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殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~  作者: 虎馬チキン


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とある元勇者と勇者の近況

 ウルフェウス王国から逃げ出した俺達は、エマちゃんの『天使の補助翼(エンジェルウィング)』を使った強行軍で途中の国をすっ飛ばし、非戦闘組が避難する予定だった国、女神教の総本山であるエールフリート神聖国まで、ほぼ直でやって来た。

 傷ついた勇者(神道)を、一刻も早く魔王の手が届かない安全な場所に運ぼうとしたエマちゃんの決断だ。

 それに文句はない。

 少なくとも俺は。

 でも、国を見捨てた形になったから、神道とアイヴィさんは、めっちゃ複雑な顔してたけどな。


 そうして、エールフリート神聖国に辿り着いた後、俺は戦いから遠ざかる事になった。

 これは、道中でも三人に話していた事だ。

 もう心が折れた。

 戦えないと死んだ目で語ったら、三人とも同情するような目で見てきて、俺の決断を受け入れてくれた。

 今後、俺は戦い以外の道で食っていく事になるだろう。

 鑑定を活かした目利きとかで。


 それに引き換え、神道は立派だよ。

 エマちゃんと、新しい十二使徒に選ばれたアイヴィさんと一緒に、これからは最前線で戦い続けるって言うんだから。

 そうして、いつの日か魔王を倒して皆の仇を討つんだって。


 まさに勇者だ。

 悲劇の英雄だ。

 戒めとして、本城さんに付けられた左目の傷をそのままに(眼球は治したみたいだけど)してる事といい、俺には逆立ちしても真似できない。

 俺にできたのは、鑑定に成功した魔王やあのドラゴン、そして本城さんの姿をした魔物のステータスを教える事くらいだった。

 それが、勇者としての俺の最後の仕事だ。


 この先、俺の話した情報を基に、神道がどんな選択をするのかはわからない。

 勇者と魔王の戦いの結末もわからない。

 この世界がどうなるのかもわからないし、俺の力じゃもうどうしようもない。


 俺はもう何もできない。

 俺はもう、勇者の物語の中にはいない。

 心を折られた負け犬にできるのは、その他大勢に交ざって、勇者様が魔王を倒して平和を掴みとってくれる事を祈るだけ。


 こうして、俺の冒険は終わってしまった。

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殺戮のダンジョンマスター籠城記(1)
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