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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第四章 遠い記憶2 1
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5

記憶二


         1


 自分を限りなく透明に近い人間にするのは得意な方かもしれないと思う。

 但し、それは特定の好きなモノに対してのみ。


 例えば自分の本心としては黒色を欲しているのに対し、今ここでは白と言わなければならない様な時には、どんな場面でも躊躇うことなく白を欲していると言う事ができるし、赤色に染まりなさいと言われれば、どんな時にでも赤色に染まることが出来る。


 自分の感情を押し殺すと言うよりも、ただただ、無にして透明無色のところにそれを流し入れて染めていくというようにして。

 

 それが魅力的な物であればある程に自分は、どんな色にもそして、どんな形にだって染まることができる。

 染まるだけではなく、自由にくっついて動く事だって出来たりする。

 

 それから自分は裏切られるようなことさえなければ、例えば自分が元々黒色が好きだったとしても、自分の好みであるモノが白が正解だと言えば、黒を自分の中から永遠に排除しそして白を好きになる事だって苦ではない。


 自分の意見は確かに大切な事ではあるけれど、自分以上に素晴らしいモノには心が芯ごと揺れ動かされてしまう。そのことについては、特に悩んでもいないし、もしかすると、人間と言う者は、自分で選択するよりも、だれかが良いと思っている道を選ぶ方が楽で幸せなのかもしれないのだ。


 自分の頭では考え付く事なんて、視野が狭く曲がった事かもしれないけれど、他人が決めた、それも素晴らしい人が決めた事ならば、自分が選んだ道よりも失敗が少ないのかもしれない。

 そう考えると、透明であるのは悪くなんてないし、おすすめしたいと言っていい程なのかもしれない。

何かに染まって行く瞬間は楽しいし、まるで違う自分になれるようで幸せに感じれる。


いつだったか、母親が勝手におもちゃを捨ててしまった事があった。そのおもちゃは、小さい頃によく遊んだもので、久しぶりに見たくなって、母親に聞いてみたところ、「捨てたわよ、あんなの」という返事だった。

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