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殺戮のダンジョンマスター籠城記 ~ヒッキー美少女、ダンジョンマスターになってしまったので、引きこもり道を極める~  作者: 虎馬チキン


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29 討伐隊襲来

 ゴブリンロードがくっ殺プレイにハマってから10日くらいが経過し、遂に恐れていた事態が発生した。


 ダンジョンマスターとしての感覚が侵入者の出現を告げ、モニターで確認すれば、そこには立派な装備に身を包んだ人間達の姿が。

 その装備も、今までの連中みたいな冒険者風の格好じゃなくて、ある程度統一された騎士っほいデザインの装備だ。

 国の兵士と言われれば納得できる。

 多分、こいつらが討伐隊だろう。

 前回逃げた奴が、シレッとその中に紛れ込んでるから間違いない。

 お前、冒険者じゃなかったんかとも思ったけど。


 討伐隊の人数は、全部で10人。

 その中で、真装使いは3人。

 思ったよりは少ない戦力だけど、それでも脅威だ。

 真装使いの3人は言うに及ばず、残りの7人も平均ステータス2000弱の大物。

 特に、隊列の真ん中にいる爺がヤバイ。


ーーー


 人族 Lv91

 名前 ランドルフ・フォックスター


 HP 1055/1055

 MP 10080/10080


 攻撃 541

 防御 487

 魔力 8900

 魔耐 2174

 速度 409


 ユニークスキル


 『真装』


 スキル


 『MP自動回復:Lv30』『氷魔法Lv:70』『火魔法:Lv10』『回復魔法:Lv30』


ーーー


 化け物やん。

 私以外でMP万超えの奴、初めて見た。

 MP、魔力、スキルLvだけなら、こいつ一人でゴブリンロードより強いし。


 しかも、真装使いはもう二人いる。

 一人は、前回逃げた速度特化の男。

 そして、もう一人は、


ーーー


 人族 Lv79

 名前 カルパッチョ・ボンバーニ


 HP 5555/5555

 MP 3922/3922


 攻撃 3050

 防御 3000

 魔力 2888

 魔耐 2755

 速度 2998


 ユニークスキル


 『真装』


 スキル


 『HP自動回復:Lv21』『格闘術:Lv35』


ーーー


 強い。

 色物っぽい名前のくせに、平均ステータス3000弱て。

 しかも、真装使わずにこれでしょ?

 インフレが激しすぎて、ちょっとやってられないわ。


 なんにしても、こいつらならゴブリンロードを殺せると思う。

 できれば、そのまま帰ってほしいけど、もし侵攻して来るのなら返り討ちにしてくれる。

 こっちだって、できうる限りの準備は整えてきたんだ。

 くっ殺プレイで遊んでたゴブリンロードとは違う。


「来るなら、来い」


 私は強気な姿勢で、討伐隊の動向を監視した。






 ◆◆◆






「見えました。あの洞窟です」


 魔王軍幹部を名乗る魔物が国内に現れたという情報。

 そして、我が国の第三王女が、その魔物に捕らえられたという情報が入ってから10日。

 儂らは、その事件の現場となった洞窟へと赴いた。

 その魔物を討伐し、あのお転婆王女を救出する為に。

 この情報をもたらした男、お転婆王女の護衛であったデニスの坊主の案内でのう。


 人によっては、こやつの事を、主を見捨てて逃げ出した不忠者と罵るかもしれんが、儂はそうとは思わん。

 むしろ、見上げた忠義者であろうよ。

 主の危機を知らせる為に不休で走り続け、本来なら馬で10日かかる距離を、僅か一日で走破してみせたのだから。

 どれだけ真装を酷使し、命を削ったのかわからぬ程の強行軍。

 真に主の事を思っていなければできぬ所業じゃ。

 まあ、こやつがお転婆王女に抱く感情は、敬愛のみではないと思っとるがな。

 本人が、その感情を自覚しておるのかは知らんが。


 だからこそ、今回の一件は尚更惨い。

 魔王軍幹部を名乗った魔物は、ゴブリンロードであったと言う。

 ゴブリンの王。

 そんな輩に女が捕らわれれば、待っているのは死よりも辛い地獄じゃろう。

 本人の苦痛も然る事ながら、そんな地獄に主を置いてきてしまったデニスの坊主が抱く自責の念もまた、目を覆いたくなる有り様じゃ。

 眠る事すらできとらんかったので、仕方なくカルパッチョの腹パンで気絶させ、寝ている間に腕を治しておいた。

 そのおかげで、今は少しは落ち着いておる。

 こやつに死なれては、お転婆王女を助けても泣かれてしまう。

 そうならない為にも、老骨に鞭打って働くしかないのう。



 ちょっとした策を講じてから洞窟の中へと入り、騎士の一人が光の魔法を使って照らした道を進んで行く。

 今回の作戦を任された兵は、儂を含めて僅か10人。

 いずれも精鋭揃いとは言え、魔王の幹部を相手取るには不安な戦力じゃ。


 だが、それも致し方なし。

 我が国、ウルフェウス王国は魔王の本軍とぶつかる最前線の一角。

 主要な戦力は、大半が戦場に赴いてしまっておる。

 儂とアイヴィの嬢ちゃんは王都防衛の要じゃが、その片割れを動かさねばならぬ程、戦力には困窮しておるのじゃ。

 せめて、勇者達がもう少し成長しておれば話が違ったんじゃがのう。

 だが、ないものねだりをしても致し方なし。

 いくら戦力が足りなかろうが、ここまで来たらやるしかないのじゃから。


 そうして洞窟を進み、出くわすゴブリンどもを仕留めていく内に、そやつが現れた。

 一目で強敵とわかる威圧感を放つ、一匹のゴブリン。

 ……なるほど。

 こやつがゴブリンロードか。


「また小虫が入り込んだかと思えば、前に見た顔がいるではないか。

 どうやら、あの小娘を助けに来たようだな」


 そう言って、ゴブリンロードはニタリと嗤った。


「ならば! 斬り飛ばした貴様らの首の前でグチャグチャに犯してやれば、あの小娘はさぞやいい声で鳴くのだろうな!」


 そうして、ゴブリンロードは不快極まりない事を言いながら戦闘態勢を取りおった。

 下衆めが。

 今、改めて覚悟が決まったわい。

 こやつだけは、なんとしても仕留める。

 お転婆王女の事を抜きにしても、これだけ危険な魔物を国内にのさばらせてはおけん。

 ここで引導を渡してくれる。


 見れば、ゴブリンロードが構えを取るのに呼応したかのように、洞窟のどこそこから大量のゴブリンがウジャウジャと湧いて来おった。

 それに対抗すべく、こちらも本気の構えを取る。


「駆けろ━━『ヘルメス』!」

「燃え滾れ━━『ヒートナックル』!」


 デニスの坊主とカルパッチョが真装を出す。

 そして、儂も……


「凍りつけ━━『ヴァナルガンド』!」


 生涯の相棒である、真装の杖を顕現させた。

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殺戮のダンジョンマスター籠城記(1)
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