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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第三章窮追
48/107

21

 しかし、返事はない。

 死んだか?確認しないわけにはいかない。スコップで穴を掘りはじめる。


「大丈夫ですか、今助けますから」少ししてやっと気が付いたのか「助けてくれええええええええええええ」と返事があった。

 死んでいなかったのか。

 スコップで土を掬っていく。随分と深く掘ったもんだ。


「はぁはぁはぁはあはぁ」息が思う様に吸えずに苦しかったのだろうか、大きく息を切らしている。

「恵子さんとその弟がわしを生き埋めにしようとしたんじゃ」

「なんて酷い。それで他には誰かいましたか?」

「いや、その三人で来たんだ、二人で私をこんな所に落として。早く助けてくれ」

「今お助けしますよ」そう言って、銃を取り出し、鼻を目掛けて銃を打ち込んだ。段々と腕前が上がって行く。

 再び土を穴へと戻す。

名簿を開きの名前を線で消す。酒井恵子、小高勉、吉岡貞子 <残人口42名>


――― 土吉崇


 大変な事になってしまった。

 もし警察がきたら、この大麻草の存在がばれてしまうかもしれない。なんて事をしてくれたんだ。

 どうするか?この部屋を片付けてしまうべきか?

 いや、そんな事をして注文に間に合わなくなった時には……。いや、それは非常にマズイ。

 それじゃあどうする?

 しかし、人が大勢死んでしまった以上、警察は、ここにもやってくるに違いない。警察犬なんてきたら、一発で分かってしまうに違いない。

 やはりこの部屋をこのままにしておくのはリスクが高すぎる。

 そうすると、まず葉を詰めてから、どこかに置いておくしかない。


 どこに置く?そうだ、死んだ人の家に置けば全てが丸く納まるかもしれない。

 もし、その部屋から大麻草が見つかったとしても、俺の所に足がつくことはない。


 しかし、死んだ人の家に勝手に入るなんていくら俺でも気が引ける。和夫さんは公民館で殺されたんだ、自宅には誰もいない。もし警察に勝手に侵入したことがバレて疑われたりした時には殺人鬼に追いかけられてやむを得ずとか何とか言って、いくらでもいい逃れが出来る。

 しかし、その前に下見でもしておくか。

 念の為、カマを持っておくか。

 

 和夫さんの家の前まで行く。誰もいないようだが、外からでは分からない。

 扉をノックするが、誰からの返事もない。


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