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「大変だ、島の皆が死んでいる。きみさんの家に戻ったら皆血を流して死んでいたんだ。それで俺は無我夢中で走って歩いているお前を見つけたんだ。この島に殺人鬼がいる。お前、お前が皆を殺したんだろう? お前今からどこに行こうとしたんだよ」
「違う俺じゃない、俺は人を殺したりなんてしない。俺はただ、島の様子がおかしいからそれで」
「それで人殺しをしようってわけか?立今。俺はまだ死にたくねえ。俺は殺されたりなんかしない。殺される前にお前を殺してやる」
「なにをしようというんだ⁈ やめろ! こっちに来るな、その手に持ったカマを地面に置くんだ、やめろ、俺は殺人鬼なんじゃない、早まるな!」
「うるさい、この殺人鬼め!死ね!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「お、俺は悪くない、悪いのは殺人鬼が悪いんだ。 うわあああああああああああああ――」
俺はまだこの人生でやり残したことが沢山あるんだ。
こんな人生の終わり方をしてたまるか。島の全員が殺されたとしても俺は一人生き残るんだ。
俺はカマを立今弘の遺体から離してそれを持って、港に向かった。この島ある出するんだ。
「おい、達也!お前そのクワ、お前が殺人鬼だったのか⁈ 早まるのはよせ、落ち着くんだ」
「賢吾⁈ お前まだ生きていたのか。まさか!? お前が殺人鬼なのか?」
「何を言っているんだ。危ないからそのカマを手から離すんだ」
「うるさい。俺はこんな人生の半分もいっていないところで死ぬわけにはいかねえんだよ、賢吾死ね」
俺はカマを持って、賢吾のすぐ近くまで近寄った。
「やめろ、やめてくれ……」
後ずさりしながら、賢吾はそのまま足を踏み外し、数メートル下の海の中へと落ちてしまった。
「お、俺が殺したんじゃない……俺がやったわけじゃない、賢吾が自分で死んだんだ」
俺はヘトヘトになりながらも、その場を離れそして気が付いたら竹藪の中にいた。




