表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~  作者: 虎馬チキン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/135

34 ボス戦

「強い……」


 わかってはいたけど、最後に残ったこの二人、予想以上に強い。

 戦闘力はもちろん、精神力も。

 仲間のゾンビを躊躇なく破壊するって、どんだけよ?


 不死身ゾンビも氷漬けにされちゃったし、中年ゾンビはさらっと破壊されちゃったし、ゴブリンゾンビも致命傷受けてる。

 これ以上、ゾンビを修復しながら戦うのは効率悪いな。

 修復するなら、リビングアーマー先輩を修復し続けて戦った方が勝率高そう。


 という訳で、ゴブリンゾンビは撤退させて放置。

 今回はもう戦わなくていい。

 嫌がらせはゴーレム達に任せよう。

 ついでに、あんまり出番のないロックゴーレム達を第一階層に派遣し、生き残りのゴブリンと苗床の女どもを皆殺しにしておいた。

 ロードもいない、チャンピオンもいない、シャーマンもいない、ホブもいない。

 そんなゴブリンどもなんて敵じゃないし、女どもは全員もれなく弱りきってるから、簡単に殺せた。

 討伐隊が道塞いだせいで、誰一人として逃がさずに殺せたから良かった。


 これによって、私は経験値とDPを手に入れた、リビングアーマー先輩の残機が増えた。

 ちなみに、強化を繰り返したリビングアーマー先輩の今のステータスが、こちら。


ーーー


 リビングアーマー Lvーー


 HP 30600/30600

 MP 0/0


 攻撃 15000

 防御 30000

 魔力 0

 魔耐 30000

 速度 12000


 スキル


 なし


ーーー


 控えめに言って化け物だと思う。

 とりあえず、全身オリハルコンにしてみたら、こうなった。

 でも、オリハルコンは最高峰の金属の一つらしいので、材質の変更による強化は多分、これで頭打ちだと思う。

 あとは地道にDPで強化していくしかない。

 それでも、現時点でも凄まじい性能には違いないから、弱りきった討伐隊のラスト二人くらい、何とかなると思う。


 真装使った魔法使いの爺の魔力が25000超えって事考えると、普通にダメージ通りそうで少し不安だけど、それでも大丈夫だ。

 何せ、リビングアーマー先輩は今、総オリハルコン製。

 それは鎧だけじゃない。

 盾もだ。


ーーー


 『オリハルコンの盾』 耐久値10000


 効果 防御+10000 魔耐 +10000


 オリハルコンで出来た盾。

 この世の物とは思えない程、頑丈に作られている。


ーーー


 これってつまり、実質リビングアーマー先輩の防御系ステータスは4万という事なのだ。

 凄まじいとしか言えない。

 まあ、武器で上がるステータスが有効なのは、真装とかの例外を除いて武器の部分だけ。

 要するに、防御力4万っていうのは盾で受けた場合だけだから、油断してクリティカルヒット食らうと、普通に大ダメージ受ける事になる。

 ……十分に注意しよう。


 ちなみに、総オリハルコン製とか言ったけど、剣は黒鉄製である。

 ごめんなさい。

 ちょっと調子に乗って嘘つきました。

 剣までオリハルコンにする余裕はなかったんだ……。

 でも、どうせ主要な攻撃手段はトラップだから、あんまり関係ない。

 だから問題ない。

 そういう事にしておこう。


 そうしている内に、討伐隊の二人がゴーレムの嫌がらせを乗り越えてボス部屋の前に辿り着いた。

 そして、真装を展開し、警戒しながらも堂々とボス部屋の扉を開けた。


「さあ、開戦だ!」


 奴らがボス部屋に踏み込んだ瞬間に扉が閉まり、私は挨拶代わりに矢の雨を放つ。


『《アイスウォール》!』


 案の定、それは氷の壁で防がれたけど、本命はこの次だ。

 食らえ!

 大量のDPに物を言わせて購入した新トラップ!


「レーザービーム!」


 ボス部屋後方の壁に埋め込まれた装置から、極太の光線が放たれる。

 それは氷の壁を容易く粉砕し、二人を消し飛ばした。

 ……と思ったら、ギリギリで避けてたらしく、熱血色物の肩が抉られたくらいしかダメージがない。

 チッ!

 初見殺しで確殺してやろうと思ったのに!

 このトラップ、10000DPもしたんだぞ!


 そんな嘆きを呑み込み、私は波状攻撃を仕掛けるべく、連中の足下の落とし穴を作動させた。


『!? 《フロストガイア》!』


 しかし、速攻で氷の魔法を使われ、落とし穴どころか、ボス部屋の至る所が凍らされた。

 しかも、前に生前の不死身ゾンビがやった時より遥かに分厚い氷が、床だけじゃなく壁や天井まで覆っている。

 でも、甘い!

