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朝起きたらダンジョンが出現していた日常について……  作者: ポンポコ狸
第18章 訓練所開設地決定

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第451話 お泊り探索は難しいよ

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 何とも言えない雰囲気が漂う中、俺達はダンジョンの入り口がある建物まで移動する。道中、夏休みデビュー組らしき新人さん達がやる気に満ちた掛け声を上げている様子を眺めると、自分達も探索者になって1年経っていないが結構なベテランになったんだなという思いが込み上げてきた。

 まだまだ老け込むような年でもないが、探索者資格を取ってからは怒涛の日々だったからな。 


「みんな元気だね」

「なに爺臭いこと言ってるんだ大樹、急に?」

「いや、こうして新人さんが夢一杯希望一杯って感じの初々しい姿を見ているとさ、慣れもあるんだろうけど淡々とダンジョン探索をしている俺達って……ってさ? 俺達だってさ、まだ探索者1年目を終わってないんだぜ?」

「確かにそう言われると……まぁ、そうだな。ダンジョン攻略を始めた最初の頃のような気持ちでってのは、いろいろ経験した今となっては流石に無理か」


 いやホント、裕二の言う様に最初の頃は俺達も普通に期待と不安が入り混じった心持ちでダンジョンに挑んでいた。レアドロップを手に入れ、良い換金報酬が得られれば驚いたし嬉しかったしな。

 だが、色々と経験した今となっては、その驚きや歓喜といった感情も薄れていき、良くある日常の一景色になってしまっている。


「何黄昏れた雰囲気を出してるのよ2人とも。どんなダンジョン探索をするのかなんて、人それぞれよ。経験が増えれば、同じ出来事でも感じ方が変わるなんて当たり前じゃない?」


 急に沈んだ雰囲気を醸し出した俺と裕二に、柊さんは若干呆れたように苦言を呈する。


「まぁ、そうなんだけどさ。ああいう姿を見るとどうしてもね……」

「私達だって、時々予想だにしない出来事に遭遇してるんだし、淡々とした探索の日々って表現は適切ではないと思うわ。まぁ、もう少し落ち着いた出来事ばかりだと良かったんだけど……」

「確かにこの一年、その手のイベントには事欠かなかったからね」

「本当に、ね」

 

 今度は柊さんを加え、1年に満たない自分達の探索者生活を思い返し、3人で溜息を漏らす。

 少々厄介かなといった程度の問題から、お上から本格的な口止めを要請される出来事まで、本当にどうしてこんなに面倒な出来事が立て込むやら。


「急に盛り上がったり、落ち込んだりと忙しいね。お兄ちゃん達って、普段どんなダンジョン探索をやってるの? 話を横で聞いてるだけで、かなり興味を引かれるんだけど……」

「あっ、私も興味が引かれてます」


 俺達のリアクションに呆れ半分興味半分といった表情を浮かべた美佳と沙織ちゃんが、俺達が普段どんな探索をしているのか気になると主張する。

 普段してるダンジョン探索か……話せる範囲で話すか。


「そうだな、最近は大体30階層辺りまではマラソンかな?」

「最短距離を通っても、深い階層になると行き来に時間が掛かるからな」

「深い階層帯でまともに探索をしようと思ったら、ダンジョン内に泊ってじゃないと難しいわね」


 とりあえず、この辺りの話ならまだ当たり障りないかな? 民間探索者のトップ層だと明言しているに等しいが、未発見ダンジョンを見つけたとか、マジックバッグがドロップしたなどの本格的に口止めされてる話は出来ないからな。

 もしくは、錬金術のスキルスクロールを見つけたなどの社会的にヤバい系の話もあるが、それこそ誰が聞いてるか分からないような場では口にも出せない。

 

「お兄ちゃん達って、日帰りで30階層まで行ってるの?」

「それって、噂に聞くオーガを倒してるんですか?」


 俺達が何の気なしに口にした話に、美佳と沙織ちゃんは驚きつつも食いついてきた。あれ、言ってなかったかな? ……言ってたつもりになっていただけだったのかも?


