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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第三章窮追
47/107

20

「それはそうだけども、だからと言って今行かんでも、明日でも行ったらええ」

「それじゃあ遅い、いいから支度して来て」

「仕方がないねえ」

「勉、貞子さん連れてきたよ。できたか?」

「大変だったよ。なかなか下から上がるのにも大変だったよ」

「まあ深い穴、こんなに掘ってどうするんよ?」

「貞子さん、それはね、ごめんな――」

「ぎゃああああああああああああああああああ!? なにするんだ」

「姉さんまさか!?」

「そうだ、貞子さんには生贄になってもらう、勉も砂をかけて」

「姉さん」

「助けてくれええええええええええええええ」

「ごめんな許してくれな。仕方がないんだ、こうするしかおら達は助かる道がないんだよ、許してくれえ、勉も突っ立ってねえで、ほら手伝え」

「……」

「仕方がねえんだ、わかるだろう?」

「……すまねえ貞子さん、すまねえ、すまねえ……」

「いいか、この事は二人だけの内緒だぞ?」



                  *

 調度いいところに二人お揃いで。

 あんな所に穴なんて掘って、島を傷つけたりなんかして。

 少し近づいて様子を伺う。

「こんな事が誰かに見られでもしたらただじゃすまねえ。もし貞子さんが中から出てきたりしたら一瞬で噂が広がって……姉さん、息の根を止めないと……」


「駄目だ。殺しては意味ねえんだ。生きているままを備えるから意味があるんだ」

「でも……」

「うろたえるな!大丈夫だ。これだけ穴を掘ったんだから背も小さい足も悪い貞子さんが一人で上がってこれるわけねえから」

「そうだけども」

「大丈夫だ、そろそろもう十分だろう。神様にお祈りをして帰るよ」


 神社を出ていく姿をみながら、銃を構える。まずは後ろの酒井恵子の頭を撃ち抜くことに成功。

「姉さん!?」

何事が起きたか理解出来ていない弟の小高勉の頭にも同様に銃弾を放つ。


その後、重なり合って二人が倒れ込んでいるのを確認してから弟が持っていた方のスコップを手に持ち神社の穴の方へと戻り、「大丈夫ですか?」と声を掛ける。

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