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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第五章 猛追
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8

 見に行こうか。下着姿の上に服を着て、かるく髪の毛を整えてから、静かに扉を開け外を確認する。

 誰もいない。

浩の大きなサンダルを履き、外に出てみる。

風が強く、整えたばかりの髪の毛が乱れていく。「浩?」私は浩の名前を呼ぶも、嵐の音に声を掻き消されてしまうようだ。


 白色と黒色の模様の猫が、私の目を見ながら、鳴いている。まるで私の事を呼んでいるかのようにして。

「どうしたの?餌もらったんでしょう?足りなかったの?」と聞いてみるが、猫はその場を動かず、ジーッとこちらを見つめている。

 一度部屋に戻り、缶詰めを取りに行く。

「おーい、足りなかったんでしょう?こっちにおいでよ、餌あげるから」と言いながら、缶詰めのタブに人差し指をひっかけてグイッと開ける。

 しかし、その猫はジーッと同じ場所で見つめて、ただミャーと鳴くだけだった。


「食べないの?お腹すいたんじゃないの?」


浩は、私を一人置いてどこに行ったのだろうか?浩の姿はそこにはなく、白と黒の模様の猫がこっちに来ないのを見ながら、


「私がいたら食べにくいよね、ごめんね、ここに置いて置くから後で食べなね」そう言って、家の中に戻った。


誰かと話していたと言う事は、

そのまま誰かと一緒に遊びに行っちゃったかなあ?

もう、人付き合がいいのは分かるけど、普通彼女置いてく?


 信じられないわ。


 私一人で、この家にいてもしょうがないしなあ。自分の家に帰ってDVDでも見ようかな。あ、でも停電してるんだった。


今はいいけど、夜になったら一人でいるのは怖いかも。

やっぱここで待つことにしようかな。


でもなんか、それも癪に障る。

普通、置いて行くにしても何か一言言うでしょう?

それにここの鍵ももらってないし、鍵あけたまま出てもいいのかな?


 うちの家なら鍵開けっ放しで構わないけど、人の家だしなあ、

なんかあったら私の責任になっちゃうもんね。


もう、本当に一体どこに行ったのよ?

すぐに帰ってこないんなら先にラーメン食べちゃうからね?

再びガスコンロの火を点け、沸騰させた湯の中に麺を入れ、

ラーメン皿の中に粉末スープを入れる。


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