「30階層まで行ってるって言ってなかったか?」

「お兄ちゃん達なら行ってるかもとは思ってたけど、日帰りで行ってるとは思ってなかったんだよ。最近は泊りがけでダンジョン探索に行ってたから、それで30階層辺りを探索しているんだとばかり思ってたよ」

「そういえば、泊りがけでどこまで潜ってるとは言ってなかったな」

「ダンジョンに泊まるとは言ってたけどね」

  

 半目で微妙な眼差しを向けて来る美佳の指摘に、俺は少々バツ悪げな表情を浮かべながら頭を掻いて誤魔化す。どうやら本当に、言っているだけのつもりだったらしい。

 

「そっか……まぁそんな訳で30階層までなら日帰りも可能だ。と言っても、この間の夏休みの様に人が多いと、移動に時間が取られて探索に時間が取れないって本末転倒な状態になるんだけどな」

「30階層まで行くとなると、お兄ちゃん達でも結構時間が掛かるの?」

「上層階の道の混み具合にもよるけど、片道2,3時間近く掛かるかな? 大体20階層近くまで潜れば人も少なくなって移動も楽になるんだけど、俺達は普段土日にダンジョンに潜ってるから大体混雑してるからな。因みに、モンスターとの戦闘に取られる時間を除いた移動だけに掛かる時間だぞ」

「3時間か……往復で6時間と考えると、移動だけでも1日仕事だね」


 思った以上に掛かるダンジョン内移動時間に、美佳と沙織ちゃんは顔を顰める。モンスターとの戦闘などを考慮せずに、移動だけに掛かる時間だからな。

 因みに俺達が30階層まで移動する場合、移動中に出会うモンスターは瞬殺したり回避したりしているので、美佳達が考えるほどに時間は取られていない。


「まぁ30階層に行くまでにそれなりにモンスターとは戦うから、ドロップ品もそれなりに手に入るぞ。収入的には30階層以降のモンスターと戦う方がドロップ品の単価が高くなるから、同じ1日仕事なら30階層での探索を長く取った方が実入りは良いんだけどな」

「30階層のドロップ品なんて、トップ層のチームしか取ってこれないよ。人が一杯いる階層のドロップ品より、30階層のドロップ品が単価が高くなるのは当然だね」

「まぁな。それに持ち運べる荷物にも限りがあるからな、小さくて単価が高いドロップ品の方が良いに決まってる」

「ああ、それ分かるな。私達もドロップ品が嵩張って、早めに探索を切り上げたことが何度もあるよ」


 探索者あるあるって奴だな。少しウンザリとした表情を浮かべる美佳だけでなく、沙織ちゃんも同意する様に何度も頷いてるし。

 美佳達はまだ浅めの階層をメインに探索活動をしているからまだマシだが、30階層近くの深い階層で活動しようと思えば必要物資は急激に増加し、より運搬可能荷物問題は深刻になるからな。一泊して活動するだけでもかなりの物資を用意する必要があり、それだけドロップ品を持ち帰る為の運搬容量は圧迫される。ゆえに出来るだけ小さくなって、買取単価が高いドロップアイテムを探索者は求めている。例えば、スキルスクロールとかをな。


「探索者はレベルアップの恩恵で身体能力が高くなり重い荷物も軽々と運ぶ事が出来るようになるが、一度に持ち運べる量には限度があるからな。特にダンジョン内でモンスターとの戦闘も考慮すれば、むやみやたらに大荷物を持ち運ぶのには無理がある。大手の企業系探索者チームの様に運搬専用のチームを用意できるのなら解決できる問題ではあるけど、俺達のような少人数チームじゃぁ真似出来ない」

「私達がダンジョン探索してる時に偶に見掛けるけど、大荷物を持った人たちが護衛付きで進んで行くやつだね? 身の丈より大きい荷物を背負って、一緒の企業ロゴが付いてたよ」

「多分、それであってるぞ。30階層とかにベースキャンプを作っている仲間に生活荷物を運んで、帰りに仲間が集めたドロップアイテムを回収していくんだ。アレなら、継続的に30階層とかの深い階層でも活動が出来るからな」

「継続的に活動って事は、ずっとダンジョンの中って事?」


 ずっとダンジョンの中という状況を想像したのか、美佳と沙織ちゃんは嫌そうな表情を浮かべていた。まぁ何時モンスターが襲ってくるか分からない場所で、何日も寝泊まりをする状況というのは勘弁してくれと思うだろうな。

 無論、企業系探索者チームもその辺はしっかりと考慮しローテーションで警戒をしているので、突然寝ている所をモンスターに襲われて……という事はまず無いだろうけどさ。まぁ長期間閉所生活を強いられるので、確実に気は滅入るだろうけど。30階層を超えれば景色も環境も変わるので、長期生活でも気分転換にはなるかな?