 私だって、一度やられた事の対策くらいしてるのだ!


「火炎トラップ起動!」


 今度は、ボス部屋の天井の四隅に設置されていた火炎放射のトラップが起動。

 分厚い氷を物ともせずに溶かし、ボス部屋全体を火の海にする。

 しかし、氷は溶けたけど、それでダメージを負った奴は一人もいない。

 リビングアーマー先輩は圧倒的な防御力で耐え抜き、向こうの二人は冷気で炎を相殺してた。

 でも、これでトラップが復活したんだ。

 ガンガン行く。


 私は伸び上がる床を起動。

 奴らの足下ではなく、奴らを挟むように二つの柱がそびえ立つ。

 その柱の側面には、ありったけの爆発トラップが仕掛けてある。


『イカン!』

「起爆!」


 ドドドドドドドドド、と連続して爆発音が響き、レーザービームにも勝る破壊力が至近距離から二人を襲う。

 おまけに、爆発を目眩ましにして、再びレーザービームを発射。

 薙ぎ払え!


『《熱血低空飛行》!』

「なっ!?」


 しかし、二人はこれすらも避けた。

 熱血色物の拳から激しく炎が吹き出し、それを推進力にして、某家庭教師ヒットマンの教え子のように空を飛んで回避した。

 爺は、熱血色物の肩に担がれている。

 ありなの、それ!?


『《アブソリュートゼロ》!』


 そして、肩に担がれた爺が、リビングアーマー先輩に向けて絶対零度の冷気を放ってきた。

 火炎トラップで可能な限り威力を削ってから、オリハルコンの盾で受ける。

 それでも、リビングアーマー先輩の表面が凍りついた。


『うぉおおおお! 《超熱血パンチ》!』


 そして、熱血色物の渾身の一撃がオリハルコンの盾に叩きつけられた。

 盾の耐久値が、一気に300くらいゴッソリと減る。

 この耐久値が0になると、武器は壊れるのだ。

 それは真装も例外じゃないし、オリハルコンも例外じゃない。


 というか、凄い威力。

 まあ、急激に熱した後、急激に冷やすとかの温度差攻撃は、あらゆる作品に出てきた武器破壊のメジャー技だ。

 そう何発も食らうつもりはない。


 私は拳を振り抜いた姿勢の熱血色物の足下で、剣山のトラップを発動させた。


『むぅ!?』


 剣山がダメージを与えたのを確認する前に引っ込め、今度はリビングアーマー先輩の剣で突く。

 動きのモデルは、中年ゾンビの使っていた《ストライクソード》。

 お前らが壊したゾンビから受け継いだ力!

 食らうがいい!


『熱血! 気合い白刃取り!』

「掴んだ!?」


 熱血色物は、突き出された剣を両手で挟んで止めた。

 まさに真剣白刃取り。

 しかも、なんか凄い勢いで黒鉄の剣が熔けていく!?

 どんだけの高温!?


 その状況を打開すべく、というより、剣を突き出すのもほぼ同時に、熱血色物に向けて矢を連射する。

 この位置だとリビングアーマー先輩も巻き込まれるけど問題ない。

 今のリビングアーマー先輩なら、矢くらいノーダメージで受けきる。


『痛っ!?』


 だが、矢が刺さった熱血色物は、大したダメージを受けていなかった。

 やっぱり、真装込みで防御6000超えてると、矢は大したダメージソースにならないか。

 でも、その矢には毒が塗ってあるし、決して効かない訳じゃない筈。


 そして!


「シールドバッシュだ!」

『ぬぉお!?』


 リビングアーマー先輩の怪力に任せて盾を叩きつけ、熱血色物を弾き飛ばす。

 そして、吹き飛んでいる最中に伸び上がる床を起動し、天井とサンドイッチにして熱血色物をミンチに……できてない。

 硬いわ!


『カルパッチョ! 無事か!?』

『まだまだ行けます! 私の心はまだまだ燃え滾っている!』


 暑苦しい!

 体育会系教師は嫌いだ!

 女に興味ないふりして信用を集め、その信用を盾に体育館倉庫で押し倒してくるんだ!

 中学の時の実体験だから、よくわかる!

 幸い、その時は他の奴が近くにいて未遂で終わったけど。

 それ以来、私はどんなに聖人に見える奴でも信じない事に決めた。


「……って、今はそんな事どうでもいい!」


 今はこいつらを殺す事が先決!

