第42話 これからの旅
「ふあ~あ、よく寝た」
『おはようございます、マスター』
「おはよう、ノア」
翌日、目が覚めるとそこには真っ白な天井があった。
昨日はキャンピングカーで眠たんだっけ。身体が沈むふかふかのベッドとノアの能力で安心して眠れるようになったため、ぐっすりと眠ることができたようだ。街の宿でもよく眠れたけれど、昨日はそれ以上に快適だったな。
「す~す~」
隣のベッドではマーテルがすやすやと寝ている。寝顔が西洋の人形みたいで本当に可愛らしい。
このキャンピングカーには一番後ろに2つのシングルベッド、真ん中にある椅子を変形させるベッド、運転席の上部にあるバンクベッドの合計4人まで横になって眠れるようだ。寝ようと思えば床と運転席でも寝られるから、結構な人数がこのキャンピングカーで寝られることとなる。
まあせっかくのキャンピングカーなのだから、床や運転席には寝たくないものだ。一番後ろのベッドだとマーテルと隣で寝ることになるがもう今更といった感じだ。変形ベッドよりも後ろのベッドの方がよく眠れそうだしな。
「う~む……」
ちょうどマーテルも起きたようだ。朝ご飯にするとしよう。
「それにしてもこのキャンピングカーとやらは本当に快適じゃな! ベッドはとても柔らかいし、温かい湯が浴びられるし、トイレまであるのはすごいのじゃ」
「安心して寝られるのは本当にありがたいことだな。これもノアのおかげだよ」
『それはよかったです』
キッチンカーで朝食を作り、皿を持ったままキャンピングカーへ変形してもらうと皿や料理をキャンピングカーで食べることが可能だ。キッチンカーは狭いから、料理を食べるのはキャンピングカーのほうがいい。
キャンピングカーの能力の壁の硬化がどれほどのものなのかはわからないが、普段よりも安心して眠れることは間違いない。いずれどれくらいの強度があるのかも確認しないといけないな。
「食料と拠点があるのとないのでは安心感がまったく異なるな。これでようやくこの世界を楽しんで旅する準備が整ってきたよ」
「うむ。これではもう野営とは呼べぬな。普通の宿以上の快適さじゃ」
これで衣食住のうちすべてが揃った。服はこちらの世界の服を街で購入してある。特においしいご飯と安心して寝られる場所があることは大事なことだ。
お金も多少は貯まったことだし、そろそろ本格的にこの世界を旅するとしよう。これまではお金を稼いだり走行ポイントを稼ぐことを優先してきたから、あまり異世界の観光地などは回って来られなかったからな。
「次はどの乗り物を取るのか迷うところだな。新しく出てきた乗り物だと救急車とトラクター、コンバイン、帆船あたりか。……コンバインってなんだ?」
『米や麦などを収穫する農業用の機械ですね。トラクターは畑を耕したり、収穫したものを運ぶ車のようです』
「なるほど、農業を手伝うのならめちゃくちゃ便利な乗り物だな」
新しい乗り物を開放するとノアの変形リストに新しい変形先が増える。ひとつ取得すると新たに複数の変形先が増えるのだから、すべてコンプリートすることはでできるのだろうか? よく考えると乗り物って相当な種類があるよな。
ただ、農村で手伝いをする予定はないので、今はあまり必要ない乗り物かもしれない。
「帆船は船じゃな。救急車というのはなんなのじゃ?」
「俺たちの世界だと怪我人を急いで運ぶための車なんだ。医療器具なんかも積んでいるし、もしかすると能力は怪我を治療できる能力かもしれない」
『今までの傾向上、その可能性は高そうです』
俺の意見にノアも同意してくれる。これまで開放した乗り物はその乗り物の特徴を活かすための能力だった。救急車もその可能性が高いだろう。
キッチンカーやキャンピングカーよりも高い300ポイントだし、その分の機能があると信じたい。
「移動して走行ポイントを稼ぐのなら二輪バイクなんかもいいけれど、どちらにせよスピードは出せないから原付でもそれほど変わらないか。今のところすぐにどうしてもほしい乗り物はないから、ある程度ポイントが貯まってから新しい乗り物を取ることにしよう」
『それがいいかもしれません。先日の気球の時のようにその場に適した乗り物が必要となることがあるかもしれません』
ポイントを得たらすぐに使うのではなく、ある程度貯めておいたほうが緊急事態の時にいろいろと対応できる。その場で変形できる乗り物をすぐに得ることができるのはノアの強みでもあるからな。
「それじゃあそんな感じで先を進んでいくとしよう」
ノアとマーテルと相談をして、今のところは車両かつなにかあった時のための救急車を得るために300ポイントを目指す。ただ今回は300ポイント貯まったらすぐに使うのではなく、他の選択肢も残しておくことになった。
これも他の乗り物のおかげで異世界の生活が楽になってきたおかげだ。お金にもある程度余裕が出てきたし、ぼちぼち異世界を楽しみながら旅をするとしよう。




