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殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~  作者: 虎馬チキン


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72 状況説明

「はい。起きています、魔王様」

「ふむ。そろそろ落ち着いたかの?」

「はい」


 神道逃走ショックからは、とうに立ち直ってる。

 というか、それに配慮して今まで連絡してこなかったんだろうか?

 ……魔王が意外と良い上司だ。

 絶対に殺せると確信するまで、クーデターは起こさないでおこう。


「それは何よりじゃ。では、これからの作戦を伝える。よいな?」

「はい」

「よろしい。では、まず状況説明からじゃ」


 そうして、カオスちゃん人形の腕の中に、丸まった紙みたいな物が現れた。

 大きな紙だ。

 カオスちゃん人形よりも遥かに大きい。

 それを、ミニ玉座から降りたカオスちゃん人形が床に広げていく。

 サイズ的に、なんか作業が大変そうだったので、マモリちゃん人形にも手伝わせる。

 お人形さん二人が、えっさほいさと動く様を見ていて、不覚にもちょっと和んだ。


 そんな苦労を経て、紙は床に広げられた。

 そこに描かれていたのは、地図だった。

 しかも、今まで私が入手してきた国や街の周辺の地図と違って、これは多分世界地図。

 そして、その半分近くが黒く塗り潰されている。


「さて、わかるかもしれんが、これはこの世界の地図じゃ。

 そして、黒く塗り潰してあるのが、我ら魔王軍が既に滅ぼした国じゃな。

 で、現在地であるウルフェウス王国がここ。

 目的地であるエールフリート神聖国が、ここじゃ」


 そう言って、カオスちゃん人形は二つの国を指差した。

 片方は、黒い国と隣接する位置にある、そこそこ大きい国。

 もう片方は、地図の中で一番大きい国。

 そっちには赤丸がついてる。

 これがエールフリート神聖国か。


「知っての通り、今回の戦いにおいて、我らはウルフェウス王国の首都を落とした。

 こうなれば、この国全体もまた落ちたも同然じゃ。

 まあ、国というものは案外しぶといもので、頭を潰しても、しばらくは動くんじゃがな。

 しかし、ドラグライトを王都に残してきた。

 外からの魔王軍本隊。内からのドラグライト。

 この挟撃によって、遅くとも数ヶ月あれば、この国は完全に滅びるじゃろう」


 カオスちゃん人形が、どこからか現れたペンとインクを使って、地図に描かれたウルフェウス王国を黒く塗り潰す。

 両手でペンを握ってぬりぬりする姿を見て、不覚にもちょっと可愛いと思ってしまった。


「さて、あとは見ての通りじゃ」

「なるほど。最短で、あと三つ国を落とせばエールフリート神聖国に進軍できますね」

「左様!」


 ……思ったより魔王の計画って進んでたんだね。

 急いで強くならないと。


「それで、作戦なんじゃがな。

 お主には、今回のように国の内側へと潜入し、内部から滅ぼしてほしいのじゃ。

 これは他の脳筋どもにはできん仕事じゃからのう」

「わかりました」


 そうなると、まずは情報収集して、潰せそうなところを潰しながら、コツコツとやろうか。

 私には、全力で魔王の為に尽くしてやる義理はないんだし、国落としタイムアタックに挑戦する必要はない。

 不興を買わない程度に働いて、残りの労力は自分の強化の為に使おう。


「それとな。国三つ落とせば進軍経路は開けるが、それはあくまでも最低限じゃ。

 万全を期し、全軍を持って奴らの本拠地を包囲するには、進軍経路は他にもいくつか開いておきたい。

 まあ、それは他の幹部の仕事なんじゃが。

 とにかく、国三つ落としたら、即最終決戦とはいかないとだけ覚えておれ」

「はい」


 それは、よかった。

 準備期間は長ければ長い程いい。


「ああ、それと、我は基本的に最前線での戦いに専念しておるからの。

 余程の事でもない限り、今回のような助力は期待せんでくれ」

「わかりました」

 

 要するに丸投げね。

 まあ、自由行動を許されたと思っておこう。

 その時間で、できうる限り牙を研ぐ。


「では、これにて話は終わりじゃ。

 健闘を祈るぞ、マモリよ」

「はい」

「それと、その地図はお主にやろう。

 では、さらばじゃ!」


 そうして、カオスちゃん人形はミニ玉座に飛び乗った後に停止した。

 さて、じゃあ私も行動開始といこうか。

 私は、モニター越しにカオスちゃん人形が残していった地図を見る。


 次の標的は、ウルフェウス王国の隣国。

 アワルディア共和国だ。

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殺戮のダンジョンマスター籠城記(1)
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