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第五章 猛追
――― 関石ハナ、篠栗三子、日井正、柳青正雄
「どうかね?キンピラゴボウ固くねえか?」
「いや~ハナさんの所に来て助かったよ。わしも日井さんもご飯は作れんから腹が減ってな」
「お父さんが生きてりゃあ私だってもっと手の込んだもの作るんだけどね、なあ三子さん」
「まあ女の方が図太い分、女が長生きするっていうもんだからねえ」
「そうだなあ、うちの旦那も三子さんの所の旦那さんも早くに亡くなったもんなあ、色々あったけど、今お父ちゃんが生きていたら酒を思いっきり飲ましてあげたいよなあ」
「日本酒が好きだったもんなあハナさんのお父さんは」
「まあな、身体を壊したらいけねえから酒をあんまり飲ませなかったんだけど、随分と後悔したもんだよ」
「まあまあハナさんも三子さんも、そんなシメっぽくなる話はその辺にして、今日の所はその酒をわしらが飲みますけん」
「そうだなあ、今日は閻魔祭も無くなったし、乾杯でもしようかね」
「そうだよ、そうこなくちゃ」
「ハナさん佳代子ちゃん、なんであんな事したんか、私は気になって仕方がなくてねえ。結構気が強いように見えるけどあれで結構弱かったからなあ」
「そうよねえ、ハッキリ言う様に見えるけど、あれで気を遣う方だもんなあ」
「でもワシは人殺しは許せんよ」
「そりゃあまあそうだけどな」
「で、日井さんどうしたん?眠くなったんか?」
「日井さん酒が苦手なのに、柳青さんが飲ますから、ああ、日井さんあっちに布団敷いてあげるけん向こうで寝てな?」
「あーあーあーあー、日井さんも男のくせして酒に弱いとか、どうにもならんねえ」
「さてと、日井さんも寝た事だし飲み直そうや、いや~何よりハナさんの手料理が最高にうまいね」
「また、柳青さん上手言うてからに」




