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「あの……嘘でも嬉しいです」
「嘘じゃないですよ。僕貴女みたいな少しぽちゃっとした人がタイプなんです。何故かあなたの前では自分の気持ちをきちんと伝えておかないといけないようなそんな気がして」
ぽちゃっと⁈それでも嬉しい!このイケメンの顔でそんな事を言われたら、身体のあらゆるところが発熱して湯気が出てきそう。
「あの、私男の人に今までそんなこと言われたことなくって……なんか緊張と言うか、あの嬉しくてでも恥ずかしいような、なんだかどうしていいのか分からなくて。それに、まさか私の小指の糸に繋がっているのが、あなたのようにカッコイイ人だと思わなくて。それもすごくタイプなんです。その髪型もその耳の形も、声も顔も身長も全部私の好みなんです」
「あ、あの僕照れてしまいますよ。そんなに褒めてもらったら」
「あ、すみません」
「ほらまた謝ってる。それで今日はスーパーに行ったらたまたま赤い糸が繋がっている僕をたまたま見つけたっていうわけですか?」
「いえそうではないんです。今日は初めから、小指の先の相手を見つけたくて、家からこの小指の糸を追いかけて電車に乗ったりして、それでやっと見つけたんです」
「なるほど、電車って事はこの近くではないんですね?」
「はい、小倉町駅の近くに住んでします」
「え?小倉町ですか?僕その街に職場があるんで毎日通っていますよ」
「え?そうなんですか?」
「僕は小倉町の南通りにあるKATURAGIでIT関係の仕事しています」
「ええ?KATURAGIって有名な会社じゃないですか」
「まあ、運が良くて入れただけですけど、僕の場合は(笑)」
すごい。イケメンな上に性格も良くて、その上有名企業に勤めているなんて。素敵すぎる。シンデレラとか白雪姫とかにでてくる王子様以上の存在過ぎてどうしよう、この幸せな感じ。
ふぅ~、花美月可憐とりあえず落ちついて。
「花美月さんはどこで働いているんですか?」
「私は雑誌の編集社で働いています」
「えー凄いじゃないですか」
「いえ、私はまだまだ経験が浅いので職場の方に迷惑ばかりかけてしまっているようなものですし」
「そんなご謙遜されなくても。でもお仕事はお好きなんでしょう?」
「ええ、まあこの仕事にはずっと就いてみたくて、それで内定を頂いた時には本当に本当に嬉しかったですよ」
「いいですね、そういう長年の夢が叶ったと言う感じで素敵です」
「私小さな頃母親に絵本を毎晩読んでもらっていて、それで本が無いと人生がないのと同じ様なぐらい本が好きになってしまって。どんなジャンルだって読むんですけど、中学生の頃にBBBGIRLという雑誌を初めて読んだ時に、字ばかりじゃなくて写真と文字が載っているのもすごく新鮮でいいなって思ったんです。それで雑誌の切り抜きとかしていくうちに、私には将来この仕事しかない!とそう思えたんです」




