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ドンドンと叩きながら「すみません」という声が玄関から聞こえる。
まさか、佳代子が来たんじゃねえだろうな?
静かに台所に向かい、カーテンの隙間から、玄関先を見る。
そして玄関のドアを開ける。
「こんな嵐の中どうしたんだ?おらは佳代子が来たんじゃねえかと思って。父ちゃんたちみんなが帰って来たのを知らせにきてくれたのか?」
「とりあえず中に入れてもらってもいいですか?」
「ああ、そうだな。中に入ってくれ。なんもお構いする事が出来ねえが」
「お邪魔します」
「そういえばラッキョウがあるけど、食うか?そこに座ってくれ」
「どうも」
「で、父ちゃん帰って来たか?まさか悪い知らせっていうわけじゃねえんだろう?」
「まあその……この家には誰か他に来ましたか?誰かこの家にいますか?」
「いや、おらしかいねえ。父ちゃんはどうしたんだ?はっきり教えてくれ」
「はい、実は……」
*
銃を内ポケットから取り出し、銃を出し丹谷清子の心臓を撃ち抜く。
「死にましたよ」丹谷清子の遺体に向かってそう答えた。
机の上に置かれたままの天の風のパンフレットを見ながら、「丹谷清子さん、知っていましたか?天の風は、金目的の団体ですよ?もしかして5千万円すでに支払っているんですか?弱みにつけこんで金を搾り取る極悪団体ですよ。そんな黒い噂が出回っているのに、 どうしてこんなにも天の風を信じているんですか?」そういって問いかけてみるか、勿論死体が動くはずもなければ、喋るはずもない。
「それからもう一つ教えてあげましょう。ヨネコさん天の風の代表格の一人だってご存知でした?ヨネコさんは貴女に天の風を辞めて欲しかったみたいですよ。
ご存じであるはずはないでしょうね。ヨネコさんはこの島の人たちには天の風に加入していることは誰にも話しておりませんでしたからね。
だからきっと、貴女が天の風での地位が上がってしまい自分が天の風に加入していることが知られ、それを島の人に言いふらされるのが嫌だったんでしょうね、残念ながらヘブン様は、お助けして下さることはなかったようですね」
そしてラッキョウには箸をつけることなく名簿を開く。
丹谷清子の名前を線で消す。 <残人口42名>




