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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第五章 猛追
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「先生は、他の先生みたいに変な漫画を描くなとは言わないんですね」


「そんな事いいませんよ。あなたは絵を描くことが生きがいの一つなんですよね?それなのに何故止める必要があるのでしょう?」


「でも僕が描く絵は普通じゃないって言うんだ。普通の人の描く太陽の絵はオレンジだって、そう言うんだ。でも僕の描きたい太陽は黒色の太陽なんだ。それのどこがおかしいのか聞いても、僕を外に無理やり連れだして、そして太陽を指さして黒色に見えるかどうか聞いてくるんだ」


「なるほど」


「黒色って答えると、オレンジって答えるまでその場から離してくれないんだ」


「太陽の色がオレンジしかないと言う考え方の方が間違っている」


「でしょう?僕もそう思うんだ。それに人の絵を描いたら、人の身体からこんなに血がれている姿を描くのは、僕が病気な証拠だって言って、聞かないんだ」

「それは大人の勝手な思い込みだ」


「そうでしょう?僕は書きたい絵を描いているだけなのに、どうして文句を言われたりしないといけないんだ?学校に行っても先生も友達もみんな僕の絵を見て気持ち悪がったんだ」


「でも君は絵を描く事が好きなんだろう?それなら絵を描き続ければいい」


「僕もそう思うんだ。でも僕のお母さんは僕が絵を描くことを嫌うんだ。だから僕の部屋から画用紙とクレヨンや鉛筆まで僕から取りあげたんだ」

「でも君は今、書いてるじゃないか」


「それは僕が暴れたから。僕は絵が描けないと死んでしまうんだ。お母さんは暴れる僕を見て諦めて鉛筆や画用紙を返してくれたんだ」


「どうしてそんなに絵を描くのが好きなのか、教えてもらえはしないだろうか?」

「先生、好きな事をするのにどうして理由があると思う?僕はただ絵を描いていると楽しくて仕方がないんだ。絵を描いてるだけで時間があっという間に過ぎていくし、気が付いたら夜になっていることもある。誰かに言われて書いてるわけでもなければ自分が本当に好きで描いているんだ」


「なるほど」


「僕はね、絵を描くことが出来さえすれば、学校だって行かなくて平気だし友達なんていなくても寂しくないんだ。だけど、それじゃあ駄目って言われるんだ」


「なんでだろうね?」


「なんでって、日本では義務教育を受けなければならないからって、勉強をしないと日本では生きていけれないってそうやって言うんだ」


「日本では生きていけないねえ」


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