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朝起きたらダンジョンが出現していた日常について……  作者: ポンポコ狸
第11章 夏休みにむけての準備

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第236話 楽しいキャンプ?

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 電車を乗り継ぎ移動すること、1時間半。やっと、俺達はキャンプ場の最寄り駅に到着した。

 到着したんだが……。


「……すっごく、長閑な駅だな」

「……そうね。自然豊かにも程がある駅ね」


 駅に降り立った俺と柊さんは、半目で裕二に駅の感想を述べる。コケが生い茂る古びたコンクリート製のホーム、痛みが目立つ草臥れた木造の小さな駅舎、周囲を取り囲むように生い茂る青々とした木々や草花。当然のように、駅員の気配を一切感じない無人駅だ。

 所謂、秘境駅と呼ばれる駅だな、うん。


「まっ、だいぶ人里から離れているからな。多分この駅の利用者は、コレから行くキャンプ場の利用者ぐらいしかいないんじゃ無いか? 後は……秘境駅マニアとかかな?」


 裕二は俺と柊さんの感想を軽く聞き流しながら、荷物の背負い具合を確かめ直し駅舎に近付く。何をするんだ?


「えっと、時刻表は……前と変わってないな」

「……時刻表を確認してるのか?」

「ああ。本数が少ないから、乗り遅れると大変だからな」


 どうやら裕二は、この駅の時刻表を確認していたらしい。俺はこんな辺鄙な所にある駅の時刻表がどんな構成になっているのか気になり、裕二の肩越しに時刻表を眺め……目を見開き驚いた。

 おいおい。上り下りで一日6本って……。


「マジかよ、この時刻表……」

「マジだ。元々僻地で利用者の少ない駅だからな。でも、場所によってはココより本数が少ない駅もあるんだから……ココはまだマシな方じゃないか?」

「これでマシ……ね」


 恐るべし秘境駅、だな。俺の感覚としては少なくとも、1、2時間に一本は電車が来て貰わないと進んで利用したいとは思わない。一本乗り遅れたら4、5時間はあいだが開く?  

 いやいや、一日の予定が完全に狂うって。


「さっ、何時までもココにいても仕方が無いから出発するぞ」

「あ、ああ」


 スカスカの時刻表に衝撃を受けていると、裕二が一声掛けたらキャンプ場に向かって足を進め始めた。

 こんな駅の先にあるキャンプ場か……ホントどんなキャンプ場だよ。 






 駅を出て暫くは舗装された道路を歩いていたのだが、今は車一台が通れる程の幅しかない未舗装の林道を歩いていた。

 登山道や獣道じゃないだけマシ……と思ったら良いのかな?


「なぁ、裕二? 本当に、この道の先にキャンプ場があるのか?」

「ああ、勿論。この道に入る前にちゃんと、この先キャンプ場って看板が出てただろ?」

「まぁ、うん。確かに出てたけど……」


 アレを看板、と呼んで良いのだろうか? コケが生えた朽ちかけの木片に、乾燥しハゲかけたペンキが付いたオブジェ……だったんだけど。

 裕二が指をさして教えてくれなかったら、只のゴミと思って見落としていた可能性もあった。


「ねぇ、それより広瀬君? キャンプ場までは後、どれくらい掛かるのかしら?」

「そうだね……。このペースで歩いてだと、あと1時間って所かな?」

「……そう」 

 

 代わり映えしない景色に若干飽きたようなを表情を浮かべた柊さんの質問に、裕二は軽く考えてから返事を返す。そうか、この林道を1時間も歩くのか……。

 静寂が数瞬俺達の間に流れ、そして……。


「「走って行かない(か)?」」

 

 俺と柊さんはほぼ同時に口を開き、裕二に先を急がないかと提案した。

 すると裕二は少し逡巡した後、俺と柊さんの顔を見ながら口を開く。


「まぁ、別に良いけど……急いで行かなくても良いんだぞ?」

「こうも代わり映えがしない景色が続くとなぁ……さすがに」

「コレから行くキャンプ場は、チェックインの時間とかは無いのよね? それなら早めに到着して、向こうでゆっくりしましょうよ」


 消極的賛成と言った様子の裕二を、俺と柊さんは説得に掛かる。一般人なら体力面の話で、山道を走って駆け上がるなど無謀だろう。だが、探索者である俺達からすれば問題ない。マラソン選手並みの早さで山道を駆け上がったとしても、数時間は走り続けられる自信はあるからな。事実、以前ダンジョン内を駆け抜けた時も然程体力は消耗しなかった。

