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殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~  作者: 虎馬チキン


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78 冒険者の初仕事

「ブヒィイイイ!?」


 オートマタの持つミスリルソードに斬り裂かれ、二足歩行の豚型モンスター、オークが断末魔の声を上げながら絶命する。

 現在地は、バロムの街からしばらく歩いた所にある森の中。

 街から結構な距離があったので、昨日は依頼を出した村で一泊して、朝から森に入った形だ。


 そして、オートマタはそこで20体を超える無数のオークと対峙していた。


「ブヒィ!」

「ブヒィイイイ!」

「ブゥヒィイイイ!」


 仲間を殺されて怒ったのか、オークが一斉に飛びかかって来る。

 でも、それはオートマタから見てすら、大した脅威ではない。

 オーク達の平均ステータスは、せいぜい200程度。

 ゴブリンと違って、群れを率いる上位種もいない。

 ダンジョンからの援軍を出すまでもなく、オートマタだけでも余裕で殲滅できる雑魚だった。


「《ウィンドカッター》!」

「ブヒャッ!?」


 加えて、リーフによる風魔法の援護射撃がオークを襲う。

 今まで戦闘の用途では全く使ってこなかったリーフだけど、そこそこ高級な装備で上昇したステータスを使えば、オークの相手くらいできる。

 魔法による風の刃がオークの首を斬り裂き、断面から真っ赤な噴水が噴き出して、そのオークを絶命させる。

 僅かながら、DPと経験値が入ってきた。


 その後はもう、流れ作業でオークを皆殺しにしていく。

 逃げる奴は足を斬ってから殺し、向かって来る奴は首を斬って殺す。

 数分後、周囲には豚の惨殺死体が無数に転がるだけとなった。

 これが冒険者の仕事かー。

 チョロい。

 せいぜい、オートマタの操縦訓練くらいにしかならなかった。

 こんな程度の仕事でご飯が食べられるなら、わざわざ私の聖域(ダンジョン)に入って来るなよ冒険者。


 そんな納得のいかない不快感を抱きながら、オークの討伐証明部位である鼻を切り取って回収していく。

 魔物の討伐依頼は、こうやって特定の部位をギルドに提出する事によって、討伐した事を証明するらしい。

 リーフに聞いた。

 ちなみに、森の中を調べてオークの居所を突き止めたのもリーフだ。

 やっぱり、元本職という事なのだろう。

 冒険者やるにあたって、リーフはビックリするくらい役に立ってくれた。

 

 とりあえず、そんなペットを労うべく、頭を撫でておく。


「わ!?」

「お疲れ。良い仕事だった」

「あ、はい!」


 リーフが嬉しそうにはにかんだ。

 守りたい、この笑顔。

 というのは冗談にしても、やっぱり今後もリーフに虐殺の現場を見せるのはやめよう。

 ペットの好感度は高い方がいいから。


 そんな事を考えながら、オークの豚鼻を回収する作業を続ける。

 リーフ曰く、オークの肉は結構な珍味として有名らしく、解体して売ればそれなりの値段で買い取ってもらえるらしいけど、面倒だからやらない。

 街と村をいくつも潰して略奪してきた今、お金には困ってないから。


 その代わり、オークの死体は還元しておいた。

 雑魚とはいえ、さすがにモンスターというべきか、そこそこのDPにはなったね。

 具体的に言うと、1体で一般人10人分くらい。

 つまり、今回の20体で一般人200人分くらいの収入になったという事になる。

 ぶっちゃけ、小さな村を滅ぼすより稼げてるわ。

 どうしよう。

 冒険者の仕事って、思ったより遥かに実入りが良い。

 魔王軍を円満退社できる日が来たら、暇な時に副業として冒険者やってもいいかもと思えるレベルだよ。


 そうして、私が遠い未来に思いを馳せていた時、突如、一本の矢がオートマタ目掛けて飛来した。


「ご主人様!?」

「大丈夫」


 演算能力のスキルによって、最近、頭の回転がかなり速くなった私は、その矢を冷静にミスリルソードで切り落とした。

 そして、オートマタの視線を矢が飛んできた方へと向ける。

 そこには、見た事のある奴がいた。


「よう、お嬢さん方。昨日はよくもやってくれたな」


 そう言って、身を隠していた茂みの中から出てきたのは、昨日、冒険者ギルドで絡んできたチャラ男。

 それに加えて、盗賊っぽい格好した連中が、チャラ男の取り巻きみたいな感じで出てきた。

 どうやら、猫耳の言ってた黒い噂というのは本当だったらしい。


「ご主人様! マズイです、囲まれてます!」


 私が、喧嘩を売る相手を完全に間違えたバカを見る目でチャラ男を見ていると、リーフがエルフ耳をピョコピョコと動かしながら、そう言った。

 それに対する私の感想は、ふーんって感じだ。

 獲物が増えて、臨時収入が増えたなくらいにしか思わない。

 要するに、皆殺し確定である。

 虐殺をリーフに見せるつもりはないけど、正当防衛なら問題ないでしょう。


 とりあえず、強敵がいた場合に備えて、ダンジョンから援軍を持って来ようか。

 そう考えた時、チャラ男の隣に、一際目立つ盗賊を絵に描いたような禿頭の巨漢が現れた。

 巨漢と言っても、巨人族程じゃないから、ただの人族だろうけど。


「おい、デール。あの仮面の女が上玉ってのは本当だろうな?

 仮面付けてる奴は、顔に傷があるってのが普通だぞ」

「心配すんなって。俺の美人を見抜く眼力に間違いはない」

「ハッ。まあ、俺らは楽しんだ後に高く売れりゃあ文句はねぇ。

 その眼力ってやつに期待してるぜ、イケメン様よぉ」


 そう言いながら、舐めるような目でオートマタを見てくる盗賊。

 見れば、他の連中も似たような目をしていた。

 ゴブリンやストーカーと同列のゴミどもめ。

 汚物はすぐに消毒してやる。


「あ、あぁ……」


 そうして私が殺意の波動に目覚め、ダンジョンから戦力を派遣しようとした時、ふとリーフの様子がおかしい事に気づいた。

 真っ青な顔で、なのに強い感情の籠った目で、盗賊を睨み付けている。

 ……どうしたんだろう?


「リーフ、知り合い?」

「……はい。あいつは……! あいつは、お父さんの仇です……!」


 ……ほう。

 それはまた、奇妙な巡り合わせもあったもんだね。

 盗賊に向けて殺意を剥き出しにするリーフを見て、私は何とも言えない気持ちになった。

 ただ、確実に言える事が一つだけある。


 それは、私の殺る気が上がったという事だ。

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