表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第五章 猛追
71/107

12

 秋部ヨシの家の前の柵をギーッと開ける。

 この家の中に入るのは初めてだな。


 玄関には鍵がかかっておらず、勝手に開けて中へと入る。下駄箱の上には市松人形が5体飾られていて、その横には沢山のコケシが並べてある。


「すみません」耳が悪くて聞こえないだろうが、そう言って返事がないのを待ってから、長い廊下を進み、中に入って行く。

 線香の臭いが部屋に充満しており、ジメジメとしてジッと汗が出てくる。


 一番奥の唯一閉まり切っている部屋の前に立ち、ドアに掛けられてある文字を読む。「診察室」と書いてある。

「お入り」自分が来ていることをまるで待っていたかのように、ドアがキキーッと開いた。

 自動ドア?

 中は真っ暗で、ただ蝋燭の炎の所に目玉がぎょろりとしているのだけが見えた。

「失礼します」そう言って中に入って行く。

「待っていたんだよ?」

「自分が来るのを待っていたって言うんですか?」

「そうさ。私はね未来の事、自分の運命すらこの水晶とタロットで占う事ができるんだよ」


 噂には聞いていたが、自分が思っていたよりも本格的過ぎて、つい吹き出してしまった。

「それでは、この後の貴方の運命は?」

「フン。そんな事はお前だって良く知ってるだろう?お前の運命だって私にはお見通しさ」

「そうですか。ですが、生憎自分の運命は自分で決めたい性質でしてね」

「知っておる。お前の中で色々と企んでいることも私には分かってしまうからねえ」

「そうですか、自分は別に自分の人生を見て欲しいと言った覚えもないんですがね?それでは自分が何しにここへ来たかお聞きしましょうか」


「私を殺しにきたんだろう?」

「そうですか、そう思いになるのにどうして逃げないでいるんです?怖くはないんですか?」

「怖い?怖くはないさ。お前は確かに私を殺しに来たがお前には私を殺せないんだよ」


「それは、それは随分と余裕な発言ですね。あなたは変わっている」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