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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第五章 猛追
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5

その名簿を見ながら、残りの名前を確認していく。残るは10名。


徳永浩、渡山博、口谷達也、秋部ヨシ、石月実、井島正子、千田賢吾、立今弘、脇西昭、高沖明。


寺野田さんの家の前に停めてある鍵が挿し込んだままの自動車に乗り込み、エンジンをかけ、目的地に向かって車を走らせる。


道路の所々に、落ち葉や紙くずなど色々な物が落ちている。


古いアパートの前に車を停めて、中に入って行く。ドンドンとドアを叩き返答が来るのを待つ。


 しかし、返事はない。そこでドアノブをガチャガチャと回してみる。鍵は閉まっているようだった。

裏に回り、窓を確認しに行く。


           


                    *



「浩、誰か来たわよ、出ないで大丈夫なの?」


「こんな格好で出られるか、人がせっかく楽しんでいるところを邪魔しやがって、お前だって、俺の家にいるなんて事がばれたら困るんだろ?」


「当たり前じゃない、結婚前に男の一人暮らしの家に上がり込んでるなんて知ったらうちの両親はひっくり返って寝込んでしまうわよ」



「じゃあ俺と結婚してくれたら、全て丸く納まるじゃねえかよ」


「駄目に決まってるでしょう、この島じゃよそ者扱いのあなたにうちの両親が結婚なんて認めてくれるはずないじゃない」


「なんだよ、まったく失礼な女だな。俺のどこに欠点があるっていうんだよ?こんな顔が良くてセンスがいい男他にいないだろ?」


確かに顔もセンスもこの島では一番だとは認める。けれど、浩はこの島がどれほど、見えないしがらみで縛られているっか知らないからそんな呑気な事が言えるのだろう。


 私だって、自分が一番好きな人と結婚をしたい。


 両親は、この島の人たちに自慢できるような婿が欲しいと言って、一昨日から旅行を兼ねて見合い相手を探しに島を出た。


 今頃私がこんな所でこの男と寝ているなんて事を知ったら……。


 しかし、今時、お見合いなんて言葉は古臭いし、うちは名家でもなんでもないというのに。

この島の人たちの目を気にしすぎるところには、昔から疑問に感じているが、この島の一歩外を出たらここで感じている窮屈な事柄なんて無縁なのだろうか?


佳代子さんが公民館で殺人なんて犯した理由が私には少しだけ分かる気がした。佳代子さんも島での人間関係を煩わしく感じたのではないだろうか。



それにしたってやり過ぎではとは思ってしまうが。殺人をしてしまった事で自分の人生は台無しになるというのに、佳代子さんがあそこまで思い詰めていたなんて。


 自分の両親が巻き込まれないで本当に良かった。閻魔祭の船の行方はどうだったのだろうか?銀さんが言う様に沈没したのだろうか?


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