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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第五章 猛追
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「良かったーー。 皆、佳代子さんに殺されたんよ……」

「正子さんはなんでまたこんな所に?」

「それが自分でも分からないうちにこの場所に気が付いたら来てた。無駄夢中で走ったら家でもなくて公民館に来てたのよ。二人でこの島から逃げよう? 今に殺人鬼と化した佳代子さんが私たちを殺しに来る! 逃げないと。色々と驚いてしまって身体が鉛の様に固くなって走る事も出来ないの」



「正子さん、よほど怖い思いをしたんですね」


「みんな死んじゃった、みんな死んじゃったんだよ。石赤さんも自動販売機の前で死んでた」

「佳代子さんがやったんですか?」


「そうよ、そうに決まってるじゃない。他に誰がいるって言うのよ?説明できないくせにそんな事私に聞かないでちょうだいよ」


「説明できないですかーー 自分には。正子さんお一人でここまで来たんですか?」


「そうなの。浩。徳永浩と一緒にいたんだけど」


「え?徳永さんと?もしかして二人出来ていたんですか?」

「シッ!声が大きい」

「すみません、でも大丈夫ですよ、公民館の中には死体がゴロリですし、石赤さんも死んでますし……」


「死体がゴロリってそんな言い方」

「ところで正子さん……そろそろ向かいましょうか?」

「そうよね……こんな所にいつまでもいても仕方がない……」


             *


 口の中を目掛けて銃弾を撃ち込むと、井島正子は目を開けたまま、向こうの世界へと逝った。

 馬鹿な女だ。

 自分と言う人間を見ても疑う事一つせず、一緒に逃げようなんて仲間気取りか?間に合ってる。


 別に自分は井島正子に仲間になってもらわなくても、寂しくもなんともないというのに。勘違いも甚だしいとはこういう事だ。


「佳代子さんは、とっくに死んでいますよ? 自分が大分前に殺したんですが、何故かみんな佳代子さんが殺したって言って怖がるんですよ。自分としてはそれが少し悔しい。でも許してさしあげようじゃないか、自分にはもっと大きな事が待ち構えているんだ。そんな事で感情を左右されるようでは、この先、色々と勤まらないからね」


さてと、二人やっと減った。





 名簿を開き徳永浩、井島正子の名前を消す。<残人口8名>


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