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愛したものしか蘇らせられない僕は、死者と共に生きる

作者: ドラドラ
掲載日:2025/08/19

 僕のスキルは【ネクロマンサー】

 ──いや、正確には【ネクロマンサーと鑑定されたスキル】だ。


 最初から気づいていた。

 この力は使えない。

 死者を操ることなど、到底できやしない。

 戦場で、何度スキルを試しても失敗ばかり。

 唯一成功したのは、家で飼っていた愛犬だけだった。


「……やっぱり、僕は駄目なのか」

 そう呟きながら、僕は恋人と共にパーティーの隅で肩を落とす。

 役立たずの烙印を押され、僕らはパーティーから追放された。


 あの日のことは、今でも鮮明に覚えている。

 恋人の笑顔も、仲間たちの怒声も、そして絶望的な孤独も。


 だが、それ以上に――最悪の瞬間が訪れたのは、その数日後だった。

 恋人が、何者かに殺されたのだ。


 僕の中の何かが、静かに、しかし確実に壊れた。

 震える手でスキルを発動した。

「──ネクロマンシー、発動」


 その瞬間、恋人は蘇った。

 だが、生前とは違う何かがあった。

 そして僕は、初めて理解した。


「──僕の力は、愛したものにしか効かない」


 死者たちは、愛の大きさに比例して強く蘇る。

 愛犬も恋人も、そして少しずつ集まる死者たちも――その力は計り知れないほど強力だった。


 僕は戦場を駆け抜け、最強となった。

 しかし、手元に残るのは、生きた人間ではない。

 愛する死者たちだけ。


 孤独だ。

 だが、この孤独の中で、僕は初めて──安らぎを感じていた。


「もう、誰も失わない」

 僕はそう呟き、静かに死者たちを見渡す。

 愛犬が尻尾を振り、恋人が微笑む。

 それだけで、僕は救われたのだ。


 ──世界に、ただひとり。

 僕だけが、幸せだった。


 戦場は荒れ果てていた。

 僕の前に立ちはだかるのは、かつての仲間たちや、命を奪おうとする敵――

 だが、僕の力はもはや恐れるものなどなかった。


 死者たちは、愛した者の想いを宿して戦う。

 愛犬は牙をむき、恋人は剣を握り、かつての仲間たちはそれぞれの戦い方で僕を守る。

 その姿を見ながら、僕は理解した。

「愛が、力になる――」


 力を手に入れた僕は、戦場を蹂躙した。

 生者たちは恐れ、死者たちは強く、僕は最強となった。

 だが、戦いが終わったあとに残ったのは、静寂と死者たちだけ。


 館に戻ると、そこには誰もいなかった。

 生きた人間はもういない。

 ただ、死者たちが僕を迎える。

 愛犬が尾を振り、恋人が微笑む。

 すべてが静かで、温かい。


 僕は椅子に座り、食卓に並んだ死者たちを見つめる。

 誰も返事はしない。ただそこにいて、僕の目を見つめるだけだ。


「今日も一日、頑張ったな」

「……ありがとう」

 声に出して呟く。

 死者たちは静かに座っている。

 それだけで、僕は救われるのだ。


 孤独は完全だった。

 生者は誰もいない。

 だが、この孤独の中で、僕は初めて――本当に満ち足りていた。


 僕にとっての世界は、ここだけでいい。

 愛する者たちと共に、永遠に生きる。


 ──誰も理解できなくても、構わない。

 僕の隣には、愛した死者たちがいるのだから。


 そして、世界にただひとり、幸せだったのは僕だけだった。

 次回作のプロットの内の一つです。

 ただ長く続けれそうにないしバッドエンドにしかならないよなぁと思いつつとりあえず投稿しました。

 たちまち男主人公にしていますが女主人公にしてみても面白いかなと思ったりしてます。

 皆さんの反応を見て色々と考えてみます。


※作者からのお願い


投稿のモチベーションとなりますので、この短編を読んで「面白い」と少しでも感じましたら、↓の☆☆☆☆☆から評価頂き作品への応援をよろしくお願い致します!


お手数だと思いますが、ブックマークや感想もいただけると本当に嬉しいです。


ご協力頂けたら本当にありがたい限りです。

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― 新着の感想 ―
こちらも読んでみましたが、女性側の方が個人的には好きです。まだ生者と向き合うのか、それを死者として手に入れるのかの葛藤が面白そうなので。
女性版と合わせて拝読しました。 「スキル」というものの存在を前面に押し出したダークファンタジーとして書くのであれば、こちらの方が明確な世界観が冒頭で示されているのでわかりやすいかなと思います。 ただ…
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