに使っていればあの値段でだいぶ安い方じゃ。特に冒険者の者はその価値がわかっているようじゃな」
『これまで見たところ娯楽が少なそうな世界なので、食にかける情熱がマスターの世界の人々よりも大きいのかもしれませんね』
「なるほど」
やはり世界が違うといろいろと異なるようだ。日本でもA5ランク和牛のステーキとかいえば3000円くらいでも購入してくれる人は多くいるのかもしれない。
「早く消費することを重視したから銀貨3枚としたが、銀貨4枚あるいは銀貨5枚が適正価格と言ったところじゃな」
「屋台を借りる期間もあるし、今はお金に余裕もあるから早めに移動をしたいんだよなあ」
確かにマーテルが言っていた通り、もう少し値段を上げても売れた可能性は高いけれど、今回は消費スピードを優先した。マーテルもお金には余裕があるのでその考えに賛成してくれた。早く走行ポイントを稼ぎつつ観光地にも行ってみたい。
「コショウや調味料などを毎日一定量確保できるだけでもすごい能力じゃな。商会や商人からしたら喉から手が出るほどほしい能力じゃろう」
『車外に持ち運べないところは惜しいですね。ですが香辛料などは他の商会なども常に意識しているでしょうし、いろいろと警戒されてしまいそうです』
「そうだな。やっぱり屋台で売るくらいにしておこう」
ノアの言う通り香辛料などを商売にすると問題ごとも多そうだ。早めに売り切ってしまい、次の目的地へ移動するとしよう。