 逆に、代わり映えしない林道を歩き続ける方が精神的にクると言うものだ。


「2人がそこまで言うのなら、早めにキャンプ場に行くのも良いか……」

「ああ、行こう。余った時間は、向こうで使えば良いんだしさ」

「そうよ、行きましょう」

「じゃぁ、行くか」


 裕二の同意も得られたので、俺達はキャンプ場に向けて駆け足で移動を始めた。未舗装の林道なので若干足場は悪いが、この程度なら特に問題は無い。山道などに比べれば一応、平坦な道と呼んでも良い位だからな。

 





 林道を走り始めて10分程すると、俺達は目的地のキャンプ場に到着した。キャンプ場があるのは恐らく、山の中腹辺りだろう。辺りは結構山は切り開かれており、そこそこの平地が広がっている。

 

「どんな未開の地かと思ってたけど、意外と綺麗に整備されているんだな」

「このキャンプ場、元は炭焼きを生業としていた小さな集落だった所だからな」

「……集落?」


 キャンプ場を見回しながら感想を口にすると、裕二がキャンプ場について説明してくれた。


「昔……と言っても昭和の初期の頃の話なんだけどな? 廃村になってから暫く誰も寄りつかない所になっていたんだけど、今のオーナーが丸ごと買い取ってキャンプ場にしたんだよ。だから未舗装の林道とは言えココに続く道もあったし、それなりに切り開かれた場所もあるって事だ」

「なる程……元廃村の有効利用って訳だ。と言う事は、あの駅も?」

「ああ、元はこの村の住民の為って事で作られた駅だ。廃村と同時に利用者もいなくなったから、鉄道会社の維持管理作業の時に止まる位にしか利用されていなかったけど、今のオーナーが鉄道会社と交渉して、また一日に何本か止まって貰えるようにしたんだってさ」

「へー」

 

 僻地にある不便なキャンプ場だなとしか思っていなかったけど、意外な裏話があったんだな。俺と柊さんは裕二の話を聞きながら、キャンプ場の成り立ちに感嘆の息を漏らした。そして俺はふと思う、これってある意味で村興しの一種になるんだろうか?と。

 だが直ぐに、元は廃村だったんだから違うかと思い直した。


「まぁそれより、そろそろ受付を済ませよう。何時までもココに立ちっぱなしってのもアレだしな」


 そう言って裕二はキャンプ場に建つ唯一の人工物、管理事務所になっているログハウスへと足を進める。キャンプ場の入り口近くに建つログハウスに近付くと、風景に溶け込んでいると言って良い外観がよく見えてきた。大分年季が入っているらしく、あちらこちらに雨風による腐食の跡が見られ、コケやツタが外壁や屋根に蔓延っているが基礎の構造自体は確りとしている。


「……大分風格があるな」

「素直に古いって言って良いと思うぞ?」


 俺は気をつかってお茶を濁したのだが、裕二は遠慮の欠片もなくストレートに感想を述べる。おいおい、そんなこと言って……中の人に聞こえていたら如何する!?

 と、そんなやり取りをした後、俺達はキャンプ場管理事務所と書かれた看板が立てかけられた扉をノックした。微妙に表面がささくれている扉だったので、棘が刺さらないかチョット心配になったけどな。


「すみません! 予約をしていた広瀬です! 誰か居ませんか!?」


 裕二が扉をノックしながら声を掛けると、十数秒程して中から階段を降りるような物音が聞こえてきた。どうやら中に、管理人が居たらしい。 

 そして……。


「おー、いらっしゃい」


 扉が開き出てきたのは4、50代の男性で、見た目はザ・山男と言った風貌だ。彼は豪快な笑みを浮かべており、俺達の来訪を歓迎してくれているのが見て取れる。

 ……歓迎してくれているんだよね?


「久しぶりだな、広瀬の坊主。一年ぶりくらいか?」

「いえ、去年は来れなかったので二年ぶりですかね? お久しぶりです、小嵐(こがらし)さん」


 裕二は顔見知りらしく、笑顔を浮かべながら管理人……小嵐さん?に挨拶をしている。


「おお、そうだったなそうだった。去年はあの騒ぎのせいで、来なかったんだったな」


 あの騒ぎ……ダンジョン出現のことかな?

 

「で、今回は……友達と来たのか?」

「はい。友達とキャンプをしようと思って」

「そうか。何時もならココで受け付け手続きをしてもらいながら、キャンプ場のルール説明を受けてもらうんだが……まぁ、広瀬の坊主が一緒なら大丈夫か」


 小嵐さんはそう言うと、受付表を取り出し裕二に差し出した。


「じゃぁ、コイツに必要事項を記入してくれ。それと利用料金なんだが……指定のテントサイトは使うか?」

「いいえ。フリーサイトの方で」

「となると、テントは幾つ建てる?」

「1人1つ建てますので、3つですね」

「バイクなんかは?」

「駅から歩いてきましたので、ありません」

「じゃぁ入場料が500円でテント代が500円だから……1人1000円。3000円だな」


 1人1000円か……結構安いな。そう思いながら、裕二が書類を書いている内に俺と柊さんは財布を取り出し料金を支払う。

 そして書類を書き終えた裕二も、料金と共に書類を小嵐さんに提出した。


「うん、書類も大丈夫だな。怪我や火事に気を付けて、存分に楽しんでいってくれ」

「はい。じゃぁ小嵐さん、お世話になります」

「「お世話になります」」


 俺達は小嵐さんに挨拶をした後、管理事務所のログハウスを出て、裕二の言うフリーテントサイトへと移動した。……ところで、フリーテントサイトって何だ?

