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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第四章 遠い記憶2 1
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3

 ネギを植えていると言えば可哀相に、お金がないから自分で作るしかないのだと勘違いされお弁当を作って持ってきてくれたり、制服のボタンが取れかかっていると、可哀想に、母親がいないからボタンもつけてもらえないんだ、と言われ、お願いしていないのにも関わらずボタンを付け直してくれたりした。


 自分はそれを決して拒んだりすることはしなかった。


 体育祭の日も、両親がいないから可哀相だと言って、わざわざ弁当を作ってくれるものもいた。

 美味しいかどうか聞いてくるから、美味しいよ、とは言った事を覚えている。


 パソコンを始めるようになってチャットで話をする時に、自分の事を訊かれた時には隠すことなく両親がいないことを話したりもした。

両親が一酸化炭素で亡くなったと言うことまで話した時には物を送ってくれるまでにもなったりした。

 当然こちらは一言も、下さいとも欲しいとも言っていないのにも関わらず。


 しかし、そのうちに自分は、それを畑仕事とにうまくいかせる方法に繋がるとも考えた。

 お目当ての人間はたいていそれでポロッと落ちた。


 ただ、勘弁してほしいのが、何を勘違いしたのか知らないけれど、偉そうに上から目線で指図したり説教たれたりするやつだった。

 自分が悪い事をしたわけでも、例え自分が悪い事をしていたとしても、説教されることは嫌で許せない事の一つだった。


 自分を叱り、説教しそして自分よりも優位な立場に立とうとする人間そういう奴には容赦しなかった。

 相手が一番望まない方法で自分はしっかりと、その相手に制裁を加えた。本当に頭がいいっていうやつは、勉強だけができるわけではない。

 勉強だけではなく全てにおいて常に平均以上の成績上位なのだから、その制裁を加えるにあたっても最高な結果となるように努め、そして最高の制裁となった。


 相手の住所や会社を調べ上げ、その相手の弱みを握り、そして確実に潰して行った。

 別にその後相手がどうなろうと、自分にそういう事をしてきたそいつが悪いし、そもそも自分がやることに何一つ間違いなんてないのだから。


 そうそう、自分は可哀相と言う感情がよく分からないでいる。映画やテレビを見た時に「あんなことになって可哀相だね」という人間がいるが、自分は自分、他人は他人という概念しか持っていない自分にとって、他人の生き様や人生・可哀相と言われる生い立ちを見ても可哀相とは思わない。


 他人が死んでも、死んだというだけで、それ以上の感情は生まれないし、生まれてもこない。考えた所で何もない。


 感情が欠落しているのか?と聞かれればそうかもしれない、と答えるが、ただ欠落という言葉は欠け落ちていると言う意味だが、自分は自分の感情が欠け落ちているとは考えたこともなければ、自分こそが完全な人間の形だと思っているので、その言葉にはやや首を傾げるのだが。

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