「どういうローテーションをしてるのかは知らないけど、そんなに長期間ではないと思うぞ? 精神的につらいだろうから、長くても1,2週間じゃないのか?」

「それでもきついよ」

「まぁ企業所属にでもならなければ、そんな長期探索はしないと思うぞ。いや、しないと言うかできないだろうな」

「少人数グループでも何チームか纏まれば……」

 

 美佳の提案に、俺は軽く頭を横に振る。


「仲が良く信用できる相手か素性が保証された相手でないと、安易に組むのはお勧めしないぞ? 泊りがけで探索しているチームを何組か見たけど、探索のトラブルが元でかなりな剣呑な雰囲気を発していたからな? ダンジョン内では些細なミスでも極限状態に陥る可能性があるから、普段なら表に出てこない問題が顕著になる。そんな状況で信頼出来ない相手と組んでいたら、多分後悔する事態になるだろうな」

「……ダンジョン内で泊まり込むってなると、そういう事も考えておかないといけないんだ」

「ホテルや安全なキャンプ地に泊まる訳じゃないんだ。何時モンスターが襲撃してくるのか分からず、安全な場所に直ぐ避難出来る訳でもなく、不足した物資が直ぐに手に入るわけでもない。そんな場所で寝泊まりしようとするのなら、考えられるだけ考えて備えないとな」


 俺の話を聞き、美佳と沙織ちゃんは考え込むように顔を伏せる。これで俺達がやっているからという理由だけで、安易に泊りがけで探索をとか言い出さないようになると良いな。 

 警戒や安全確保は他のパーティーと同じ様にやっているけど、俺達の場合は空間収納という反則があるので物資面ではかなり楽が出来ているんだけどさ。


「少人数チームが長期宿泊探索をするのは止めておいた方が良いかもしれないね」

「2,3日の短期間なら問題ないとは思うけど、いきなりダンジョン泊ってのは止めておいた方が良いと思うぞ? まずはダンジョン泊をするメンバーで事前練習として、普通のキャンプをやってみた方が良い。相手がどういった考えで動くのかをある程度把握しておかないと、ダンジョンの中では混乱と仲違いの元になるからな。事前に潰せる問題は事前に潰しておいた方が良い」

「そうだね……面倒臭がらずに事前練習はしておいた方が良さそうだね」

「テントの張り方や食事の準備、警戒のローテーション、襲撃時の対応……事前に確認しておいた方が良い事はいっぱいあるからな」


 ぶっつけ本番で、これらをこなせというのは流石に無理だろうからな。

 美佳と沙織ちゃんは互いに顔を見合わせつつ、苦笑を浮かべつつ小さく溜息を漏らしていた。


「確かにお兄ちゃんが言う様に、いきなり泊りがけで探索をするのは止めておいた方が良さそうだね。事前にしておいた方が良い準備が、今の私達には何も出来てないみたいだしさ。まだ時期尚早って感じかな?」

「美佳ちゃんが言う様に、無理をすると酷い失敗をしかねませんからね」

「そうか。もし2人が泊りがけでダンジョン探索をしたいって事になったら、いつでも相談してくれ。色々助言出来る事はあるだろうからな。何なら、一緒に探索に行っても良いしね」

「そうだな、何時でも声を掛けてくれよ」

「そうね、私も予定を合わせるわ」


 裕二と柊さんも、美佳達への助力を約束する。

 どうせ夏休みなんかの長期休みでもなければ、俺達も2,3日がかりでダンジョン探索などできないので、美佳達のお泊り探索に付き合う時間は捻出出来るからな。

 

「その時はお願いするね、やっぱりお兄ちゃん達みたいな経験者から習えるのなら習った方が良いしさ」

「私からもお願いします。宿泊中の警戒とかって、どうやれば良いのかとか具体的な事は分りませんし」

「了解、その時は声を掛けてくれ」

「うん」

「はい」 


 そして話がひと段落した所で、俺達はダンジョンの入口がある建物へと到着した。何時も通りゲートまで長蛇の行列が続いており、少々時間はかかりそうだがスムーズに進んでいるのが見て取れる。この分だと、20分は掛からないだろうな。

 さて、久しぶりの5人でのダンジョン探索の始まりだ。

 















5人でダンジョン泊探索をする約束をしたものの……一般的なパーティーのお泊り方法とは?


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挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] ランクごとに入場制限かければいいのに。 Aはいつでも入場可能 Bは6:00〜21:00 Cは8:00〜18:00 Dは10:00〜17:00 Eは11:00〜13:00と15:00〜17:0…
[一言] ダンジョンに入場制限を設けた方が良いですね
[良い点] 最新話まで追いつきましたよ〜 かなり面白い作品だな〜思いました(*´罒`*)b 後ほどレビューを投稿したいと思います♪
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