 防御力の低い爺を狙って矢を乱射する。

 それは全て魔法で叩き落とされたけど、目眩ましにはなってるし、消耗もさせられてるから、これでいい。

 おまけに、床トラップと天井トラップを発動し、チャージが終わる度にレーザービームを放って、反撃の暇を与えない。


 熱血色物の方は、このまま伸び上がる床でプレスするのは無理だと判断して、自力で脱出される前に床を元に戻し、代わりに天井のギロチンを横方向に射出して殺しに行った。

 でも、それは例のボンゴレ飛行術で回避される。

 厄介!


 しかし!


『くっ……!』

『ぬぬぬ!』


 これを続ける事で、二人は確実に弱ってきた。

 理由は二つ。

 一つは、言わずもがな毒。

 ここまではポーションと回復魔法で中和してたみたいだけど、ボス部屋での戦闘中にそんな暇は与えてない。

 戦いが長引く程に、二人の動きは精彩を欠いていく。


 そして、もう一つは体力切れ。

 考えてみれば当然の話で、この二人はゴブリンロードとの死闘の直後に、第二階層で戦いまくった末に、ここにいる。

 つまり、今までの戦いの疲労が蓄積してるんだ。


 これがウチのダンジョンの醍醐味。

 ゲームと違って、ボス戦前に完全回復の泉なんてない。

 ボス部屋の前に辿り着いた者には、疲労困憊の状態でボスモンスターに挑むか、休んで毒とゴーレムとゾンビに襲われるかの二択しか選択肢を与えない。

 どこまでも無慈悲なシステム。


 そして、この二人は体力よりも先にMPが尽きる。


 あれだけ膨大だった爺のMPですら、もう残り1000もない。

 熱血色物に至っては、残り100程度だ。

 このままのペースだと、残り一分もしない内にMPが切れ、不死身ゾンビの時みたいに真装も使えなくなる。

 そうなれば、私の勝ちだ。


『すまない、お前達! 私はどうやら、ここまでのようだ!』


 その時、熱血色物がそんな事を口走った。

 さっき言ってた、教え子達とやらに向けた言葉だろうか?

 でも、そんな言葉とは裏腹に、熱血色物の目には諦めなんて欠片も浮かんでいなかった。


『だが! 必ずやこいつを打ち倒し! ランドルフ様だけは意地でも帰そう!

 ランドルフ様! あいつらをよろしくお願いします!』

『カルパッチョ!? 何をする気じゃ!?』


 熱血色物は、トラップに身を削られる事すら厭わず、力を溜めるような仕草をした。

 何か来る。

 私は、リビングアーマー先輩に、油断なく盾を構えさせた。


『魔物よ! 知っているか!?

 蝋燭の炎というのはな! 消える寸前が最も強く! 最も激しく! 最も美しく燃え滾るのだ!

 そして、それは私もまた同じ事!』


 熱血色物の右の拳から、今までとは比較にならない業火が立ち上った。

 そして、その炎が青く染まる。

 これは!?


『食らうがいい! これが! 我が生涯最後の一撃! 《オーバーヒート》ォオオオ!』

「ッ!?」


 熱血色物が、凄まじい速度で突貫してくる。

 足りないMPの代わりとでも言うように、HPを急速に減らしながら。

 しかも、今の熱血色物は、ボンゴレ加速術によって、明らかにステータス以上のスピードを出している。

 これは、避けられない!?

 防ぐしかない!


『おおおおおおおおおお!』

「耐えて!」


 オリハルコンの盾の耐久値が急速に減少し、それどころかリビングアーマー先輩のHPすら削れていく。

 そして……オリハルコンの盾が、砕けた。


『燃え……尽きたぞ……』


 しかし、盾を砕いたところで限界を迎えたのか、熱血色物が倒れる。

 そのHPは0になっていた。

 た、助かった……。


『カルパッチョ! お主の犠牲を無駄にはせん!』

「うっ!?」

 

 そして今度は爺が、トラップを無視して魔法の発射準備みたいな事を始めた。

 普通のトラップじゃ殺しきれない。

 大火力のレーザービームは、たった今使っちゃったから、数秒はチャージ時間がいる。

 止められない!


『《アイシクルノヴァ》!』


 爺の全MPが籠められた魔法が放たれる。

 まるでウチのレーザービームを彷彿とさせる、それでいて確実にこっちを上回る威力を宿した冷凍ビームが、リビングアーマー先輩に直撃した。


 そして、リビングアーマー先輩が、砕け散った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

殺戮のダンジョンマスター籠城記(1)
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