 





 フリーテントサイトの意味を裕二に聞いた後、俺達はテントを建てて良いと指定されている河原近くに到着した。河原と行っても川より高くなっている場所なので、少々雨で増水したとしても浸水はしない……と思う。

 寝ていたら増水した川に飲み込まれて……等というオチにはならないので先ずは一安心と言った所だな。


「良し、先ずはテントを組み立てよう。寝床を確保しておかないと、どうしようもないしな」

「了解」

「分かったわ」


 俺達は背負っていた荷物を下ろし、テントが収納された袋を取り出し組み立て始める。幸いテントを建てる場所は草が生えクッション性が有り、雨などで濡れてもおらずテントを建てるのに申し分なかった。テントを建てる場所が河原と聞いた時は、砂利石の上に建てるのかと辟易したものだ。

 そして組み立て方が簡単であり、一度事前に組み立てていたと言う事もあって俺達はテントを10分程で組み上げた。


「完成だな。2人とも、ちゃんとペグ打ちしてテントは固定はしたか? 固定が甘いと、強い風が吹いた時にテントが飛んでいくぞ」

「固定出来てるわよ」

「俺も大丈夫。ちゃんと根元まで打ち込んでるから、そう簡単には飛んだりしないよ」


 俺は裕二の冗談交じりの忠告に、軽く笑みを浮かべながら返事を返した。

 

「そうか。じゃぁ大樹、テントの中に収納しておいた道具類を出しておいてくれ。テントの中でなら、他の人に見られる可能性も減るだろうからな」

「了解。で、何を先に出しておく?」

「調理器具関係を出しておいてくれ。明るい内にある程度準備しておかないと、暗くなったら準備も大変だからな」

「分かった」


 俺は建てたばかりの自分のテントの中に入り、【空間収納】から朝買った道具類を出していく。ついでに偽装工作の為、箱や包装類は最低限の物を残し剥がしておいた。

 そして作業を終えテントを出ると、河原の石を使い簡易的な炉を作っている裕二と柊さんの姿が。


「何してるの?」

「ん? ああ大樹か、荷物出し終わったんだな」

「テントの中に、一通り出しておいたぞ。で、コレは?」

「竈だよ竈。有ると無いとだと、特に夜は熱源があるかどうかで大違いだからな」


 そう言いながら、裕二は手早く石を積み上げ立派な竈を作り上げていく。随分と手慣れてるな……。

 そんな裕二の作業姿を見ている内に、俺はふと疑問が浮かんだ。

 

「なぁ、裕二? ココって焚き火をやって良い所なのか? 最近は河原や公園なんかでも焚き火は禁止って書いてある所が多いけど……?」

「ああ、ココは大丈夫だよ。ちゃんと手順を踏めば、直火をやっても良い事になってるんだ」

「へぇー」

「ただまぁキャンプ慣れしていない素人は、直火じゃなくて焚き火台なんかを使っての方が良いだろうけどな。風向きとか山の位置とか確認する事が色々あるしさ。それに下手をすれば、焚き火が原因で山火事とかになる可能性もある」


 そしてものの数分で、竈は完成した 

 

「良し、完成だ。後は燃やす薪なんかを拾いに行こう」

「薪も現地調達なんだな」

「持ってくるには、重い物だからな。現地調達出来る物は、現地調達って訳だ。それに、薪拾いを兼ねて周辺の散策も出来るぞ」


 だがそう言った後、裕二は少し眉を顰め困ったように言葉を続ける。


「……と言うか、今のところ特にコレと言って他にする事もないしな」

「ああ……確かに」

「そう……ね」


 俺と柊さんは裕二の言葉に、若干目を泳がせながら同意した。

 キャンプに行くというのが目的である以上、俺達がココに辿り着いた時点で八割方の目標は達成しているといっても良いからな。


「……行くか? 薪を探しに」

「……おう」

「……ええ」


 俺達は荷物をテントの中に片付けた後、最低限の装備品を身に着け薪を探しに山の中へと入っていった。
















キャンプ開始です。

そして、テントの設営を終えた主人公達は薪拾いに山の中へ……。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんでこいつら、午前中から来たんだ? 昼飯を家で食ってから出てきても時間足りましたよね?
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