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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
運命の赤い糸
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5

きっと夜になると、もっと不気味に違いないその家を通り過ぎ、更に奥へと進む。そして赤い糸の先は玄関先に沢山の種類の花が咲いているお宅に繋がっているようだった。

  もしかしてこの家の中に未来の私の旦那様が?

 胸の鼓動が高鳴るのを感じながら、その家へと近づいていく。ずっと、気になっていた赤い糸の先の相手がやっとこの目で見れるのだ、そう思うとドキドキして止まらない。


  家の斜め前に立って、携帯をポケットから取り出し、携帯をいじっているふりをしながらその家を改めてじっくりと見つめる。


  真っ白で大きな家でその外観からはいかにも裕福そうで幸せそうな家族像が窺える。その時、ガチャリと玄関が開いた。

  出てきたのは、ものすごく背が高くてじっくりと顔を見なくても、イケメンであろう事が分かった。


 もしかしてこの人が、将来の私の旦那様……?


 その人はこちらに向かって来ているので、パッと視線を逸らして携帯を見ながら誰かと待ち合わせをしているフリを装った。


 チラリ、チラリと視線をそちらに向けながら、赤い糸の先を確認する。もしかして、あのイケメンが私の、わたしの旦那様……?

 自分の左手小指の赤い糸を辿って行く。そして、その先は……その赤い糸の先は……。


 今、家から出てきたイケメンの小指の先に繋がっていた。

 小さな頃からずっと自分の旦那様になる人はきっとシンデレラや白雪姫に出てくるような王子様に違いない、と思っていたけれど、その思いが現実になるなんて。

 もう少し近くに行って顔を見てみたい。


 私の将来の旦那様であるそのイケメンは私の前を歩いてどこかに向かっている。よし、後ろからついて行ってみよう。

 別に悪い事をするわけではないんだから大丈夫。


 そのイケメンの十数メートル後ろをついて歩く。私が来た道の先を右に曲がり、スーパーがある方向へ歩いている。

  あのスーパーに何かを買いに行くのかな?


 そして、そう思った通りに、そのイケメンはスーパーの中へと入って行った。

 私は、見失いたくなくて、小学生ぶり位に必死に走った。

 息を切らしながら店内に入るが、どこにいるのか直ぐに見つけれるはずもない。しかし、私にはGPS機能並みに確実な赤い糸と言う物が小指についているのだ。

 その赤い糸をつたっていくうちに、イケメンを見つけることが出来た。


 あ、あそこにいるあの人だ。ドキドキドキドキ。飲み物を見ている、その姿ですらかっこよく見えてしまって仕方がない。


  そしてついに、近くで顔を見れる瞬間がやってきた。そのイケメンは本屋に入ると立ち読みを始めたので、私はその斜め前の方から本を読んでいるイケメンの顔をじーっと見つめた。

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